3-14 女神様と休館日
「2日目もお疲れ様」
「はい、明日中に終わるといいですけど。それよりも今日は楽しめましたか?」
「あぁ、サミーリアが水玉を使って面白いことしてくれたからな」
そんな会話を風呂の中でする俺たち。今日はエレナさんからは逃げられなかった。というか逃げるには俺が気を失っている必要があるわけなのだが。
「あ、そうだ。ミクリアのことなんだけど」
「ぅん?」
「俺、あの子に嫌われちゃってるみたいなんだけど」
「無理もないですね。地球の人が天界に来るなんてことが初めてですし。ミクちゃんは地球の文化を学んでいないので……そうですね、ヒナタさんの世界でいうエイリアンのような存在で受けられてるかもしれませんね」
「それじゃあ、ミクリアに1度地球に来てもらうってのはどうかな?」
「ふふっ、いいかもしれませんね」
そして、天界に来て3度目の夜。相変わらず寝るのはアイリスの横でだ。
俺はアイリスに奏多の真似をされる前にさっさと眠りにつく。今日一日、遊び疲れているから俺は一瞬で夢の中へと旅立って行った。
「ヒナタさん、寝ちゃいました?」
確認すると、アイリスは俺の体に自分の身を寄せる。
「ヒナタさん。ありがとうございます。大好きですよ」
アイリスはそう言い残して眠りにつくのだった。
事件が起きたのは翌朝。
先に目が覚めたのは俺だ。
「ん、朝か。アイリスはまだ寝てる?」
反応はない……寝ているようだ。
「ヒナタさん……」
お、起きた?
そう思って俺が寝返りをしてアイリスの方を向くとアイリスは俺の頭を抱きしめ、しっかりとホールド。俺の顔はアイリスの胸に埋められてしまった。
「むぐっ……!んぁぅむっ」
藻掻くも、アイリスの腕がしっかりと押さえ込んでいるので抜け出せない。顔が埋まっているので声も出ない。
アイリスは寝ぼけている……
俺は空いている手でアイリスの背中をポンポンと叩いてアイリスを起こそうと試みた。すると、アイリスのホールドのパワーが強くなり、ますます胸へと吸い込まれていく。
「むがっ」
このままでは呼吸が出来ないため、背中を叩く強さも強くする。もう無理、ギブギブ。そんな感じの強さだ。
「んー、ヒナタさん?」
・・・と間を置いて……
「へっ、ヒナタさん?!ご、ごめんなさい」
「い、いや大丈夫。えっと、それよりも……」
アイリスも自分の胸に顔を埋められていたことは自覚しているようで顔を赤くしている。
「えっと、その……ごちそうさまでした?」
この返し方であっているかは分からないが、男なら胸にはロマンを感じるものだろう。悪いものではなかったぞ。
「ヒナタさん……これはビンタしてバカっと言う流れですか?」
少し暗めのトーンで言われました。アイリスさん?怒ってらっしゃる?
「一応、ごめん。でも不意に抱きしめてきたのはアイリスだからな?」
ならば俺も反論だ。
「そ、そうですね。今回はおあいこということで」
おあいこなんだ……
場所は変わって、神の間にやってくると……
「休館日?」
「はい、言ってませんでした?今日はこの施設まるまる立ち入り禁止ですよ」
「困ったなぁ。メンテナンスは?」
「残念ですけど明日に延期ですね。他の世界をメンテナンスしている方も今日は休暇としているそうです」
ミクリアが、アイリスに嘘をつくわけないし、実際施設の入口の門は施錠されているので、そういうことなのだろう。しかし、疑問が1つ浮かぶ。
「ミクリアはなんでここにいるんだよ」
「ふんっ、我がここで何をしようと勝手でしょう。それよりも早く地球に帰ってくれ」
「あ、そうだ。私はせっかくのお休みだから友達のところを回ってこようかな。だからミクちゃんはヒナタさんのことお願いしてもいい?」
「え、そ、それならラスフェルさんにお願いしては?男同士の方がいいでしょう」
「ラスフェルならもういないぞ?」
多分、その辺で姿を消してるだけだろうな。光の屈折で。
「はぁぁ?あのクソ悪魔。こんな時くらい仕事しろぉ」
ミクリア……その気持ちはよーく分かるぞ。
「それじゃあ、よろしくねミクちゃん」
その言葉と同時にアイリスも姿を消した。こっちは本当に姿を消したんだろうな。転移で。
「行っちゃった」
「ふっふっふっ……」
「あの、ミクリアさん?」
「いいだろう。第3ラウンドといこうか」
第3ラウンド開始です。




