表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/114

2-3 女神様とゲームセンター

「さて、これで準備はほとんど終わったかな」

「陽向さん何もしてませんよね?」

「そんなことないぞ、クルの作ったパンケーキ美味しかったぞ」

「あ、食べてくれたんですね。ありがとうございます」


 準備が終わり、教室は使えないので残りの時間は自由時間、この学校のルールでは帰ってもいいらしい。

 演劇なんかをやるクラスは結構遅くまで残るみたいだ。


「ねぇ、久しぶりにみんなでどっかに行かない?」

「どこかって?」

「んー、あ、そうだ。アイリスってどこか行きたいところってあるの?」

「えっ、私?」

「うん、クルちゃんはアニメ、カドルは食。みんなのことわかってきたつもりだけどアイリスのことはまだあんまり知らないなぁって思って」


 確かに俺も知らない。よく、登校中に困ってる人を見かけたら助けてあげるのは見るし、実際、俺の身の回りの世話をしてくれてるから世話焼きなのはわかるんだけど。


「私は人のためになることがしたいだけなんだけどなぁ」

「アイリスさん、昔からそうですもんね」

「そうじゃなくて、なんかないの?少し息抜きみたいなさ」

「そうだなぁ。それじゃあ……」


 そんなこんなでやってきたのはここ。


「私、ゲームセンター初めてなんですけど……」


 そう俺に告げるアイリス。

 どうしていいか分からないみたいだ。

 だったら、『ゲームセンター行ってみたい』なんて言わなきゃ良かったのに。


「わぁぁ……」


 クルがクレーンゲームの中を覗き込んで目を輝かせている。


「欲しいのか?」

「えっ?あ、はい。あのうさぎの子が」

「うさぎの子ねぇ」


 俺が機械に硬貨を投入する。

 後ろではカドルと奏多が話している。


「陽向ってこういうの得意なのか?」

「私も知らない。なんだかんだ陽向とゲーセン来るの初めてだし」


 俺はクレーンを操作してうさぎのぬいぐるみを掴むのではなく転がして落とした。


「あ、取れた」

「はい、あげるよ」

「ありがとうございます。大切にしますね」


 この笑顔がたまらない。危うくロリコンになる所だった……危ない危ない。


「凄いね、クレーンゲーム得意だなんて知らなかったよ」

「まぁ、これ簡単なやつだしな」

「えっと……クレーンを使って中のものをとるゲームなんですか?」

「あ、うん。やってみる?」

「それじゃあ……」


 と、隣の台に硬貨を投入する。

 まぁ、その台のやつもそんなに難しいやつではないけど、さすがに初めてのアイリスには無理かな。


「そういえばイオはどうしたんだ?」

「イオのやつなら昼に食べられんかったパンケーキをどっかのカフェに食べに行ってんじゃねぇか?」

「カドルは行かなくて良かったのか?」

「あのなぁ……俺様をあれと一緒にしないでくれよ。俺様は大食いだが、イオほど食い意地は無い」


 普段、どんな生活をしているのだろうか……


「やった、取れた」

「アイリスさん、おめでとうございます」


 え、嘘ぉ。

 アイリスが取ったのはイルカのぬいぐるみ。まさか取れるとは思わんかった。


「陽向さん、ありがとうございました」

「え、俺なんかした?」

「陽向さんの真似したら取れたんですけど」


 この女神様ただもんじゃねぇわ……


「ねぇねぇ、陽向、あれやらない?」


 奏多が指さしたのはシューティングゲーム。向かってくるゾンビを銃で打ち倒すやつだ。


「いいぜ、頼んだぞ相棒」


 このゲームは2人プレイができて協力することができる。

 結構ハイスペックな奏多とペアなら結構なハイスコアが狙えそうだ。


 全4ステージあるうちの第3ステージまでやってきてお互いにノーダメ。このステージの最後のゾンビを奏多が撃ち抜き最終ステージへ。


「ルート分岐だな、どっち行く?」

「それじゃあ左」

「ほう、根拠は?」

「全くない。女の勘」

「おっけー、その勘のってやろう」


 もう片方のルートがどうなっていたかは知らないが特にダメージを受けることもなく最後のゾンビを倒してゲームクリア。結果は23万点で店内ランキングの6位にランクインした。

 すげぇな俺たち。


「ふぃ〜、ちかれた〜」


 奏多が近くのベンチでぐったりしている。正直俺も疲れた。


「アイリスもやってみるか?」

「はい、是非やらせてください」

「んじゃ、相方は俺様がやるぜー」

「お願いね、カドルちゃん」


 あれ、クルはどこ行った?

 俺がキョロキョロと周りを探すと、さっき居たクレーンゲームの影からこちらを覗いていた。


「何してんだ?」

「い、いえ、その……ゾンビをとかそういうの苦手なので」


 くっそ、可愛いすぎるだろこいつ。


「でも、アニメ好きなんだよな?ゾンビ的なモンスターとか出てこないの?」


 するとビクビクしていたクルはキリッと態度を変えて俺に詰め寄る。


「私が好きで見てるのはほのぼのした平和な物語です。バイオレンスな作品は見ません」


 お、おう。


「雲雀さんはどんなジャンルでも好きみたいですけど、私に気を使ってそういうのは1人の時に見てるみたいです」


 へ、へぇ。

 アニメのこととなると人が変わったように熱くなるのもまた可愛い。


「やった、3位だ」


 え?


 さっき居たところに戻り、ゲーム画面を見ると俺たちのスコアを超えて25万点。順位もしっかり3位だった。


「おい、カドル。なんか機械に細工してないだろな?」

「してないしてない。それに俺様がいじれるのは電源だけだって」

「むしろ、カドルは最後に少しダメージ受けちゃってたもんね」

「あんだと?奏多。お前だって受けてただろーが?」


 つまり、活躍したのはどっちかって言うとアイリスってことか。


 うん。この女神様、本当にただもんじゃねぇわ。

泉「ねぇ!」

作「あれ?和泉ちゃん?はじめましてかな?」

泉「そうじゃなくて、なんか私出番なくない?つい最近出てきたばかりだよね?あれなんだったの?」

作「出番あった方がいいの?」

泉「当たり前でしょ」

作「多分どっかの奏多パートでついでに出れると思うよ」

泉「私の主役回をよこせーー」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