エラキンクエスト11・世界の半分
ヨシテル達は迷って城へとやってきた。
「そこにある像の一つは嘘をついている。食べ物を供えよ」
笑った顔の像、怒った顔の像、泣き顔の像がある。
ヨシテルは何も供えなかった。
「なぜ供えない?」
「食べ物を持っていない!
エラドラゴンを探していたら3日路頭に迷ってしまったんです」
ヨシテルはフラフラになりながらも、これまでのいきさつを話した。
様々な人にエラドラゴンの居場所を探してきたが、どれも当て外れだった。
森で迷いに迷ったあげく、この城に辿りついたのだ。
「ハッハッハ!まぁいいだろう。奥へ来るがよい」
奥へ行くと広場に着いた。
長いテーブルの上には、豪勢な料理が並んでいる。
黒いマントの素顔を隠した人物が、テーブルの奥の席に腰掛けている。
「客人よ。食べるがよい」
ヨシテル達は言われるがまま料理に食いついた。
「エラドラゴンを探しているのですが、ご存知ないですか?」
「俺がエラドラゴンだ!」
エラドラゴンはマントを脱いだ。
アゴにエラのついた竜の姿があらわになる。
「なっ何だと!?」
「心配するな。料理に毒など入っていない」
エラドラゴンは穏やかな表情でワイングラスを手にした。
「何のつもりだ?我々とお前は敵同士だ」
「どういう者が、魔王エラキングさまを倒さんとするか興味があってな。
俺は遠い昔は魔王と恐れられたが、勇者に負けてからエラキング様が魔王となった。
今はエラキング様の右腕として世界の半分を任されているが、恐怖の支配にはもう興味はない」
エラドラゴンはワインに一口つけてから話した。
「まだ貴方のことは信じられない。
しかし刃を向けないのなら私も剣は抜けない」
「お前の行動を洞察していたら、俺が貫いていた正義は脆くも崩れた。
そして気づいてしまったのだ」
エラドラゴンは天井を見つめながら言った。
「何を気づいたんですか?」
「俺はヨシテル、お前が好きなのだ!
どうだヨシテルグッズを作ってみたぞ!」
エラドラゴンは、にやけながらヨシテルの写真やフィギュア、ぬいぐるみなどをテーブルの上に置いた。
「いっいや。そうだ!パープルはいかがでしょうか?」
「お前でなければダメなのだ!
お前が拒むなら、俺は全力で人間達を脅し魚人にするぞ!」
エラドラゴンは真っ赤な顔で立ち上がった。
「考えておきます!」
ヨシテル達は逃げるように城を後にした。