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月の夢

追憶の秋二編目です。


夢を見た。月を見上げる夢を――。


銀月の照らすなかで

 コノハナサクヤノヒメハ

咲き散りながら風で舞い上がる

 テラスツキニ

桜の花びらが魅せた情景を――。

 ドンナオモイヲハセテイルノカ――


沈みゆくなか水面に揺れながら

 セイレーンノココロヲ

銀月が遠のいていく光景を――

 ツキノヒカリハイヤセルダロウ――


紅い木々たちに抱かれながら

 カゼニフカレユクモミジタチハ

微笑むように見下ろす月の風景を――

 ドコヘムカッテイルダロウカ――


地に降り落ちていく白い雪に

 シロイハナビラノヨウニマイオチルユキハ

優しく照らす月の光

 ネムルヨウニヤスラカニ

それは儚くて美しい景色――

 ダイチヲツツンデイク――


そして最後に見たのは

 ハカナキヒカリハ

雲上に浮かぶ大樹の浮き島 マイナガラ

月を背にそびえるように

 テンジョウノツキニ

佇む大樹に

 ノボッテイク

私は絶美を覚えた――


夢から覚めた私は

 ヨガアケテモ

あの夢の中の大樹の美しさを

 ユメヲミルコトハ

描き出すために

 オワリハシナイ

心に焼き付いた絶景を

 ココロノナカニ

白いキャンパスに描き始めた――

 イキヅイテルノダカラ――


《終》

マジックとボールペンの二種類で、漢字とカタカナの文字の強弱をつけてたのを思い出します。


その頃に二編一作の手法を思い付いたんですね。

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