↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちの聖女様は怒らせたらマジでヤバイ  作者: うる浬 るに
聖女様の自称元カレがポジティブすぎる件「ウォークガン帝国編」
53/116

22 マルセルの告白

「ルル様が私と会ってくださったということは、十年前のことを覚えておいでだったのですね。殴られた時にはだめかと思いましたよ」


「ええ、あの時は申し訳ございません。ですがもう心配はいりませんわ。マルセル様のような方がなぜあんなことをなさったのですか」


「ルル様にはすべてお話いたします。それより先に、ローザ様には大変申し訳ないことをしました。本当に無事でよかった」


 懺悔室でマルセルが私に向かって頭を下げるのが見える。


 私はルル様に連れられて、王城の敷地内にある教会へ足を運んでいた。そしてその懺悔室にいたのがマルセルだ。

 私たちがいる部屋と懺悔室の間には肩より上の部分に金属の格子がはまっていて、それより下の部分は壁で仕切られているので、マルセルから何かされる恐れはない。


 それにしても、懺悔室にいるマルセルは本当にあの時のマルセルなんだろうか。

 話し方も、ここから見えるその表情もとても柔和で、殺人未遂を犯した人間とはとても思えない。

 そしてルル様の態度も不可解だ。


「たぶん私のターゲットは陛下だったんでしょう。ですがさすがにファーガス様に手を出したらコーデリアもどうなるかわかりませんからね」


 マルセルの言葉がおかしくて意味不明だ。罪を犯したせいでおかしくなっちゃった?


「マルセル様の上司はケイリー様でしたかしら」

「そうです。私は窓もないような小さな部屋でただ時間をつぶすだけが日課でした。ケイリー殿はそれを資料整理の仕事だと皆さんにはおっしゃっていたようですが」

「そのことはファーガス皇帝陛下が裏をとっていますから、すぐに真実がはっきりしますわ」


 私だけわからない話がどんどん進んでいく。だけどたぶん、いつも通り大人しく聞いていれば最後にはすべてがつながるんですよね、ルル様?


「私が一番悲惨に見えたんでしょうね。だからここ数年、私がファーガス様を恨むであろう事柄をずっと吹き込まれていましたよ。私自身は自分が哀れだなんて思ったことはそれほどないんですけどねえ。でも、私以外にその役目がふられると困りますから、ケイリー殿に疑われないほどには憤っているふりをしていました」


 精神を病むような仕打ちを毎日受けて、それと自分の境遇がすべてファーガス皇帝陛下のせいだと思い込むように仕向けられた? 


「自分では手を汚さないで、ファーガス様を排除しようとしたのだと思います。母上がやったことと同じですね。私の場合はケイリー殿でしたが、ファーガス様の周りにいるロイヤルヴァイオレットたちは念のため全員調べたほうがいいと思いますよ」


「最初にそれをわたくしに話してくだされば、マルセル様は罪人扱いされずにすみましたのに」


「件のロイヤルヴァイオレットのケイリー殿がルル様の補佐役をしていましたし、騒ぎを起こさないと我々みたいなロイヤルヴァイオレットから外れた者の言葉は届かないと思っておりました。ルル様がいらっしゃる今だからこそ、私にはチャンスだったんです。事件を起こしたことですべてを調べてもらえると確信していましたから」


 思いだした。ケイリーってあの事務管理官だ! そんな悪い人だったの?


 あっそうか、ルル様の『十年もあれば人は変わるのよ』は、マルセルではなくてケイリーに向けられた言葉だったんだ。


 でもいつルル様はそのことに気がついたんだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。