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1-14 女神様とお隣さん

新メンバー加入!

「と、とりあえず私たちは部屋にいますので終わったら呼んでください」

「待って、誤解。これ事故だから」

「そうなんですか?」

「まぁ、そんなこったろうと思ったけどよ」


 事故とはいえどう見ても被害者は俺なのになぜか3人からの痛い視線は俺に集まる。その上、当事者である奏多はニヤニヤを抑えきれずにいた。


「それで、話ってなんだ?」

「そうでした。大変です。転送陣がなくなってるんです」

「はい?」

「あの祠が土砂崩れにのまれてしまいまして」

「要するにアイリスだけでなくカドルとクルも行き場を失ったと?」

「はい、一応山荘は無事なのでしばらくはそこに居れそうですが」


 んー、さすがに俺ん家で4人ってのは狭いしなぁ……


「わかった。少し考えとくよ。俺たちは来週から学校だし」

「私たちも来週から学校なんですけどね」

「それに関しちゃ帰れねぇんだからしょうがねぇだろ。それに単位は十分取れてるし問題ねぇだろ」

「ねぇ陽向」

「どした?」

「お隣さんはダメかな?」

「お隣さん?宛があるんですか?」

「隣の部屋に住んでる佐多さん。学校が同じだから多少面識はあるんだけど。さすがにこういうお願いをするような仲じゃないと思うんだけど」

「でもでも、この前余った料理のおすそ分けしてくれたよね?」


 確かに、俺のゴミ屋敷っぷりに呆れて、せめて食事だけでもとおすそ分けしてくれたことは何度かあったが……


「んー、ダメもとで頼んでみる?」


 話はまとまり、とりあえず挨拶だけでもということで隣の部屋のインターホンを鳴らす。


『はい、佐多です』

「あ、俺です。保井です。ちょっと紹介したい人がいるんですけどいいですか?」


 しばらくして家の鍵を開ける音がしてドアが開かれる。

 中から出てきた佐多さんは、ふわぁと大きな欠伸をしてどうしたの?と尋ねる。


「あはは、相変わらず眠そうですね」

「これでもゴミ屋敷の保井くんよりは健康的なはず」

「えーと、こちらは俺の親戚?俺もよくわかってないんですけど、カドルとクルっていいます」

「はぁ、それでは改めまして。私も自己紹介を……私は佐多雲雀(さたひばり)、よろしく」


 彼女は俺のひとつ上の先輩。どういう人かはあまり知らないけど、普段から眠そうにしているということと、前におすそ分けのお礼をしに彼女の教室に行ったら保健室にいると言われ、保健室に行ったら行ったで彼女はぐーすか寝ていたことから、眠そうな先輩というイメージ。


「ここじゃなんだし良かったらあがってく?」

「それじゃあ、お邪魔します」


 部屋に入れてもらえたのでお邪魔したところまず反応を示したのはカドルだった。

 カドルは佐多さんに聞こえぬように俺に耳打ちをする。


「すまん、俺様にはこの部屋は無理だ」


 佐多さんの部屋にはアニメキャラのフィギュアやポスターなどがたくさんあり、いかにもオタクの部屋といった感じ。

 アニメ好きの同志であればともかく、全く無関心な人には辛そうな部屋だった。


「そのへん適当に座ってて……お茶入れてくる」

「あの、佐多さん」


 クルが声をかける。


「なに?」

「アニメ好きなんですか?」

「ん、そだけど」

「私も大好きです。特にこのキャラは可愛いですよね」

「え?あ、うん。そうだね」


 クルが以外にも食いついた。佐多さんも予想外だったみたいで少し困惑している。


 10分後……


「すごい、声優さんのサイン入りじゃないですか」

「こっちは特別版のアニメDVD」

「佐多さん、弟子にしてください」

「うん……わかった。私もアニメ仲間が増えて嬉しい。お近ずきの印にこれあげる」

「佐多師匠ありがとうございます」


 アニメにそこまで詳しくない俺はよく分からんがサイン入りCDみたいなのを貰ったクルは頭を下げている。


「雲雀でいい。あと師匠もいらない」

「わかりました。雲雀さん。これからよろしくお願いします」

「で、保井くんはどうしてここに来たの?」

「え?」

「保井くんは、この子たちを紹介するためだけにわざわざ来るような人じゃないよね?」

「あ、実は……」


 俺は佐多さんに事情を説明した。

 もちろん、神様云々は伏せて、俺の親戚の子として預かっているけど俺の部屋だと狭くて大変なので寝泊まりだけでもお願いできないかというかたちで頼んでみた。


「クルちゃんは私の数少ないアニメ仲間。寝泊まりだけと言わず、ずっと居て欲しい」

「いいんですか?」

「うん、いい」


 その後、軽く荷物運びを終えてクルのお引越しが完了した。カドルはとりあえず家に居てもらうことにしたが、すぐに他の宛を探す必要がありそうだ。

※ク→クルちゃん


作「良かったねクルちゃん、同志の人がすぐ近くに見つかって」

ク「はい、ですが……」

作「ん、どうしたの?」

ク「寝ぼけているせいか私にいつも抱きついてきますね」

作「いいじゃん仲良さそうで」

ク「この前お返しにとやってみたら全く意識されませんでした」

作「それはお辛い……」

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