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3-25 女神様の和解

「な、なんですか?こんなところに連れてきて」

「まあまあそう言わず」

「食べ物で機嫌をとるつもりですか?」


 俺がアイリスを連れてきたのは駅前のカフェ。奏多も一緒だ。


「食べ物で機嫌を取るつもりってわけじゃないけど、とりあえずこれ食べようぜ」

「これは……」

「覚えてる?私とアイリスが初めて会った時に食べたパフェ」


 心理的に思い出の品に触れることによって、なんで怒ってるんだろう、どうでもいいや。そんな気分にさせる作戦。奏多にしては理にかなっている。


「ふふっ……あははははは」


 急に思い切り笑い出すアイリス。


「いえ、私も悪かったです。本当は怒ってなんかいませんよ。ちょっと陽向さんを困らせようとしただけです」

「……な、なんだー、もうびっくりした」


 一気に肩の荷が降りる。


「あ、あれ、これって私要らなかった?」

「要らなかったな?」

「そこはフォローしてよ」

「ふふっ、それじゃあ折角ですから一緒に食べましょう」


 無事仲直り、というのかは分からないが、これで元通り。

 奏多と別れて、俺たちは家に帰る。


「陽向さんお風呂沸きましたよ」

「はーい」


 そんじゃ、風呂に入りますか。


 体と頭を洗い、湯船にゆったりと浸かっている時のことである。

 ガラッと浴室のドアが開かれてアイリスが入ってきた。


「ちょ、アイリスさん?!」

「はい、なんですか?」


 俺が驚きの声をあげたのにも関わらずアイリスはそのままバスチェアに腰を下ろして体を洗い始める。


「なんですか?じゃないでしょ、俺入ってるんだけど」

「そうですね、だから私も……あれ?」


 何かに気づいた様子のアイリス……まさか……ね?


「ひゃっ、そ、そうでした。つい、天界の時の癖で……陽向さんと一緒に入るものかと」


 そのまさかでした。


「いいよ、俺もう出るから」


 そう言って、ドアの取手に手をかけた時、アイリスが俺の腕を掴む。


「待ってください。きょ、ききき、今日だけは一緒にいてくれませんか?」

「は?なんで」


 恋人じゃあるまいし……


「な、何となく、このままいなくなってしまうのは寂しいというか……」


 あぁ、わかった。また俺に置いてかれることを心配してるんだな?ここは俺の家だからそんなことは無いのに。まったく、可愛いやつだな。


「で、でもアイリスの家と違って、ここ狭いけど」

「構いません。だから……お願いします」


 湯気でよく見えないが、それでもアイリスの頬が赤く染まっていることはわかる。


 仕方ないと一緒に入ることにしたのだが、前と違って生きた心地がしなかった。

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