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VRゲーム チュートリアル

作者: kouto


フレデリック「ようこそ、グランドブレードの世界へ」

 何処までも広がる草原の中、フレデリックと名前が表示された鎧を着た男が話しかけてきた。

フレデリック「まずは私の顔を見てくれ」

フレデリックの顔をじっと見る。

フレデリック「それでいい、では次に私が光のマークを出すからそれを目で追うんだ」

フレデリックから一筋の白い光が出た。彼の言葉を聞かずに歩き始める。

フレデリック「勝手に歩くな」

フレデリックを殴る。彼は微動だにしない。

フレデリック「やめないか、チュートリアルが終わらないぞ。光を目で追うんだ」


 仕方なくフレデリックが言った通りに光を目で追う。一周した所で光はフレデリックの元へ戻り、消えた。

フレデリック「では次に私が質問をする。正しいなら『はい』と答えるか、首を縦に振る。違うなら『いいえ』と答えるか、首を横に振る。重要な事だから先ほどのようにふざけない事だ。分かったか?」

フレデリックの前に『質問:分かったか?』と文字が表示された。

「分かった」

フレデリック「それでいい、では質問するぞ。使っているコントローラーはボディコントローラーである」

「そうだ」

フレデリック「使っているコントローラーはハンドコントローラーである」

「そうだ」

フレデリック「違うだろう。それとも本当にハンドコントローラーなのか?」

「違う」

フレデリック「そう君はボディコントローラーを使用している。使い方について説明しよう。まずは右腕を見てくれ、アシストモジュールがあるだろう」

 右腕を見ると絵がついたボタンがいくつもある籠手のような物があった。


フレデリック「モーションボタンを押してくれ、左上にある人が描かれたボタンだ」

 右下の手紙の絵が描かれたボタンを押す。反応がない。

フレデリック「そのボタンではない、左上にあるボタンだ」

 右下のボタンを何度も押す。やはり反応がない。

フレデリック「そのボタンの説明は後で行う、今は左上にあるモーションボタンだ」

 モーションボタンを押した、すると黒く透明なパネルと共にリストが現れた。

フレデリック「相手とのコミュニケーションは大事だ、一番上の挨拶1を選択してくれ。選択するには挨拶1をタッチするか、注視してくれ」

 挨拶1をじっと見つめる。モーション挨拶1を選択とパネルに表示され、自分の体に青い点線のような物が現れた。そして自分の前に鏡のように青い点線の人型と挨拶のポーズをとる赤い点線の人型が現れた。

フレデリック「青い点で示されているのは君の現在のポーズだ、そして赤い点線が挨拶1のポーズになる。赤い点線のポーズと同じポーズをとってくれ」

 赤い点線と同じポーズはとらずに色々動くが特に何の反応もしなく、仕方ないので同じポーズをとった。


フレデリック「それでいい。他にも様々なモーションがあるから色々試してみるといい。では次はこの草原を歩いてみよう、私の後について来てくれ」

 フレデリックが歩き出す。走ってフレデリックの後を追い越した。

フレデリック「歩きながらこの世界の事について少し話そう」

 後を追い越した事を無視してフレデリックは話を始めた。

フレデリック「はるか昔、グランドブレードでは神と悪魔の戦いがあった。神は人間や動物といった生命を創り出し、悪魔は瘴気を使ってそれらを魔の眷属、モンスターに変えた。人間とモンスターは争いあい、最後は・・見ろ」

 フレデリックは指差す。その先にあった雲が晴れ、青い空の向こうに地面に突き刺さる巨大な剣が姿を現した。

フレデリック「聖なる力を宿した巨大な剣が大地に突き刺さる事で大地を浄化し、瘴気を消し去ったのだ。だが最近、その瘴気が各地で現れ始めモンスターが増えている」


 フレデリックは立ち止まり、こちらを見る。

フレデリック「歩き続けたが、少し疲れたか?」

「いや」

フレデリック「そうか、元気なのはいい事だ。だが、ずっと歩き続けるのは疲れる。そこでオートムーブ機能だ。右腕のアシストモジュール真ん中にある丸いボタンを押してくれ、アクションボタンだ」

