心の諦観
時折、言葉を聞いていて思う時がある
彼の者は本当に理解しているのかを
そんな時は心を擦り切らせるしかない
幻想を見ているのは誰なのかと考えながら
そのジグソーパズルの構成する要素が欠けたとしても
彼の者たちは気づくことは無いだろう
見えることのできないものを見ようとしないから
ジグソーパズルの完成は永遠に来ない
見ようとしないからこそ、幸せなのか
見ていると思うからこそ、幸せなのか
知っていると思っているからこそ、願いを抱くのか
知らないことを突きつけられたくないからこそ、願いを退けるのか
望みを叶えようとするからこそ、満足するのか
叶わない望みだからこそ、否定するのか
現実を認めないからこそ、夢想するのか
認めたくない現実だからこそ、嘆こうとするのか
煙は火から、盲目は心から、夢想は望みから、
それぞれ枝分かれして生じるというのに
それらを否定され続けられて
心の擦り減りは今もなお続いている
嗚呼、黒い無数の人影の幻覚が
心を擦り減らそうとしている
抗う術を奪われているゆえに
なす術もなく呑まれていく
黒い無数の人影の幻覚に悩まされながら
今日も幻想に溺れていく
理解を求めて裏切られていく現実から
孤立していく幻想へと墜ちていく――
《終》




