1-9 女神様と監視カメラ
「なるほどな。それで?陽向の場所の検討はついてんのか?」
「いえ、それがまだ……」
「先輩、まだ見てないところってあります?」
「うーん、ほとんど全体的に飛ばしたつもりなんだけどなぁ」
手詰まりになった4人は街中を歩きながらそんなことを話していた。
「なぁ、所々に監視カメラがあるんだが、それで探せねぇのか?」
カドルが見つけたのはこの町の監視カメラ。映像はこのカメラを設置した市の建物で確認出来る。
「あー、それならここから結構近いところにあるよ。行ってみようか」
奏多が皆を先導する。
「ここだよー。えーと、鍵は開いてるね」
ガチャりとドアを開け中に入るとそこには沢山のモニターが置かれていた。しかし、画面は暗い状態である。
「市役所のエレベーターといい、監視カメラといい、この町自体が機能を失ってるようですね」
「ここは、俺様の出番だな」
「あ、そっかカドルなら電気を操れるから」
と、早速カメラの電源をONにすると町中の様子がモニターに映った。
「おー、さすがカドル」
「褒めるのは後にしてくれ。今はあいつを探すのが先だろ」
「私はダメですね。モニターが透けて中が見えちゃいます」
「さっきみたいに目を閉じて見たらダメなの?」
「目玉を実体化させるにはここは狭すぎますね」
カドル発見直前に透視能力を使用してしまったため、まだ効果が残っているクルはモニターを、透過してしまっている。
ただでさえ4人がぎゅうぎゅうになっているこの部屋では頭よりも大きい目玉を実体化させることも困難であった。
「まぁ、さっきまでクルちゃん頑張ってくれたしここは私たちに任せてよ」
「奏多さん、ありがとうございます」
「ん?ってことはもしかして私たちのことって……」
「下着姿に見えてますね」
「うっ、なんか落ち着かない」
「わかりましたよ外で待ってますから集中して探してください」
「もしかしてドア越しに見たら見えるんじゃない?」
「視力検査じゃないんですよ?見えるわけないじゃないですか」
モニターは小さくて数もあるため離れたところからでは見ることが出来ないというわけだ。いっそのこと、アイマスクを常備してればいいのにと思った次第である。
「あ、いたぞ!」
「見つけたっ!」
「陽向さん、いました!」
と、3人が声を揃えた。
別々のモニターを見ながら……
「どういうこと?」
「陽向が3人?」
「あいつって3つ子だったのか?」
「そんなわけないじゃないですか。恐らく2人は偽物ですよ」
「クルちゃん、いつの間に……」
「効果が切れたので戻ってきてみれば、えらいことになってましたね……」
俺の姿が3人、そんなことよりも大事なことが一点。
「ところで、なんで3人とも動いてるの?」
残り時間は1時間。