ぐだぐだ自殺未遂の話 ~川に飛び込むのも楽じゃないね~
川って、独特の匂いがありますよね、その川によってなのか、
どうなのかは分からないですけど、
では、みなさん、心臓の弱い方は控えたほうが良いかもしれませんが、
とりあえずどうぞ。
※自殺は駄目、絶対ですからね!
みんな橋から川に向かって飛び込んだことがあるだろうか?
もちろん、多くの人は無いだろう、
でも僕は一度だけある、もう三年くらい前になるだろうか?
そこそこ大きな橋の中ほどから、一級河川と名高いかは知らないが、
淀川に向かって飛び込んだことがある。勿論、死ぬ気である。
なぜに死ぬ気になったのかにまで至る経緯を思い起こすと、
とても文字にはまとまらないし、とにかく死にたい衝動が、
勝っていたのだということだけはよく分かる。
何にせよ、自分に価値が見いだせなくなったのだ。
ただ、死にたい気持ちになることが多いのが、
鬱やら双極性障害の特徴だろうのことなので、
ああ、言って無かったが、医者から双極性障害だということで、
精神障害手帳3級までは持ってる、属に言う精神障害者だ、僕は。
だからといって特別扱いを受ける気は無いし、
そのことで自分が弱者なのだと思い、縮こまってるという、
ことではないから、とにかくそこまで心配しないでほしい。
さて死にたい気持ちは最近かなり湧いてくるのだが、
その度にネットで無暗に闇雲に、検索欄に死にたいとか、
殺してくれとか書き込んでるのはちょっとしたナイショだよ、
家族に見られるとちょっと差し障りありそうなのでね。
で、と、要するに死を体験したり経験すると、
価値観がちょっと変わってくるなという事について語ろうか?
僕は川に飛び込んだ、
その時は12月の末日あたりで普通に考えれば、
相当、水温は低い、そんなところに飛び込めば、
まず体温が急激に奪われる。
飛び込んだ現場までは自転車を漕いできた、
自殺する時のマナーである靴を脱いで飛び降りるっていうのを、
失念していて忘れて、靴を履いたまま、
父の形見のコートを羽織って、見事に川にダイブした。足から。
足から飛び込めたのは幸いだった、
水面との衝突は衝撃が結構あったけれど、
足から先に水に入ったことによって若干、ダメージは殺がれた、
次は溺れることの心配だが、まず、飛び込んだ時点で、
割と冷静に今の状態を推測して生きる方に頭を傾けたのが、
人間の行動と心理がつじつま合わないところで奇跡的とも、
思えるところである。
僕は生きる事を選択したらしく、まず、
コートを水の中で脱いで、身を軽くした、
父の形見のコートだったので残念だがこれは仕方ない、
次に着衣水泳の事を頭にめぐらせて、
その通りに行動を取った、僕は水泳を習っていたことも、
あったので、どうやら溺れることなく泳げるらしい。
時間帯は夜なので真っ暗に近いが、
橋の上にある街灯と、川から見える町の灯りが目に映って、
どちらの岸が近いか? なんとなくだが泳ぎ始めた。
途中、このまま沈んで死のうかと思った瞬間もあった、
何せ寒いし、冷たい、体は所々痺れてくるが、
それでも体は泳ぐ方を選択した、仰向けになって、
服に空気を含ませて浮く方法など、出来る限り試したが、
結局背泳ぎと得意だった平泳ぎを駆使して、前に進むことにした。
自然と、僕は冬の冷たい川の中で、なんとか岸まで辿りついた、
陸地、といっても草ぼうぼうで手入れが為されているのか、
為されてないのか、分からない河川敷の一角で、
高い高い橋の上から照らされる街灯のかろうじての灯りなどで、
目に映る周りの景色は、とにかく不安を一杯にさせる。
その時、僕が何を思ったのか、ああ、死んだんだな!
死んでしまった! と震えながら、冷たい濡れた衣服を脱ぎ捨てて、
パンツ一丁になって、なにやら一人芝居めいたやりとりを始めた。
ああ、死んでしまった! 死んだ! そうだ死んだんだ!
死んでしまっていたんだ、家族も! 僕はとうの昔に死んでいた!