右腕の籠手の真ん中は丸いガラス玉のようになっていて体力等のステータスが書かれていた。

ボタンを押すと矢印と矢印の先から青い点線が何処までも伸びていった。

フレデリック「矢印は指で回転させる事ができる。矢印の先から伸びる点線を私に合わせ、もう一度アクションボタンだ」

 特にふざける事もせず、フレデリックに言われた通り行う。するとフレデリックの体の周りが青く光を帯びた。

フレデリック「これで私にマークがついた、私と一定の距離でついて行く事ができる。私は歩くが、君はその場で動かないでいてくれ」

 そう言ってフレデリックは歩く。フレデリックの後をついていってみたが何も起こらないので立ち止まった。フレデリックがある程度離れると、体が引っ張られるようにしてフレデリックを追いかけていった。

フレデリック「これがオートムーブ機能だ。さて、何処まで話したか? そうそう最近瘴気が出始めモンスターが増えている話だったな。嘆かわしい事にそれに伴って瘴気の研究やら悪魔崇拝の宗教が表に現れはじめている。詳しい事は公式のホームページやゲーム内の図書館で調べてくれ。・・さて、君がこれからどうするかは君次第だ。だがモンスターを退治し、その戦利品を活用する事で君の行動範囲は増える事になるだろう。次はモンスターとの戦いだ。ほら歩きまわっているうちにモンスターが現れたようだ」

 フレデリックは立ち止まって向こうを見る。そこには黒い犬のような姿をしたモンスターがいた。


 モンスターの元へ向かって殴りに行く。0の表記が出た。

フレデリック「モンスターと戦うには神聖な力を持つ武器が必要になる。右腕のアシストモジュール左下にある道具袋が描かれたボタンを押せ、アイテムリストが現れる」

 言われた通りのボタンを押す。すると黒く透明なパネルの中にアイテム名が書かれた文字が出た。

フレデリック「今、出ているのが君が持っているアイテムだ。アイテム名を指で選択するか注視するとアイテムの絵と詳細が出る。上のバーにあるアイテム種から武器を選択して、好きな武器を選べ」

 バーにある剣の形をした武器のアイコンを注視するとリストの中に武器が表示され、二丁サブマシンガンを注視するとその詳細が現れた。

フレデリック「そのまま武器の絵から武器を取り出すんだ」

 パネルの中にあったサブマシンガンを手に取る。するとパネルは消えサブマシンガンを持った状態になった。彼はサブマシンガンを持ったまま腕を動かす。サブマシンガンは重く空気の壁を動かした。

フレデリック「その武器でモンスターを倒すんだ」

 唸るだけで動かないモンスターに照準を合わせ引き金を引く。激しいマズルフラッシュとリコイルと共に弾丸が放たれ、100の文字が何度も現れモンスターは倒れてその姿を消し、その場に白い枠で囲われたアイテムが出た。

フレデリック「モンスターから現れたアイテムは直接拾ってもいいし、アクションボタンを長押しすれば周囲の物を一括で取得する事ができる」

 アクションボタンを長押しすると自分の体を中心に円が描かれ、その円の中にある落ちていたアイテムは籠手の中へと吸い込まれていった。

アクションボタンのガラス玉には取得したアイテム名と個数が10秒ほどの間書かれていた。


フレデリック「さて次は・・」

 武器をフレデリックの足に向けて一発放つ。

 放たれた弾丸はフレデリックの体を透けていった。

フレデリック「聖なる力を持つ武器は敵と障害物にしか当たらない、安心しろ」

フレデリック「次はメールだ。アシストモジュール右下の手紙の絵が描かれたボタンを見ろ。青く光っているだろう。メールが届いたんだ。ボタンを押してみろ」

 メールボタンを押す。すると届いたメールの一覧が現れた。

フレデリック「そのメールを選択するか注視するとメールが開く」

メールを開くと『モンスター初撃破おめでとうございます』と書かれていた。

フレデリック「そのメールに返信を送るんだ、右下の返信というボタンを押すか、注視するんだ」

 注視すると複数のパネルが現れた。

フレデリック「送る内容は『ありがとうございます』だ。指で文字を書くか右側に置かれたペンを持って書く。下側にあるキーボードで文字を入力してもいい。入力が終わったら送信ボタンだ」

