第三話 【馬鹿】なりの考え
* * *
掃除の少女を労って、侍女に見つかる前に移動を開始した。
……それと、先ほどの少女。
人ならば感じない違和感を感じた。
おそらく――
「魔導師……いや、魔術師か…………」
確か、魔導師は魔術師の上。
つまり教師のようなモノだと、以前聞いたな……。
後。
国――ファムローダ――から出てこないって言うことも……。
ましてや幼くして、自らを守る術を知らぬ者が、あの国を出るのは自殺行為。
先ほどの少女の年齢を考えるに、十代の中ほどだ。
そんな年ではファムローダから出ることはかなわない。
アイツが許さない……。
……何気に民を愛しているようだしな…………。
ま。
それ故か知らねぇけど、遠巻きにされてること気づいてねぇっぽいけどさ。
アイツなりの優しさは伝わりにくいっぽいしな。
さて。
アイツの話は頭の隅に追いやって。
今考えるべきはあの少女。
…………なんでこの国に居るんだ?
魔力持ちの人間はファムローダから出ない。
しかし、強ければ話は別だ。
こちらが手出しできないことを承知で、喜んで干渉してくる。
アイツがそうだったようにな……。
あぁ。
思えばさんざん引っ掻き回されたなぁ…………。
売ってない喧嘩を俺が売ったって言いがかりつけられて、戦争ふっかけられて。
原因判明したころにはもう相手がノリノリで……。
ウィルとセイド、ロイドにさんざん叱られたっけ…………。
まぁ。
引っ掻き回しいた奴に後始末はさせたけどな!
あれの妹は最強だとしみじみ思ったものだ……。
…………話がそれたが、何か言いたいかというとだな。
あの少女。
魔導師に会ったことのある者であれば、魔術師と疑う程の、魔力がある。
しかし、見たところ魔力の使い方を知らない様であった。
ついでに、さほど強くもない。
あと……。
今まで俺がであった生粋のファムローダ人とは、少し、違うようにも感じた。
が、しかし!
人間より、使えるよなぁ…………。
ふっふっふっふ……。
よし、決めた……。
アイツ使って、使えるようにして。
俺の手足にしてやろう…………。
くっくっくっく……。
「ねぇ、君くらいの幼女はそんな物騒な顔で笑わないよ。ルファネス」
背後から聞こえた透き通った、楽しげな声。
……まさか、この声は…………。