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影神様  作者: 紀希
1/3

はじまりとお願い事



神隠し

:喪中に神棚を白い紙や布で覆う慣わし。

:人間がある日忽然と消え失せる現象。

神域である山や森で人が行方不明になったり、

街や里からなんの前触れも無く、

失踪することを神の仕業としてとらえた概念。

古来もちいられていたが、

現代でも唐突な失踪のことを名称で呼ぶことがあり

別名、天狗隠しとも言う。



登場人物

コグレフウカ

木暮楓夏:小3(女)

サワムラリョウタ

沢村諒太:小3(男)

チカサカケイ

近坂啓:小3(男)

タカジョウミホ

髙城未歩:小3(女)

サカクラマサル

酒倉優:小3(男)



楓夏:「ねえ?影神様って知ってる?」

学校の帰り道いつもの楓夏の「~知ってる?」が始まった。

優:「なにそれ?」

未歩:「知らないわ」

未歩が退屈そうに背伸びをする。

夕暮れに照らされて鴉が鳴き声をあげる。

楓夏:「あのね、?。一緒に遊んでくれる神様なんだよ。」

啓:「一緒に遊ぶって、どうやって?」

楓夏:「影踏みだよ。」

楓夏が啓と優の影を踏む。

諒太「違うよ。楓夏、どうやって神様と遊ぶんだ?」

横路の平地に皆を手招き、楓夏が皆の手を取り、繋がせる。

楓夏:「5人でね。手を繋いで丸くなるの。

そしたら、皆で目を瞑るの。それで、皆で一緒に

『影神様、影神様一緒に遊びましょう。』って言うと

太鼓の音がするんだって。目を開けるとね?

影がひとつ増えてるんだって。それが『影神様』。

そしたら影踏みの始まりなんだって。」

未歩:「うそ~」

未歩が楓夏に肩を預ける。

優:「なんだかこわいよ」

啓:「こわくねえよー?」

啓が優に肩組をする。

楓夏:「それでね?『影神様』から逃げられたらね?

お願い事がひとつ叶うんだって。」

諒太:「願い事ね、」

諒太は空を見上げる。

優:「えー、何にしようかな。」

優が堕ちてた木の棒で砂地に願い事を書き出す。

未歩:「面白そうね」

未歩も同じく書き出す。

啓:「なんでもいいのか?」

楓夏は後で手を組み少し申し訳なさそうに、

楓夏:「なんでもいいんだけど、

皆同じ願い事じゃないと駄目なんだって」

啓:「なんだそりゃ、皆で同じか、」

啓が優の願い事のいっぱいのお菓子にばってんをする。

諒太:「楓夏は決まってんだろ?」

楓夏は驚く。

優:「なになに?」

優は書くのをやめて楓夏の顔を覗き込む。

未歩:「私もそれでいいわ」

近い優を未歩が遠ざける。

楓夏:「未歩?。」

未歩:「貸しよ?」

未歩が楓夏にウィンクする。

諒太:「俺も楓夏のでい。」

夕暮れに黄昏ながら諒太は言う。

啓:「楓夏が言い出しっぺだしな。優もそれでいだろ?」

優:「次は僕のお願い事ね?」

楓夏:「皆、ありがとう、、」

楓夏は笑顔で嬉しそうにする。

諒太:「それよりルールは?本当に影踏みするだけ?」

楓夏は慌てたように言う

楓夏:「そうだった、、あのね、3つだけあるの。」

楓夏は3本指を立てる。

啓:「なんだ?」

優:「なあに?」

楓夏:「ひとつ。『影神様』と影踏みをする前に皆の

ポケットの中に金平糖をねひとつ入れとくの。」

楓夏がポケットに手を入れる。

諒太:「金平糖?」

優:「金平糖好き。」

未歩が楓夏のポケットに手を入れる。

未歩:「なんで金平糖なんか入れるのよ?」

楓夏:「『影神様』は金平糖が好きみたい。

影踏みしてもらったお礼に影踏みが終わると

ポケットの金平糖は無くなるんだって」

啓:「金平糖が無くなったらどうなるんだ?」

楓夏:「『影神様』が怒る!」

頭の上に手を乗せ指で角を作って鬼の真似をする。

優:「ひぃい」

優が怖がる。

啓:「落としてもいいようにいっぱい入れときゃいじゃねーか」

諒太が笑う。

諒太:「そうだね。啓、さすが」

未歩:「ふたつめは?」

未歩がVサインをする。

楓夏:「陰には入っちゃ駄目。」

楓夏が手でばってん印をつくる。

諒太:「『影神様』だからか。」

楓夏:「当たり!。陰は『影神様』が移動できるから

入ると捕まっちゃうんだよ。」

啓:「それじゃあ、俺達不利じゃないか?」

啓は首を傾げる。

未歩:「日が早いうちにやればいいのよっ。

そうね、遅くても7時ぐらいかしらね。」

啓の頭を軽くつつく。

諒太:「できるだけ広くて回りになにもない所でやれば

『影神様』の勝ち目は薄いね。

ここなんかちょうどいいんじゃないかっ?」

優:「諒太は頭がいいね。」

諒太の頭を優が撫でる。

楓夏:「そして最後。もしも捕まっちゃったらね、、

自分から影が消えちゃうんだって。」

未歩:「影が消えちゃう?」

啓:「これ?」

自分の影を指す。

優:「影が消えちゃったらどうなるの?」

慌てたように訪ねる。

楓夏:「動けないんだって」

場が静まりかえる。

啓が唾をのむ。

未歩:「なにビビってんのよっ!。男がだらしない。」

啓:「ビビってねえし、」

楓夏が場を和ますように、明るく振る舞う。

楓夏:「もし、途中で誰かが捕まっちゃったら、

帰って貰えばいいんだって。」

諒太:「どうやって帰ってもらうの?」

バラバラになった皆を手で繋ぎ直し、

楓夏:「始めた5人で手を繋いで丸くなって、

『影神様、影神様また遊びましょう』って言うと

『影神様』は帰ってくれるみたい。」

諒太:「楓夏、この話し誰から聞いたの?」

楓夏:「裏に住んでるお爺ちゃん。」

啓 :「あの爺さんか」

啓が腕を組む。

優:「あのお爺ちゃんお菓子くれる。」

優は嬉しいそうにする。

未歩:「んで、どうするのっ?」

皆が目を合わせる。

啓:「もちろん。」

手を広げて前に出す。

諒太:「賛成」

啓の手の上に載せる。

未歩が楓夏の手を握ってその上に載せる。

優:「僕だって!」

皆が笑う。

未歩:「じゃあ、明日!」

諒太:「金平糖忘れないようにっ」

啓:「遅刻するなよっ」

優:「金平糖、金平糖、金平糖。」

楓夏:「皆ありがとう~明日ねっ。」




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