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1-15 女神様と新学期

またまた新メンバー!

 新学期、結局カドルの行先は見つからず。奏多の家は親が厳しいからと断られてしまった。


「陽向おはよっ」

「おはよ」

「結局カドルはどうしてるの?」

「2人には悪いけどアイリスの部屋で2人で過ごしてもらってる。クルは相変わらず佐多さん家で盛り上がってるよ」

「そっか、なんかごめんね。家はちょっと厳しくてさぁ」


 俺たちは下駄箱から、そんな会話をしながら教室へ向かっていく。俺と奏多は同じクラスで席も隣なのでまったく同じ方向へまっすぐ歩いていく。


 それぞれ席についてしばらく時間を潰していると先生がやってきた。このクラスの担任は毎回、時間ちょうどに来るので、先生が来るのがホームルーム開始の合図になっている。


「えーと、早速だが転校生を紹介する」


 おー、定番イベントじゃないですか。

 クラスの男子達は可愛い子かな?とか色んな想像と期待に胸を膨らませている。


 先生に呼ばれて教室に入ってきたのは3人。

 ここで通常の人であればなぜ3人も同じクラスに固まって来るのかという疑問にたどり着くだろう。

 しかし、俺と奏多はそうではなかった。


 3人が黒板に名前を書く。

 書かれた名前は……


『保井アイリス』

『保井クル』

『保井カドル』


 アイリスが3人を代表して自己紹介をする。


「私たちは保井くんの親戚で今年の夏からこちらに引っ越してきました。よろしくお願いします」

「というわけで、3人の案内は保井に頼むとしよう」


 まぁ、3人の案内係はいいとして……

 なぜこいつらが学校に来てるのかを問いたい。

 それを今はぐっと堪えて放課後、家に帰宅した俺は第一声にその疑問を投げかける。


「暇だからです」

「は?」

「暇だからです」

「いや、聞き取れなかったわけではなく」

「まぁ、いいじゃないですか。ついでにカドルちゃんの行き先探しも出来ますし」

「それはいいとして、クルとカドルはお前の1個下なんじゃないのか?」

「それだと私が2年生じゃないですか。嫌ですよ私だけ仲間はずれになるのは」


 どうしてだろう、言い返せない。


「で、今日一日みんなに囲まれてたがいい感じの人は居たか?」

「んー、イオって奴とは結構気があったな」


 如月(きさらぎ)イオ、俺のクラスメイトの一員。

 俺との直接の交友関係はほとんどないが、奏多とよく一緒に居るのを見かける。

 珍しい名前だが、純日本人で天体が好きな親が木星の衛星のイオから取った名らしい。

 アイリスたちのような名前がなんの違和感もなく受け入れられたのは彼女のおかげなのかもしれない。


「んじゃ、早速奏多に連絡してと」

「今更なんだが、俺様は別にここでも問題ないぞ?」

「ん、そうなのか?だったらこのままでも……」

「待ってください。私は反対です。毎晩毎晩カドルちゃんの足やら手やらが私の方に飛んできます」

「俺様そんなに寝相悪かった?」

「夜中にあれだけ動き回っているのに朝になるともとの位置に戻っているのが不思議なくらい」

「なんかすまん……」


 とりあえずカドルが引き続き滞在する案は却下されたのでクルの時と同様の手順で進行する。今回は奏多も一緒だ。

 奏多がイオと連絡をとったところ快くOKの返事が出たので彼女の家に行くことになった。


「イオちゃんの家はこの先を右に行ったところだよ」

「って、ここ俺の実家の近くじゃん」

「あー、そういえばそうだったね」


 奏多に案内され到着した家の前で俺は少し立ち止まる。


「どうしたの?」

「いや、女子の家って初めてだなぁと思って」

「ふーん、陽向は私の事これっぽっちも女の子として見てくれないんだ」


 いや、それは幼い頃からだしノーカンじゃん?


「あ、もう来てたんスか」

「お、イオちゃん。今帰ってきたの?」

「カドルさんたちが来るって言うから慌ててお菓子の買い出しっスよ」


 そういうイオが持っていた4つの買い物袋には大量のお菓子が詰まっていた。

 いくらなんでも多くないですかね?


 イオも俺と同じようにマンションの部屋を借りて一人暮らしをしているとのこと。部屋に案内されて、いざ女子の部屋に突入!

 あれ?この感覚……あ、佐多さんの部屋に入れてもらったこと忘れてた……


 今回は既に学校である程度仲良くなってもらっているので前フリなしで直接本題にはいる。


「……なるほど、要するにカドルちゃんを家で預かればいいんスね?」

「急にごめんな」

「ムグ……ん、こんな所で、良ければ大歓迎っス」

「……どうでもいいけど食べるか話すかどっちかにした方がいいのでは?」


 イオはポッチーという棒状のチョコ菓子を食べながら答える。


「食は自分の命なので」

「あーそう」

「わかるぜ、その気持ち」


 カドルの声に反応した俺が隣を見るとイオと同様にバクバクとお菓子の山に食らいついている。


「いい食べっぷりっスね。どぞどぞ、遠慮しないでどんどん食べて欲しいっス」

「カドルってそんなに食いしん坊だったっけ?」

「普段はアイリス先輩が食事の管理してるし、思いっきり食べるのは久しぶりだな」

「ほぇ?アイリス先輩?」

「え、いや、その……」


 どうやって誤魔化そうかと言葉を詰まらせる。


「あー、悪ぃ、前の学校でアイリスの奴、飛び級で1個上の学年だったんだよ。だからそん時の癖でな」

「ふーん、アイリスさんって凄いんスね」


 一方、カドルは冷静に嘘の理由でイオを納得させる。


「ま、とにかく。カドルはイオの部屋で生活するってことで決まったし早速荷物とかをここに運ぶとしよう」


 ちょっと、俺の家までは距離があるけどカドルの荷物はせいぜい着替えくらいなのですぐに往復して引越しは完了。


「そんじゃ、よろしく」

「はい、よろしくっス」



 帰りの道中のこと……


「奏多悪い、先帰っててくれ」

「どしたの?」

「ついでに実家に顔出してこうと思って。ほら、いろいろあって夏休みには会ってないし」

「そっか、わかった私も行く」


 わかってねぇじゃん。

 ま、久しぶりに会ってやりますか。

※カ→カドル


作「これで無事みんなの居場所が決まったね」

カ「だな、これでいつでも好きなだけ食べれるぜ」

作「それで、あれからイオちゃんとはどう?」

カ「あぁ、聞いてくれよ。これからよろしくってことでわんこそば対決したんだけどよ」

作「へぇ、どっちが勝ったの?」

カ「俺様が257杯、イオはまだ食べてる」

作「……」

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