死ぬってこういうことなんだよ、孤独で一人ぼっちで、
周りに助けてくれる人は誰もいない、黄泉の国、
このまま土に還るんだ、この冷たい土の上で、
みろ、弟たちも死んでしまったんだよ!
二人の弟たちは自分の仮想人格の一つで、
統合されてない自分が分裂して、今まで親に迷惑を掛けていたんだよ!
ほら、ここにぶら下がっているマスクは弟が良くしていたマスクだ!
俺は、とうの昔に死んでしまった弟たちに申し訳ないとは思わないのか?
とか、何やら情緒的に考えて、
精神異常の度合の昂ぶりが見えてきますね、
今考えると笑い草ですが、この一人芝居が出来ている時点で、
結構体力が有り余ってることがお分かり頂けるでしょうか?
そう、自殺者の大概は衰弱しているイメージがありますが、
僕のような衝動的な自殺未遂者はアクティブなほうなのです、
自殺に思い至るまでの、
死にたいという衝動も心臓が高鳴って瞳孔が開き切っているような、
感覚で覚醒状態という奴でしょうか?
普通よりもアグレッシブに自殺未遂をやらかしました、
それが幸いして死ねなかったわけです。
嬉しい誤算なのか、それとも潔く死ねなかったという事なのかは、
神のみぞ知ることですが、その時の僕は本気だったのでしょう、
ただ精神病を患っている人の本気とは正常とは大きく異なります、
常に揺れ動くようで、死にたい死にたいを後ざさえする形で、
すべての事を関連付けて考えます、
テレビで流れてる年末恒例の歌番組も、何もかも、自分自身を、
殺すことを肯定した形で促されます。
で、と、死ぬのには動機が要るんでしたね、
僕の場合、動機は、僕のせいで女の人が死んでしまったと、
思い込んだことによる心神喪失で自殺したというところで、
完全に精神的に妄想と現実が混濁していたのだと思います。
ちなみにこの動機を色々考えてみると、人によっては拒否反応を、
示す人も多かろうことなので、多くは語りませんが、
自殺にまで至る長いニート期間が始まったのも精神病が起因で、
そして自殺に思い至ったのも精神病の発作のようなもの、
特に顕著にそれが現れたことによるものだと思います。
僕はもともと、何かに突然打ち込んだり、
不安定な気持ちを不意に表現してみようとしたり、
変にネットに絡んでみたりする衝動に駆られてました、
それが結局のところ、僕自身が成長する機会を阻害して、
今現在ある、未熟者の精神障害者が出力される訳ですが、
おっと、話が反れましたね、
僕は死にかけていました、河川敷のどこか分からない場所で、
ずぶ濡れで全身冷えていて、ところどころ痺れて麻痺して、
飛び込んだときの衝撃で右目がどこかおかしくなってる気もします。
とにかく弱った状況でした、
このままでは死んでしまう事でしょう、凍死か何かで、
でもさっきも言ったように、ここに膝を抱え、
地面に突っ伏した姿勢で今までの人生を猛省し振るえている男は、
精神的にハイな状態で健康状態も割と良好な成人男性です。
要するに死ぬにも結構体力がいるのです……ハイ。
このまま土に戻ってしまう思考がグルグル回って、
蠅に集られて死ぬ想像が回っていたのですが、
あいにく、僕は死んでいませんでした、
ですが僕は自分が死んだと思い込んでいました。
死んでしまったんだ僕は、僕は死んだんだ!
そう考えが回ってる状態で、どうやって、
お前は生きていると肯定する他者が現れるでしょうか?
しかも絶望的には僕は神に祈って懺悔するのではなく、
倒れながらサタンの名を呼んで、
俺に悪魔の心臓を与えてくれと何とも最悪な言葉を吐きます。
パンツ一丁で地面をのたうちまわりながら、サタン、サタン!
