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3-9 女神様とおやすみ

「なんか、すごいことを聞いちゃいました」

「奏多のやつ、懲りずにベタベタしやがって……」

「好きな人からベタベタされるのは嫌ですか?」

「嫌、じゃないけど……これじゃあ進展しない。あ、みんなには内緒な?特にカドルとかには。からかわれそうだし」

「ふふっ、わかりました内緒ですね」


 すると突然、後ろからアイリスに抱きつかれた。


「え、ちょっと何?急に」

「やっぱり私にはまったく興味無いですか?」


 やめて、裸なんだから胸を押し付けるのは非常によろしくない。服を着てればいいってわけでもないけどな。


「興味無いって言ったら嘘になるかもしれないけど、なんて言うかな……無意識に奏多には悪いなって思ってるのかもな。奏多はこういうの気にしなさそうだけど」


 それを聞いたアイリスはようやく俺から離れた。


「さて、私はもう出ますね。食堂の場所分かりますか?」

「最初に通された客間の向かいの部屋だよな?」

「はい」


 ちくしょう、せっかくだしもう少しあの感覚を堪能しておけば……

 って、いかんいかん、何を考えてんだ俺は。

 しばらくの葛藤の後、アイリスが着替え終わったのを確認して俺も風呂から上がる。


 長い廊下を戻り、食堂へ行くとそれなりに豪華な料理が並んでいた。まるで旅館の晩ご飯のようだ。


 天界の料理か……と思ったのだがよく良く考えれば喫茶店に行った時に気づくべきだった。地球の物との差がわからん。まぁ、美味しいからよしとしよう。


「みんなは明日の朝、早いのよね?」

「はい、まあアイリスの手伝いをしてまたここでお世話になりますけど」

「家で良ければ何日でも泊まってもらって構わないわよ。なんだったら今すぐ婿入りしてもいいのよ」

「ちょっと、お母さん!」


 いつもは冷静なアイリスもここだとエレナさんのおもちゃのようになってしまっている。俺の母さんも同じ感じだから気持ちはよーくわかるぞい。


「アイリス、カニ食べないのか?美味しいけど」

「あ、いや、そのですね」

「アイリスはカニが嫌いなのよ?知らなかったの?」

「え、そうなの?全然気づかなかった」

「わ、わざわざ言うことでもありませんし、それに私が料理してるのでカニは入ってなかったはずです」


 まぁ、それもそうだな……カニっていうと高級なイメージだから、めったに食卓に並ぶものでもない気もするが……


「ふーん。美味しいのに」


 カニを頬張りながら言った。本当に美味しい。


 美味しい料理をたらふく食べたあとは、歯を磨いて部屋に戻ってゆっくりくつろぐ。

 はずだったのだが、今、俺は女神様に土下座をされている。


「ごめんなさい。もう、何から何まで」

「いや、今更もういいって。ベッドが同じになるくらい。それに昨日も同じベッ……」

「それは思い出さないでください。さて、明日は早いですからもう寝ましょう」


 そう言ってアイリスはベッドに向かう。

 俺も寝るか。部屋の電気を消して俺もベッドに入る。


「ふふっ、こうして2人で寝ると暖かいですね」

「っ、そうだな」


 アイリスが無駄に雰囲気を作ってくるので、意識せぬよう背を向けながら答えた。


「カナちゃんとこうして一緒に寝たいですか?」

「…………」


 俺は無視をした。アイリスに話したのは失敗だったのだろうか、なんかからかわれてない?


「陽向っ、今日は一緒に寝よ?」


 無視されたのが気に触ったのか、今度は耳元で、しかも口調を奏多に寄せてきた。


「あーもう、明日早いんだろ?寝るぞ?」

「もう、つれないですねぇ。おやすみなさい」


 おやすみって言われても、そんなことされたら、寝れるわけないだろ……

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