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鍵物語

かつての鍵を通して

綴られた物語たち


酒を呑みながら、白紙の本に描いたのは

以前に犯した罪の思いの告白

真実を改竄しての救いと花冠の記憶

心霊を伴って彷徨うタナトス率いる死神のパレード

黒き嵐という終焉を迎えた世界に対する報復

幻想の狂気を秘めた奇妙な夢


最後まで紡げただろうか

脳裏に写し描かれた物語たちは


ティラミスが繋いだ恋心

悲恋に満ちた少女の想い

王様が受け取った魔女のチョコレート

狼が抱いたお化けカボチャ


恋の詩は互いに寄り添い合えたのか

幸せな終わりを迎えられたのか


追憶と約束とに揺れる寄稿集

地震による解説の記録と

狂気の戯言とバトン


幻想が始まったのは記憶の中だったのか

偽りの中だったのか


輪廻に孕んだ罪の鎮魂歌

魔王たちの戦い

囚われた真の終幕


愚者なる作家が紡いだ物語たち


亡くしてしまったかつての鍵は

もう、この手には入らない


だからこそ、私は詩ったのだ

かつての鍵が紡いだ物語を一つの詩として


かつての鍵が遺した物語は

新たな鍵に引き継がれ

物語は永遠に紡がれる

紡ぎ手がいる限り紡がれて

語り手がいる限り語られる


だからこそ、私は詩を紡いでいこう

だからこそ、私は物語を紡いでいこう


解放に至るための幻想を

冒涜されし死者の物語を

英雄となった戦士たちの幻想を

転生を繰り返す少女を巡る物語を


過去に霧散した幻想をかき集め

未来に遺す物語を紡げ


私だけの幻想の地平線を織り成そう


新たなる鍵を通して

かつての鍵で紡いだ物語たちから

新たなる物語たちを紡いでいくのだ


フライング気味なリスタートだけども

凍結の冬で時を停めるべきではない

始まりの春で一歩でも踏み出すべきだ


小さな一歩はやがて

大きな一歩となるように


踏み出す勇気を私は持とう


そして、歩み続けよう

言葉を繰る作家としての道を――


《終》

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