1-6 女神様と消えた町
「今日って何かありましたっけ?」
「先週、商店街のお祭りが終わったばかりだ」
「なるほど……これはただ事ではなさそうですね」
「どうするんだ?」
「とりあえず、山荘にいる2人に知らせてきます。陽向さんは家に戻ってください。カナちゃんも心配なので」
言われるままに俺は家に向かって走り出す。アイリスはその場でじっとしているが恐らく転移の準備中だろう。
「奏多、大丈夫か?」
俺が家に帰ると奏多はテレビを見て過ごしていた。
「あれ?早かったね。どしたの?」
「町から人が消えた」
「寝ぼけてんの?」
こいつ、まるで信じる気がないな。
「カナちゃん、これは本当だよ」
転移で俺の部屋に戻ってきたアイリスが言う。
「でも、これ生放送なんだけど普通に映ってるよ。人が居なくなったのってこの町だけってこと?」
「そうみたい。というより、他の町からこの町がそもそも認識されてないの」
相変わらず仕事が速いな。と、感心してる場合ではないな。
「これは魔界側の仕業かも知れねぇな」
「魔界側?」
「俺様たち天界人とは別に魔界人ってのもいてな。魔界人全員が悪いって訳じゃないんだが、規制があまい部分もあって、たまに問題を起こすやからがいるんだよ」
「普段は天界側が規制をある程度受け持っているのでそのようなことはないのですが……」
「私はここに居ますからね。まったく、他の皆さんは何をしているのでしょう」
俺の疑問に3人が答えた。
俺たちは山荘に出ていたため無事だったのだろう。
そして、俺たちが今やるべき事がはっきりわかった。
「つまり、その魔界人を探せばいいってことか?」
「そうです。魔界人も私たち同様戦闘力のある特殊な力は持ってませんので、見つけられさえすれば……」
でも、どうやって探そうか。そう思っていた時だった。
「見つけられさえすれば、何だって?」
「誰だっ!」
皆が振り返った先に声の主はいた。こいつ、どうやって入ってきたんだよ。
「あなたは……もしかして」
どうやらアイリスには心当たりがあるようだ。
「久しぶりだな。アイリス」
「ラスフェルさん……なのですか?」
「知り合いなのか?」
「はい、天界学校ではかなり優秀な成績を残して卒業したと聞いてます。そして、この世界の管理者の1人でもあります」
「ほう、えーと、ラスフェルさん?」
「なんだね、人間よ」
「地球の管理者ってことは神様なんですよね?なぜこんなことをするんです?」
「フッ、神様か。くだらんな。私はもう神などではないのだよ」
へぇー、神様って辞められるんだ。
と、そんなことを考えてる場合では無さそうだ。
「この町を元に戻してください」
「まぁ、いいだろう。ただし、タダでってわけにはいかないな」
「と、言いますと?」
「その前にお前の仲間たちには大人しくしておいて頂こうか」
ラスフェルは両手を広げ、禍々しい妖気のような光を放つ。
その光を見た俺の意識はそこで途絶えた。
陽「おい、作者さん?俺が気を失ったらこのお話は誰が進めるんだよ」
作「アイリスにでも頼んだら?」
陽「断る、あれは俺の特権だ」
作「わかった、考えとくよ。ところでこのコーナーなに?」
陽「アイリスからは作者(神様)による相談・雑談コーナーと聞きましたけど?」
作「ふーん……」