キーボードで文字を入力する。『あああああ』と、そして送信ボタンを押した。

フレデリック「これで返信は完了だ、入力された文字は『あああああ』だが間違いないか?」

「違う」

フレデリック「ふむ、入力システムに不具合があるかもしれない、もう一度送ってみてくれ」

 その後、色々ふざけたがやはり進まないので大人しくメールを入力した。

フレデリック「入力された内容は『死んでしまえ』だが間違いないか?」

「そうだ」


フレデリック「では次に別の人間とのメールのやり取りについてだ。こちらからメールアドレスつまりメンバーIDを送る方法だ。メンバーIDの送り方はアクションボタンで矢印を出した後、メールボタンを押しながらアクションボタンだ、私に試してみろ」

 フレデリックに言われるまま行う。

「それでいい。では次にこちらからそちらへ私のIDを送ろう。・・送ったのでメールボタンを押してくれ」

 メールボタンを押してパネルを開く。

フレデリック「上部にメンバーリストのタブがあるから選択してくれ」

メンバーリストを注視するとフレデリックの名前があるリストが出た。

フレデリック「では私の名前を選択しメールの送信だ。残りのやり方は返信の時と同じだ。内容は何でもいい」

 フレデリックの名前を注視するとメールの送信、チャットの参加、パーティに誘う、等が表示されメールの送信を選び、メールを送信した。

フレデリック「これでメールは終わりだ。パーティについて少し説明する。詳しい事はゲーム内の訓練所に来てくれ。パーティは1組5人までとなっている。パーティを組むと様々な利点がある。例えばステータスを上げるパーティ専用スキルや、アイテムや経験値を取得した際、パーティ内の全員が取得できたりする。ただし一部のレアアイテムは一人しか取得できない為注意が必要だ。分かったか?」

「分かった」


フレデリック「では最後のチュートリアルだ。乗り物の馬に乗る」

 馬が二匹草原の向こうからやって来た。

フレデリック「アクションボタンで矢印を馬に向け、モーションボタンを押しながらアクションボタンを押すんだ。馬に乗るモーションが表示される」

 馬に向けてモーションボタンを押しながらアクションボタンを押す。

 すると、馬の鞍の足掛け等の一部が赤い点線が表示され、赤い点線の人間が馬に乗るモーションを繰り返す。

フレデリック「モーション通りに動けば馬に乗る事ができる」

フレデリックはもう片方の馬に乗る。

フレデリック「もし、馬に乗る事が難しいのであればアクションボタンの矢印を馬に向けてアクションボタンを長押しするんだ。すると自動で馬に乗る」

 モーション通りに馬に乗り、手綱を握った。

フレデリック「馬を動かすには馬の腹を軽く蹴れ、すると歩く。もう一度蹴れば走る。そして手綱で進行方向を決めるのだ。手綱を引けば馬は止まる。私の後について行くならば私を対象にオートムーブをする事だ」

 そう言ってフレデリックは馬を動かし、前に出る。

 馬の腹を蹴って馬をフレデリックのように前へと進ませる。

 フレデリックは馬を走らせ、同じように馬を走らせる。

フレデリック「乗り物は速い、馬以外にもバイクや車など様々な物がある。操作方法が分からなければモーションボタンだ」

 草原に霧が出始め周りが霞んでいく。

フレデリック「チュートリアルは以上になる、もし分からない事があればアシストモジュール左下にあるヘルプボタンを押せ、様々な情報が載っている。アクションボタン長押しの矢印と併用すれば対象のヘルプを開く事もできるので是非使ってくれ」

 フレデリックのその言葉と共に辺りは真っ白になり、気づいたら街の入り口で立っていた。



 チュートリアルは終わったのだ。

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