とか叫んでる様は人に見せられたものではありませんね、
そこが河川敷の浮浪者さえいない空間であったのが幸運でした。
しかも助けを求めるつもりでもあるのか、
結構な大声を上げてましたからねえ……。
さて、まだ異世界転生しやがらない、クズめ、
と思った方は多いでしょうが、あいにく自殺未遂者を、
異世界転生させてくれるほど現実の神様は甘くないようです。
さて、既に死んでいると思い込んでる人間が、
次にすることってなんでしょうか? これはヒントはありません。
正解は、自分が本当に死んだのかどうか確かめる!
でした!
これ、結構、楽しい試みなんですよねえ、
死んでしまったで出口が無い人間が、
死んだのなら、少し現世を彷徨ってみようか、に、
精神面が変わるってことは、
ひょっとしたら精神病でいうところの、
谷を一つ越えた状態ともいえるのではないでしょうか?
僕は冷たさにしびれる足で立って、
今まで防御姿勢で体温を溜めこもうとしていて、
なおかつ心臓は異様なまでに鼓動を残した状態で、
ドクン、ドクンと鳴っているその状態で、
寒風が吹きすさび立ち上がれば凍えるだけのパンツ一丁で、
何とか、立ち上がることが出来ました、
次は何をするのでしょうか? とりあえず、
辺りを確認します、ここは河川敷、
河川敷は何度か通っていて地理が頭に入っています、
なのでこの水場に隣接した草ぼうぼうの所から、
河川敷の道に出ることが出来れば、家族が要るであろう、
家に一旦引き返すことが叶うのです、魂的に、霊的に、
まあ幽霊になって帰られた家族が可哀そうなのは確かですが、
それでも亡者となった自分の体が動く方向を探します。
川から離れて草ぼうぼうの中を分け入る様に、
河川敷の堤防の方向へ行くのには距離がありました、
それに途中、湿地になっているようで、
歩けそうにありません、が、
そもそも今いる場所に活路がありました。
どうも、この辺り、人の手が入っていて、
草木がところどころ狩り込まれてるようなのです。
そう考えると、道らしき道が見えてきます、
川沿いに延々と、空には月灯りと星空が広がり、
遠景にあるマンションの灯りが幻想的に辺りを包みます、
そんななか、痺れる体を一歩一歩と動かして、
前に進むことに決めた時、幸運にも刈り込んでくれていた、
道は、不安ながらも確実に、
心臓の鼓動とともに、寒風にさらされながらも、
結構な時間を掛けて歩くことで、徐々に、
この黄泉にも三途の川にも思えた世界から、
一抹の希望が見えもしたような感覚で、歩き出すと、
さっきまで一人芝居とうずくまっていた時間の、
皮膚感覚から、倍くらい歩いた位でしょうか、
徐々に草が整えられたものに変わっていき、
深夜の空気感の中で、僕は河川敷にある野球のグラウンドに、
辿りついたのです。
河川敷はよく、自転車で行き来していたので、
このグラウンドのある場所は頭に入っていました、
そうと分かれば、僕は足を動かして、
河川敷の堤防の上に向かって足を動かしました、
堤防の上は、よく人が走っていたりするのですが、
それが川沿いにずっと長く続いているわけで、
当然、あの橋のあった場所までそのまま進んでいけば、
辿りつけます。
ただ、僕は自分が死んでいるのか、
生きているのか、分からない状態だったので、
(これは今でも時々わからないのですが)
とりあえず、痺れる足と体を動かしながら、
凍えた体を温めるために走りだすと、
若干の羞恥心もあったのか、
パンツ一丁で、一目から隠れるように、
ダッシュで、家へ戻る道を走り始めました。
自転車で走ってきた距離です、
遠いと言えば遠いですが、
逆に自転車で走ってきたのですから、
体力さえもてば家まで帰れます、が、
途中に交番があることがふと頭によぎります、
お巡りさん、こいつです!
こいつがパンツ一丁で、
河川敷で拾ったマスクとキャップをつけてる、
不審人物です! なんて言われたら一発で、
お縄なので、 さすがに死んでる身の上で、
それは嫌だなあと思ったのか、
交番前を避けて、自身が住んでいるマンションに、
向かって走り始めました。
途中、息が切れもしましたが、
不思議なものです、死んでいるのに死んでない、
そんなパワーに支えられているのか、
それとも本当に死んでしまって霊体だから、
黄泉で無限の苦しみを味わっている最中なのか?
