だれだってそうする おれだってそうする
「例えば、大した身長やジャンプ力なんて無いのに、ダンクシュートが撃てるような気がしたり、それがどんな仕組みかも分からないのに握りさえ知っていればフォークボールやナックルボールを投げられるような気がしたり、投げるマネしてみたり」
う、うあ。
「波どう拳orかめはめ的なものが撃てるような気がして、腰をかがめて「気」的なものを手のひらに集めてみたり」
……あ、あうう。
「それこそ、自分は勇者の生まれ変わりだ、なんて思っちゃったり」
あ、ある。確かにあります。でも……。
少年のいたいけな思い出をほっくり返されて、顔が赤くなってしまう。
「ただのママチャリにやたら格好いい名前をつけて、英雄を気取って疾駆させてみたり」
……や、やめてやめてとめて(涙)。もはや顔から火が出そう。
いや、でもそんなの、健全な青少年が見る当たり前でほほえましい夢じゃないか。
「いいえ。そんなの、いい歳して神様だけです(キリッ)」
え、えええええ……。
「それに、神様には、何か夢があるはずです」
ゆ、夢……。
そ、そりゃあ俺にだって夢くらいあるさ。
夢のない世界なんてつまらないじゃないか(多分)。
「……やはり。新時代の神に選ばれるのは、旧時代にはなかったまったく新しい価値観を持っていることが多いのです。旧時代の価値観に新風を吹き込み、そこから生まれる学術や信仰を糧にして世の平安を保つこと。あるいは異端ともいえる創造力の具現化こそが、「神様試験」の目的であり、神髄なのです」
はぁ。なんだかよく分からないけど……。
「というわけで、今から神様の夢を調べます」