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2-15 女神様と料理大会

「あぁー、もう許さん」

「陽向さんが燃えてる……」

「珍しいですね。いつもはやる気を出さないのに」

「イオと約束したからな。それに……その、早く奏多と仲直りしなきゃだし」

「ん?アイリス様、何かあったんですか?」

「あはは、ちょっと喧嘩しちゃったみたいでね」


 ラフィはフムと考え込み、俺にビシッと指をさす。


「陽向さん。今は怪盗アスカよりも友達を大事にしなさい」

「って言ってもなぁ奏多のやつ、俺を避けて、会ってくれないんだよ」

「だからって他のことに目を向けてるのは現状から逃げてるだけ。違う?」

「うっ、それは……」

「分かったら早く行く。怪盗のことは私に任せてください。なんたってエリート警官ですから」


 ピシッと敬礼して口調も元に戻って警官モード。まったく……俺が悪いんだもんな。こんなことをやってる場合じゃない。


「悪い、あとは任せた」


 俺はその場を離れ、校舎の中へと走っていく。

 あ、でも奏多が校舎内に居るとは限らない……よね?

 奏多の下駄箱を開けて靴の有無を確認する。


(え、これって……)


 と、とりあえず奏多の靴は下駄箱の中だ。奏多は校舎の中だな。


「佐多さーん」

「あや?保井くん。どしたの?」

「はぁ、はぁ……奏多……見ませんでした?」

「奏多ちゃん?」

「はい……はぁ、はぁ」


 息が上がってそろそろキツい。まったくどこにいるんだよぉ。


「さっき、パンケーキ食べに行った時は接客してくれた。とても美味しかった。ありがとう」

「ありがとうございます。それじゃ」

「あ、でも私が食べ終わった頃には交代してた……って行っちゃったか。さて、保健室にでも行くかな」


 私の最後の言葉は保井くんには届かないのであった……


 っ、ちょっと。この場を乗っ取らないでくれる?ここ俺の場所だから!


 ゴホン……とりあえず教室に戻ろう。


「奏多!」


 教室のドアを開けるのと名前を呼ぶのが同時だった。


「ん?おぉ、保井か。カナちゃんなら居ないぞ」

「え、居ない?」

「なんだなんだ?夫婦喧嘩か?」


 夫婦じゃねぇっつうの。


「そ、それより。奏多は?」

「さっき交代のときに隣のクラスの子と料理大会に出るって言ってたぞ」


 え、奏多が?料理?ヤバくない?


「俺もカナちゃんの手料理食べてみたいなぁ」


 悪いことは言わん、やめとけ。


「ま、とにかく行ってやれよ。旦那さんよ」

「一言余計だ」


 えっと、確か料理大会は校庭。

 調理室は俺たちのクラスみたいに料理を出し物にしている団体が使用しているため、校庭に仮設キッチンをテントの下に建てて行う。ちょうど屋外ステージの隣だ。


  というわけで戻って参りました校庭。


「あれ、陽向さん。なんで戻ってきた?」

「奏多がこの料理大会に出るんだよ」

「あれ、でもカナちゃんって……」

「俺の記憶ではまったく料理はできない」

「あ、出てきた。一緒に居る人は……」

「あ、あの人、体育倉庫の」


 和泉じゃん。


「2人は知らないよな。あの人は和泉星羅。俺も体育倉庫に閉じ込められたっきり会ってないからよく知らないけど奏多とは前から友達だったらしい」

「偉そうに説明するから親しいのかと思ったじゃんか」

「ちなみにカラオケ大会の方は?」

「体育館のステージでやるので引き続きガブさんとクルちゃんにおまかせしてます。イオちゃんとカドルちゃんもここにいると欲が抑えきれなさそうなのでカラオケの方に行ってもらってます」


 この料理大会は制限時間30分で1品を2人で協力して作る。それを審査委員の料理部が判定するというシンプルなもの。


「それじゃ、一応向こうの状態も確認しときますかね」


『もしもし?』

「おう、そっちはどうだ?」

『はい、キュアピュア最高でした!』


 おう、それは良かったな。


「カラオケ大会は?」

『これからですよ。なにを盗るつもりなんでしょうね』


 確かに……これは身内から知恵を借りよう。


「カラオケ大会で盗むとしたらなんだ?」

「あー、確かにカードには何を盗るかまでは書いてなかったね」

「んー、ごめん。俺たちも分からない。要警戒で頼む」

『了解です』


 さて、奏多たちのお手並み拝見といこうか。


「そういえば、聖羅さんは料理できるんですかね?」

「どうだろ、でもあいつかなりドジっ子だぞ」

「ちなみにどのくらい料理できないんだ?」

「俺の統計によると砂糖と塩を間違える確率が61%、大さじ小さじを間違える確率が42%、絶対入れちゃいけなさそうな隠し味を入れる確率が92%、その他もろもろ。あとは、どういうわけか手先が器用だから完成した料理の見た目はめちゃくちゃ綺麗」

「つまり、もしかしたら美味しいのができるかもと?」

「総合的に美味しくなるのは3%だった」

「その数値はどこから……」


 司会者の合図とともに奏多たちは料理を始めた。

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