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0-2 女神様と異世界転生?

 遡ること1週間。


「は?なんだって?」

『だーかーらー、今お父さんとアメリカ旅行中なのよ。だからこっちまで来てもらえる?』

「なんで帰省するのにアメリカまで行かないといけないんだよ」


 夏休みが始まった頃、半月ぶりに親の顔でも見ておこうとしたのだが……これだよ。


「じゃあ今回はやめとくよ。また機会があったら行くから」

『ダメよ、ちゃんとこっちまで来て顔見せなさい』


 顔が見たいなら帰って来てください。


『とにかく、ちゃんと来るのよ?』

「ちょ、だから行かないって!……って切れてるし」


 まぁ、ここでいろいろ考えた訳だが、なんやかんやでアメリカまで行くことに。


「はぁ、なんでアメリカに行かないといけないかね」


 そんな愚痴を洩らしながら飛行機に乗り込む。


 今、考え直せばこの飛行機に乗りさえしなければこうなってはいなかったのだ。

 結論だけ言おう。この飛行機はアメリカを目前にして墜落。俺は亡き人となった訳である。



 目を覚ました俺は見たことも無いような不思議な空間に居た。


「気が付いたようですね」

「あなたは?」

「私は、アイン・リステット・ソルティンフォード・ラミアです」


 長い、覚えられん。


「えーと、まったく状況がわかってないんですけど」

「残念ながらあなたは飛行機のエンジントラブルによる事故で亡くなられたのです」

「はぁ」

「あれ?意外と冷静なんですね」

「まぁ、事故のことは覚えてますし、この空間はどう考えても現世じゃないですよね。そうすると、アイン……」


 長い名前を思い出そうと頑張るがやっぱり無理そうだ。


「アイリスで構いませんよ。みんなからはそう呼ばれてますので」

「それではアイリス様。あなたは女神様とかそういった認識でいいんですかね?」

「はい、まだ新米ですけどね」


 何より驚いたのが神様に新米とかそういった概念があるということ。


「で、俺はこの後どうなるんです?」

「お約束の異世界転生です」


 よく、アニメとかであるあれか。あんまりモンスターとかとは戦いたくないんだけどな。


「その世界はどのような場所で?」

「んー……あなたの元いた世界に比べると平和とは言い難いですね。モンスターとかもいますし」


 モンスターと聞いて俺は嫌そうな顔をする。


「心配しないでください。特典がありますから」

「特典?」

「はい、その世界になんでも1つだけ持ってってください。実体のあるものでも構いませんし、特殊な能力とかでも構いませんよ」


 んー……って言われても出来れば平穏に暮らしたいしなぁ。

 そこで、俺が思いついたのがこの案。


「そうですね、特に必要なものはないです」

「え、いいんですか?」

「その代わり、アイリス様に来てもらえると助かります。俺が自立するまでで構いませんので」


 ちょっと無茶な案だったかな?


「いいですよ」

「ですよねぇー。ダメですよね……っていいんですか?」

「はい、それも仕事のうちですから」


 女神って仕事なんだ。


「それでは、これをお願いします」


 そう言って、アイリスは何もない空間から紙とペンを出現させ、俺に渡した。


 えーと……名前か。保井陽向っと

 次は、性別……


 俺は名前、性別、年齢、持っていきたいものと書き進め、最後の項目にたどりつく。


 ん、なんだって?行きたい国?


 なんでこんなことを聞かれているのだろう。

 行きたい国か、そうだなぁ……

 出来れば日本で一生を終えたかったかもしれない。

 よし、日本っと。


「アイリス様。書けました」

「はい、それでは早速行きましょうか、そこの魔法陣の上で目を閉じてください」

「こうですか?」


 俺は言われるままに目を閉じる。


 しばらくして目を開けると、さっきまでいた空間とは違う場所に来ていた。隣にはアイリスもいる。本当に異世界に来たんだ。


 と、その時までは思ってたよ。


「おぉ、ここが異世界……」

「ぁわわわ……」


 何やらアイリスは焦っている様子だ。やっぱり一緒に来てしまったのはまずかったのだろうか。


「どうしました?」

「ここ、地球ですよ!!」

「え?」


 俺は、女神様を連れて帰ってきたみたいです。

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