表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逢魔ヶ時 SENSATIONAL  作者: 巡理 圍
帰省。
9/9

燃費の悪さ。

「体力ねぇーんだな」


竹林を妖怪変化で追撃した後、何故か虫の息になった俺は、足早に自宅へと戻って来ていた。


帰ってくるなり、敷きっぱなしの布団へ飛び込み、疲れで溢れる体に、負担が掛からない体勢を考えながらゴロゴロしていると、まるで、ニートを蔑んだ目で見る母親の様な表情を浮かべて、桜鬼が俺の机に腰かけていた。


「妖怪変化...だっけ?

あれ凄く疲れるんだ」


「滅してもない癖に...情けねぇーぞ?」


挑発する様な声音だが、無視する。

今の俺には、じゃれつく気力すら残っていなかった。


常世に入ったのは、桜鬼と初めて会った時を入れて、二回目だ。

初めて入った時の事は、正直 あまり覚えていない。

しかし、今回 常世に入った時見た景色、色、豆腐屋のラッパの音色、竹林のまさに、人間離れした風貌と鮮明に思い出す事が出来る。


ーーー本当に...何がしたいんだろうな、俺は。


結局、桜鬼(じんがい)に流されて契約して、竹林(じんがい)に襲われて...映画の主人公の様に、目的もなければ、使命もない。


ただ、一人 人外の知り合いが出来ただけで、基本的な日常は変わらない...いや、それ所か悪くなってるよな。


艶やかな黒髪を纏った少女の顔が脳裏を過る。

人と深く接する事が無く、悩んだ事はあったが、あそこまで人に拒絶されたのは始めての経験で、むしろ、傷付くとか以前に、考える事を破棄していた。


ーーーそういえば...彩花さんにもあの後から会ってない...


此処に来て、そんなに経っていないはずなのに、色んな事があった。これからどうするかを考えながら、俺は優しい微睡みに落ちていった。


Ⅹ Ⅹ Ⅹ


翌日、学校に竹林の姿は無かった。

桜鬼が言うには、「どっかの誰かに殺されたんじゃね?」とのこと。


しかし、人間に紛れて生きている人外は、強く賢い奴が多いらしい。つまり、並みの人外なら逆に食われてしまう可能性もある。が、例外は居る。


桜鬼に気配を察知された事でわかるとおり。

竹林は、人に化けるのが下手だった。


それなのに、転校して早々の俺に正体を現し、ましてや襲ってきたりと確かに賢い奴とは言いがたい...でも、ただの馬鹿だとも思えない。

何か、違和感の様なモノを感じた。


簡単に言えば、生き急いでいる様に見えた。


「おっひさー!!」


「うわっ!?」


曲がり角から急に飛び出して来た彩花さんが、俺に猫だましを食らわせた。


「な、何するんですか...」


「いやぁ~、悩める少年が歩いてたもんだから...

あ、妹に会った?」


「玲ですか...一応 会って話しました。

クラスも同じです」


「なぁ~んだ。上手くやってるみたいじゃん...

てっきり、薄情者ぉ!!とかって怒鳴られて口も聞いて貰えないんじゃないかって思ってたのに...」

薄情者ぉ!!の所を凄みながら言っていたが、怖くなかった。むしろ、何故 そこまで言い当てられるのかが気になって...怖くて...etc...


「本人から聞いたんですか?」


「ん?むしろ、聞いてないの?」


質問に質問を被せるとか、会話する気あるんですか...とか言いたくなるが、取り合えず黙る。

相変わらず胡散臭い人だが、彼女の言葉には意味がある。


ここで、俺が適当な事言って、ヘソでも曲げられてしまえば、何か良くない事が起きる気がして...怖くて...etc...


「そっかぁ...私ね失踪した事になってるんだ」


竹林の次はアンタかよ...

重大な事を発表されたのはわかるんだが、如何せん失踪した人が目の前に居て、自分から失踪してるとか言い出されても反応に困るだけだ。



この時はまだ、気付いていなかった...

目的も使命も持たない俺を取り囲む環境だけが、急速に変化していっている事に。

ポイントの評価。お気に入り登録 感想、Twitterのフォローお願いします。


@ittoot123


そろそろ、話を纏めて進行させて行きたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