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うちの聖女様は怒らせたらマジでヤバイ  作者: うる浬 るに
本編「ダンダリア王国編」
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16 夜会のあとに起きたこと

「夜会のあと大変なことが起こりまして、姉も含め聖女様に酷い仕打ちをした五人が、二度と表舞台には出てこれないような状況になってしまいました。あまりのことに、それは天罰が当たったせいだと言われています」


「アマンダ様は外を平気でうろうろしてますけどね」

「姉の場合は一目ではわからない症状なのでまだよかったんですけど、とにかく私にとっては致命的でとても困っています」


「そんな要領を得ない話をされても困りますよ」

「そうですね。他の方たちのことは口に出せませんが、ローザさんには姉が夜会から帰ったあとの騒動の一部始終をお話します」


 アマンダのことなんて興味がないので、彼女に天罰が当たったというなら、それだけで私のなかでは完結だ。


 これからそれまでのどうでもいい話を聞かなきゃいけないのは正直面倒くさい。


「あの日夜会から帰って部屋に戻った姉が突然悲鳴をあげたんですよ。家の者が一斉に姉の部屋に押し寄せて、何が起こったか確認をしました。姉は放心状態で口をパクパクさせていて、言葉が出てこないようでしたから、始めは悲鳴の理由がわからなかったんです」


「アマンダ様にしては珍しいことですね。不審者でも入り込みましたか」


「いいえ、原因は姉自身の問題でした。とにかく落ち着くのを待ってから、話を聞こうと思ったんですが、姉は母だけを残してみんな追い出しました。私たちが廊下で困惑していたところ再び姉の部屋で悲鳴があがったんです。それは母のものだったんですが……」


「それで結論は何なんです」


「どうやら、姉の身体は人には見せられない状態になってしまったとだけ教えてもらいました。母から言わせると、結婚なんて言語道断と言えるほどのものだそうです。他の四人も身体に変化が起こっていて、とても人前には出てこれない状況だそうですよ」


「ジャック様はアマンダ様の本当の症状はご存知ないんですね」


「姉の場合、私でも見せてはもらえない場所のようです。と言うかどこであろうと、姉が自分の弱みになるものを私に見せるとは思いませんけどね」


 この姉弟、本当に仲が悪いようだ。


「それで、公爵家を継ぐジャック様はアマンダ様が家に残るのが困ると言うことですか」

「まあ、身体のこともそうですけど、天罰が下ったなんて他家に漏れたら、治ったとしても姉は結婚できなくなるかもしれません。公爵家としても汚点になりますからね」


「あれ、公になってないのでしたらなんでジャック様は他の四人のことを知っているんですか」


「王家から姉にたいして確認がありました。そのあと王太子殿下たちが夜会での失態を自ら反省しているため自粛していると聞いたので、同じことが起きているんだと思ったんです。それにここだけの話とか言いながらも、漏れていますしね。姉は見た目でわからない分自由ですし、逆に人前に出ることは噂を払拭できるので、そう言った意味もあってこちらに突撃しているようですけど」


「とても迷惑ですけど、それを治して欲しくてアマンダ様は教会にやってきているんですね」

「そうですね。どこがどのように悪いのかお伝えできなくてすみません。やっぱり治療は難しいでしょうか」


「はっきり言いますけど、ただでさえ心証が悪いアマンダ様なのに、そんな曖昧な話では無理でしょうね。それに聖女は神の力をお借りしているんです。それが本当に天罰だとしたら、神が癒してくれるわけないじゃないですか」

「あ、そうか。そこまで考えが及びませんでしたよ」


「ジャック様はこんなところで私なんかに相談しているより、公爵家の今後について家族会議をした方がいいと思いますよ」


「わかりました……ローザ様にはお時間をお掛けしてすみませんでした」

「いいえ、では、ジャック様に神のご加護がありますように」


 ジャックは頭を下げてから、回れ右をして自分が塞いでいたドアからトボトボと出ていった。


 ジャックの場合、ただ単にストレスの原因を取り除きたいだけだろう。

 常識はありそうなので、今後はアマンダのように何度も押しかけてくるようなことはしないと思いたい。


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