プロローグ
小さな泉の傍に座り込み、地面に手をついて覗きこむ少女が居た。
そして、そんな少女に近寄る男の姿も。
「あれれ~? ニコちょん何見てんの?」
「………………………(『ちょん』……?)ルファネスさん……」
少女はきょとんとして振り返り、男を確認してそう呼んだ時。
男は少女が見ていた泉を覗き込んだ。
「ん~……なんだ、ロイドか」
「うん。お兄様、楽しそうだなぁって……」
「そうだねぇ。こっちはカオスってんのな」
「…………うん……」
「でも、にこちょんは良かったんじゃない? 爺ちゃんと婆ちゃん、叔父上夫妻に会えたんだから」
「……そうだけど、ルファネスさんもでしょ? 王様たちに会えて大声で泣いてたってお爺が言ってたよ?」
「…………あー……そう……」
少女は男が黙ったのを見て、再び泉を覗き込み。
男は少女の隣に座り、同じように覗き込んだ。
「あ! お兄様が赤ちゃんと一緒に転んだ!」
「え? あ、ホントだ」
「けが、してないと良いんだけど……」
「大丈夫でしょ。アイツなら」
「……あたし、お兄様じゃなくてお兄様の赤ちゃんの心配してるんだけど」
「あ、そっち?」
「うん」
彼らの居る場所は酷く穏やかで、幸福で。
何より暖かかく。
優しい場所……。
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「さて、と。ルファネス~。テンセーの時間だぉ~!」
「……それより君さ、血まみれじゃん! てか、どうしたらそうなんだよ?!」
「え~? エルにおしおきされた!」
「なるほど~。エルって怒らせたら怖そうだもんな」
「『怖そう』じゃなくて『怖い』んだぞっ!」
「てかさぁ。アルって学習しないよね……」
「君もでしょ?」
「アル程じゃないと思うんだ」
「私と変わんないと思う」
「え~。全然違うし!」
「ん~…………ま、いいや! 次、何になりたい?」
「え? あ~……『人間』?」
「なんで疑問形?」
「ロイドがうるさかったから」
「ふーん。分かった。じゃ、『男』と『女』どっちがいい?」
「そんなの決まってるだろ?」
「え? どっち」
「『女』!」
「あはは! やっぱり?」
「当たり前! あいつゼッテー驚くぜ」
「あ! じゃ、せっかくだし転生しても記憶が消えないようにして、エドレイの【第一継承権】あげちゃうね! 君が王様の時ってとっても面白かったから!」
「え! マジ?!」
「うん!」
「ありがとーアル!」
「いえいえ~楽しみにしてる~!」
「おう、任せとけ~!」
こうして。
一人のお馬鹿すぎる男は、友人を驚かせるためだけに女に生まれ変わり。
神はそれを面白がり、全力で後押ししたのだった……。
* * *
はい。
予告通りやらかしました!
……え?
『書きかけを片づけるんじゃなかったのか』?
あ~……うん、そのうち、気が向いたらやります……(^_^;)
次回は……不明?