いきなり放置プレイ
「初めましてぼくの名前はイングリッド。北欧から来ました」
は、はぁ。
クール便のダンボールから現れた少女は、透き通るような青髪のロングヘアーをなびかせている。
かなりの美少女、だという気がする。瞳も青くて、なんだか吸い込まれそうだ。ダンボールに座り込んだまま、こちらを不思議そうに見つめている。
ミーン、ミンミンミン。
ミンミンゼミがうるさい。何でこんな季節に。今流行の異常気象とかなんだろうか。表の路地を車がブウンと通る。
せめて鳴いているのがひぐらしだったら、もうちょい雰囲気出そうな物なのに。何て思う。
ほんとうに何の変哲もない、初夏の夕暮れである。
……はずだった。
しかし、目の前には青髪の美少女が居る。
「あの……、いきなり放置プレイでしょうか」
可愛い顔からいきなり「プレイ」とか出てきたのでちょっとたじろぐ。
「あ、「放置プレイ」って日本語、間違いだったでしょうか。日本語は国でそれなりに勉強してきたつもりだったんですけど」
あ、いや。
ええと、初めまして。
「ハイ! 初めまして」
イングリッドと名乗った美少女は、長いワイシャツ一枚しか着ていない。