2-8女神様と取り調べ
「アイリス、確かに教室で忙しそうにはしてたけど……」
「アイリスちゃんのとこはカフェだっけ?」
「はい、アイリスは接客をしてます」
「うん、後で私も行ってみよっと」
「一応、確認ですけどアイリスに怪盗アスカをやらせてるなんてことはないですよね?」
「そんなことないない。それに怪盗さんはトロフィーを盗むんでしょ?トロフィー盗られちゃったら困るの私たちだもん」
ごもっともだな。
これで、生徒のうちの誰かが個人的に怪盗を名乗っているということになる。振り出しに戻ってしまった。
「どうするっスか?一応、アイリスさんに話聞いてみるっスか?」
「うーん、そうだな」
会議室を後にしてアイリスと合流するために教室へ向かう。
「しかし、困ったなぁ。手がかりが無さすぎる」
「でも、残り4分の3くらいにまで絞れたっスね」
「と言うと?」
「演劇をやるクラスはスケジュール通りに動かないといけないうえに、いちいち点呼をとられるっスから、楽屋として使ってる空き教室から長時間席を外すことはできないっス」
「つまり、クラス全員にアリバイがあるということか」
「と言っても、12時までに演劇を終了させた3年4組と2年3組、1組8組は別っスけどね」
それ以降に演劇を行った、あるいはこれから行う5クラスは白。犯行の時間までは確実に空き教室にいたということだ。
ここで、あるひとつの可能性を思いつく。
「これが先生の犯行って筋はないか?」
「なくはないっスけどトロフィーを盗ったら生徒から批判殺到間違いなしっスね」
ダメか。
「あ、それと自分はそろそろ新聞部に戻らないといけないんであとよろしくっス」
「え、捜査はいいのか?」
「さっき、集合の連絡が入ってたのに気づいたっス。それじゃ、何かわかったら新聞部までよろしくっス」
くっそ、こいつ俺に丸投げしやがったな。
教室でアイリスを探して、せっかくだから客として入ってやろうと教室に足を踏み入れると……
「お、保井帰って来たぞ」
「囲め囲めー」
わわっ、ちょ、何?
よく分からんがクラスの男子たちに囲まれました。
「なぁ、お前ってアイリスちゃんと一緒に暮らしてんだろ?」
「え?あ、うん、そうだけど」
「どうなんだよ」
「どうって?」
「血は繋がってるかもしれないが同い年の男女がひとつ屋根の下、何も無いとは言わせないぞ?」
「これが、驚き。なんもないんだわ」
マジで急にどうしたこいつら。
「それより、アイリスいるか?ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「だってよ。アイリスちゃんお呼びですよ」
奥からアイリスが出てきたが、めちゃくちゃ顔が赤い。え?何があったの?
「え、えっと……なんでしょう」
「それよりも大丈夫?顔真っ赤だが……もしかして熱か?」
おでこに手を当てると、かなり熱かった。なんか一瞬、アイリスが爆発してプシュって煙みたいなのが出た気がしたけど本当に大丈夫か?
奥で復活したカドルがめちゃくちゃ笑ってる。いや、本当になんなの?
「ダダダダ、大丈夫です。それより私に何か用ですか?」
「あー、そうそう」
俺は再び怪盗について同じ説明をした。
「それなら、話は聞いてますよ」
「それなら話が早い。それと、疑ってるわけじゃないんだがアイリスは何してた?」
「陽向さんがここを離れてからは、ずっとここで接客してましたよ。そうだよね?」
と、クラスメンバーに確認を取るとみんな肯定の反応。
「アイリスちゃんが教室を出たのはトイレに行った1回だけ。それもたったの3分程度だよ」
「そっか、じゃあこれの意味わかるか?」
俺は先程イオに送ってもらった画像をアイリスに見せる。
「れかぼぬホラソク……なんかの暗号でしょうか……」
「アイリスでもわかんないか」
「すみません、ヒラメキ系には弱くて……」
「さすがに本名使ってるとは思わないけどアスカって名前に心当たりは?」
「……それは、転校してきた私より陽向さんの方が知ってるのでは?」
「ですよね、すみません」
そういえば、奏多の姿が見えないな……交代の時間だって言って別れたんだけど。
「奏多ってここに来てる?」
「いえ、交代してからは来てませんよ」
あの野郎、俺を避けるために嘘ついたな?
俺としては怪盗なんかよりもこっちの方が大事件だってのに何してんだろな俺は。




