2-4 女神様と記念写真
その後もアイリスはこのゲーセン内の数々のゲームで高記録を叩き出していた。
「アイリス、神様辞めてプロゲーマーになった方がいいレベルだよ」
「そ、そうなんですか?いやいや、ダメです。苦労してやっとの思いで神様になれたんですから」
「やっとの思いでなった結果、地球で学生生活を送ってるわけだがな」
「そ、それは陽向さんがいつまでもダラダラしてるからでしょう」
そういえば、身の回りの世話をしてくれてはいるけど、アイリス的には俺に自律してほしいみたいだし……なんか矛盾してね?
……まぁ、いいや。
「そういえば、文化祭の日にラフィたちが来るけどほんとに居残りでいいんだよな?」
「はい、そのつもりです」
「なんだなんだぁ〜、俺様たちに帰れってかぁ?」
カドルはニマニマとからかいついでに小突いてくる。
「いや、俺は天界の事情とか詳しく知らないから分からないけど。帰らなくてもいいのかなって、確か学校もあるんだろ?」
「単位は取れてるし、最悪アイリスに媚び売ってなんとかなるから大丈夫。だよな?アイリスさんよ」
「ま、まぁ、ある程度は……多分」
「それにアイリスのこと考えたら俺様だけ帰るわけにゃいかないだろ」
「ん、アイリスのこと?」
「あのな?実はアイリスはな?ーーー」
俺にカドルが耳打ちしようとした時、アイリスが顔を赤くしてそれを全力で阻止する。
「カドルちゃん!それは言わないでって約束でしょ!!」
「あれま、そうだっけか?」
「もう、絶対言っちゃダメ!」
「へいへい」
んー……気になる。
「ねぇ、みんなであれやらない?」
またまた、奏多が提案してきたのはプリクラ。
まぁ、アイリスの初ゲーセン記念に撮ってみるのも悪くないか。
さっそく、みんなで入ると機械がいろいろと設定を聞いてくる。
友達モードでいいかな。
人数は5人。
『みんな笑ってーーはい、チーズ』
機械の合図とともにパシャリと写真を撮る音が聞こえる。
「アイリス、こっちこっち、ここで写真に落書き出来るから一緒にやろ」
奏多に呼ばれて落書きスペースへと入っていくアイリスはどこかわくわくした表情だった。
しばらくして2人がカーテンの中から出てくる。
「随分盛大にやったな」
まず、写真を見た感想はこれだった。
俺が真ん中で右にアイリス、左に奏多。後ろにクルとカドルのフォーメーションで撮影したが、俺には悪魔の落書きが施されており、他の4人からは天使の羽が生えている。
余白には『悪魔も天使もみんな仲良し』と書かれている。
「ふふっ、可愛いですね。大切にします」
「イオの奴にも見せてやるか、羨ましがりそうだしな」
クルとカドルの2人は気に入っているようだ。
まぁ、それならいいか。
「さて、そろそろ帰ろっか」
「あ、そうだ。今日うちの親居ないんだけど、陽向んち泊まってもいい?」
「ま、まぁ、いいけど。にしても好きだな俺ん家に泊まんの。まぁ、しょうがないか、奏多は料理下手だもんな」
「そんなことないって。ただ、料理をすると指に傷が付くだけで料理自体は美味しくできるもん」
「まず、指に傷が付いてる時点で料理出来てねぇし。正直そんなに美味しくもないわ」
「陽向には言われたくない。自分で料理もしない人に何がわかるっての?」
「料理はしなくても料理は食べるからわかるんだよ」
「あぁ、もういい、陽向なんか大嫌い」
「あぁいいよ、俺だって奏多にベタベタされてそろそろ嫌になってた頃だ」
その後、俺とアイリスは帰宅。
「えっと……本当に良かったんですか?カナちゃんとあのままで」
「正直のところ、奏多は何も悪くないよ。奏多が料理できないって一言がなければこうはなってなかった」
「だったら……」
「でも、本当に奏多の求愛にはうんざりしてる。そのせいで他の女子からはモテないし」
「八つ当たりですね。完全に」
「だな……はぁ、やっちゃったなぁ」
これは俺が謝るべきだろう。明日ちゃんと謝ろ。
作「ねぇ、和泉ちゃんって料理できるタイプ?」
泉「普通かな」
作「じゃあダメか」
泉「え、何が?」
作「できるならカナちゃんの料理の先生として出演できたのにと思って」
泉「え、嘘?!できる、得意。料理めちゃできる」
作「今更遅いって」
泉「次回『和泉ちゃんの猛特訓』」
作「おい、勝手に決めるなぁー?」