未だに分かりませんが、現世に近い空間にいることは、
確かです、
走ってる途中に夜道で歩きスマホをしている、
女性とすれ違いましたが、
通報はされませんでした、よかった。
で、と異常なまでに高まっている心臓の鼓動音とともに、
遂に自宅のマンション前の信号にまで辿りつきました。
その時の僕は心臓をバクバク言わせてましたが、
出来る限り、監視カメラに取られないように、
ダッシュで、エレベーターは使わず階段を、
駆けあがって、自宅にゴールを果たしました。
その時の家族の心配しようといったら、
どう話しても分からないものですが、
一日か前に叔母の火葬に立ち会ったすぐ後の事です、
さすがに息子まで失うとは思わなかったのでしょうが、
五体無事に帰ってきたのもあって、
すぐさま風呂に入って、
上がってきたら、
蕎麦を食った、のは覚えていますし、
その後は眠りにつきました。
寝れてたかどうかはわかりませんが。
あとで思い返すと、自殺未遂をする前の、
何日間か、夜は覚醒状態で眠れていなかったのを、
ちょっと覚えていますから、睡眠は大事なのは確かで、
で、家に帰ってからしばらく、
まだ自分が死んでいると思い込んでいる状態が続き、
家族には多大な迷惑を掛けたわけですが、
面白いことに生きていると思えば性欲は湧きますし、
死んでいると思えば途端に覚醒状態になってうわ言を吐く始末で、
まったく、人間というものは、
何かと神様に試されているんだなと、
思う次第ではあります。
ただ、僕は今も地獄にいるような気持ちで、
そして天国に近い地獄にいる気持ちで、
今日を送っているのは確かです。
現実に近い場所であの世の沙汰が決まるまで、
延々と判決を焦らされている、
あまりにも迷惑な自殺未遂をした人間に、
与えられた罰としては最適なのか、
それとも甘いものなのかは分かりませんが、
異世界転生とか知らない時に、
このような顛末になったのは結構不思議で、
今、異世界転生ものが割とメディアで、
紹介されている状態でのぞんだのならば、
もう少し違う結末が待っていたのかもしれません。
とはいっても異世界転生ものの流行りとは、
結構時期がずれるのかもしれませんが。
さて、人間は死にたいと思うものです、
日常的に潜在的にずっと思ってるものです、
それを実行するまでの事態に至って無いだけで、
ちょっと何日か眠れない覚醒状態に陥ったり、
情緒不安定な日々に何がしの不幸が重なれば、
容易に身を投げ出すところまで想像がいって、
自分の足を動かしてしまう生き物です。
そんな弱い生きものなのですから、
そうそう、自殺するまで追い込むものじゃないし、
死ねないものを突き落すような真似も、
あまり褒められたものではないのは確かです。
ほんの少しのことで希望を抱くし、
ほんの少しのことで、絶望もします。
今回は僕が身を持って体験した、
自殺未遂の話に付き合って頂いて、
本当に読者のみなさんに申し訳ないのですが、
僕を知っている人も、
そうでない人も、
僕が弱い人間なのだということは、
なんとなくお分かり頂けたと思います。
すべては自分の病気を認められない、
認めようとしないで治療を行わない、
ずるずるとした態度から来たもので、
そして自分のそうした態度さえも、
病状の一種であったことを分かろうとしない、
頑固なところが招いた自殺未遂でした。
今は、治療を受けていますし、
出来る限り、頼れるものには頼って、
叶う事なら安寧が得られるようにと、
舵を切ったところですので、
まあ、なんとか一日を過ごしていますが、
本当、話したいことだけ、
話して、つき合わせてしまって、
すみませんでした。
今後は、なるたけ、
違った形で動けるように、
したいものです。 では。
飛び込んだその後の話ですけど、何日かしたら、
大雨振って、雨あがった後、
ちょっと用事で出かけた河川が濁って濁流でしたから、
少し日にちがずれていたら、無事では無かったろうと、
思うと、ちょっとした運命の巡りあわせも感じますが、
やっぱり人間、臨死体験に近いことをすると、
ちょっと感覚がくるうものですね。
※自殺は駄目ですよ、うん