狙われた街(セブン的な意味で)
クール便から出てきた女の子を、
えと、玄関で立ち話もなんだから奥の方へどうぞ。
などとなんだか間抜けな言葉で家に上げる。
「はい、おじゃまします」
にっこり微笑んで、美少女が付いてくる。
はっきり言って女の子と話す事なんて学校の先生くらいのものなのだが、この人には何だか自然と話すことができる。引きこもり(ルビ:おたく)はあんまり人になつかないというのに。
……というか、あまりにも自分にとって不自然すぎて開き直るしかないって感じかも……。
えと、イングリッド……、さんだっけ。
「はい、ボクの名前はイングリッド。これでも地元ではちょっとした貴族の末裔だったりします」
畳の居間でちゃぶ台を向かいにして座る青髪の美少女が答える。
「何だかこの状況、『狙われた街』みたいですね」
……? 何だかよく分からないが、イングリッドさんが微笑んでいる。
俺はワイシャツ一枚のイングリッドさんのふとももと胸のあたりには極力気にしないように全身全霊を傾けながら、話を続ける。直視するには、いささか肌色分が多すぎる。
あの、この日本にはどうして来られたんですか?
「はい、神様と会うためです」
なんか、さっきもそんなこと、言っていたような。
「えと、もしかして宗教関係の人? 宣教師さんとか」
夏休みの東京には見た目高校生くらいの宣教師が増えたりする。そう考えれば何となくつじつまが合うような気がした。あ、もしかして祓魔師とかだったりして。青いし。
「いいえ。ボクの神様は吉祥寺ヒロトさんだけです」