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3-21 女神様とさよならの後で

「結局、元に戻ってない?」

「そうですか?」

「絶対そう、この部屋こんなに散らかってなかったでしょ」


 冬休み、アイリスとさよならをした俺は定期的に雲雀の抜き打ちチェックを受けていた。

 抜き打ちで様子見に来るとは聞いていたのである程度部屋は綺麗にしていたつもりだ。

 それなのに、いつもふわふわしているこの人にダメ出しされるとは何たる屈辱。


「これじゃ、アイリスちゃん怒るよ?」

「もう、その名前は出さないでくださいよ」


 誰が悪いとかそういう問題でもないしいつまでもグジグジ言ってたらキリがないということでアイリス達のことは話に出さないようにしようとみんなで相談して決めたのだ。発案者が奏多だったのは意外だが。

 まだみんなが寝ている間にカドルやクルも天界に送っちゃったから怒ってるんだろーな、あいつ。


 雲雀もそれに気づいてすぐに謝る。


「あれ、この部屋は綺麗にしてるんだ」


 と、雲雀が開けたのはアイリスの部屋。


「まぁ、使ってませんからね」

「そうじゃなくて、ホコリとかもしっかりとれてる。こまめに掃除してる証拠」


 雲雀の言う通りである。確かに俺はこの部屋だけは綺麗にするようにしていた。なぜかと聞かれるとすぐに理由は出てこないが綺麗にしておかないといけないと思っていた。


「まぁ、掃除をする気だけでもあってよかった。今日のお昼は……」


 そこで、朝、冷蔵庫の中のものを使い切ってしまったことを思い出す。


「あ、買いに行ってきますよ」

「ん、お願い」


 あ、ついてきてくれないんですね。流れ的に私も行くとか言うと思ったけど。


 俺がスーパーで食材を選別している時、主婦の友達だろうか、おばさまたちが集まって、話していた。

 立ち聞きするつもりはなかったが、かなりの大声で話すもんだから自然に耳に入ってくる。


「あれ、見たかしら?」

「ええ、見たわよ。凄かったわね。あの子たち」

「ほんとに、2人合わせて15分で1000杯ですってね」


 視線を移すと、わんこそば大会の文字が出ている。


 スーパーで売れ残った蕎麦の在庫処分でもしていたのだろうか。


 まるでイオとカドルみたいだな。そんなことを考えていた。

 おっと、いけない……いつまでもこんな事考えてたらダメだよな。


 買い物を終えて家に戻る途中、駅前のステージでライブが行われているようだった。


「陽向にーさん♡」

「うわっ、スズちゃん?!どうしたのこんなところで」

「ここのライブを見に来ただけですけど」

「これ、なんのライブ?」

「エンジェロイドのソフィアのライブですよ」

「エンジェロイド?」


 俺は聞きなれない言葉を聞き返す。


「天使のような歌声のボーカロイド。つまりエンジェロイドです」


 ふーん、と相槌を打ちながらステージを見ると立体映像の少女が歌っているようだった。

 今はこういうのもいるのか。


「今年デビューしたみたいですね」

「今年って、まだ1月の5日だけど」

「一昨日、動画サイトにアップした曲が爆発的にヒットしてすぐさま人気者、この通りですよ」


 確かにすごい人集りだ。


「まぁ、そんな人がなんでこんなところでライブしてるのかは私にも分かりませんけど……この辺の出身なんですかね中の人」

「中の人とか言うのはやめようよ……」


 数多くのゆるキャラとかの中の人とか言ったら夢が崩れるだろ。それと同じだ。


「あ、そうだ、今家で佐多さん待たせてるから。それじゃあ」

「はーい、さよならー」


 この時から少し違和感があった。


 あの声、どっかで聞いたことある気がするんだよな……

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