3-18 女神様と……
サミーたちと別れて帰宅すると既にアイリスとラスフェルは帰ってきているようだ。2人の靴が揃って玄関に置かれている。
部屋に行くと、アイリスの姿はなかった。
どこに行ったのかとラスフェルに聞きに行く。
「アイリスはどこにいるか知らないか?」
「アイリスならエレナさんに呼ばれてたぞ?客間じゃないか?」
ということなので客間に行ってみることにした。
俺が客間の前にやってきて襖を開けようとした時、中から会話が聞こえてくる。
「ヒナタさんと恋人ってのは嘘よね?」
俺はその言葉を聞いて襖から手を離す。
「あなたが結婚を考えてないのはわかってるけど嘘はダメよ?」
「いつから気づいてたの?」
「最初から気づいてたわよ?」
「え?!なのに、一緒の部屋にしたの?」
「ええ、なんならヒナタさんとくっついてもいいかなって思ってお風呂まで一緒にしたんだけどダメだったかしら?恋人のフリをするくらいだから仲はいいんでしょう?」
もう少し娘さんを大事にしたらどうですかね。確かに赤の他人とかではないけども……
俺はその場を離れてアイリスの部屋に戻ることにした。このことは聞かなかったことにしておこう。
もう一度、ラスフェルの元へ行き、ひとつ相談をする。
「仕事はもう片付いたんだよな?」
「ああ、明日は1日休んで、明後日には帰れるぞ?」
「相談したいことがあるんだけどいいかな?」
「ん、なんだ?私に相談してもおそらくろくなことにはならないと思うぞ?」
「はは、自覚があるなら普段から嫌がらせはやめような?それで、相談なんだけど、ここだとあれだから明日少し付き合って欲しいんだけど」
ラスフェルと約束を終え、アイリスの部屋でアイリスを待つことにした。
「あ、ヒナタさん、帰ってたんですね。お母さんがお風呂沸いてるって言ってましたよ」
「あ、うん。じゃあ行こっか?」
恋人のフリは続けるんですね……
「なんか、慣れてきてる自分が怖い」
「私が言うのもなんですけど、ヒナタさん、最初と反応変わってなくないですか?」
「気のせいだろ」
「本当ですかぁ?」
「あぁ、ほんとほんと」
女神様と混浴というイレギュラーな状況も慣れてきてしまっている。奏多にこのことがバレでもしたら、私も一緒に入るとか言い出しかねない。
そんなことをされたら俺の心臓はいくつあっても足りないだろう。
仮に一緒に入ると言い出さなくてもその場合は、また怒られるに違いない。不要な仲違いはもう勘弁だ。
うん、黙ってよう。
「アイリスは昨日、友達のところを回ってたんだっけ?」
「はい、楽しかったですよ。久しぶりに会うと嬉しいですよね」
「そっか……そうだよな」
「どうしました?」
「いや、なんでもない。それよりも明日なんだけど銭湯に行こうかなって思ってるんだけどいいかな?」
さっき、ラスフェルと約束してここに決めたのだ。
「いいですね。お疲れ様会ということでみんなで行きましょう」
みんな、というのはミクリアとサミーも、ということだろう。2人には結構世話になったしお礼も言っておかないとだな。
この時、俺は迷っていた。このまま帰っていいのかと。せっかくアイリスが天界に戻って来れたのだから……




