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逢魔ヶ時 SENSATIONAL  作者: 巡理 圍
帰省。
5/9

憂月 縷々は流されている。

『おい、忌み子だ』


『鬼の子だってよ、気味悪いな』


『父さんが言ってた、近付くなって』



「っ!?」


幼い頃の夢を見ていた。

決して繰り返したくはない日々の夢を...


起き上がろうとしても体が言うことを聞かない。

深呼吸をして考える。自分が居る場所は和室で、布団の上で寝かされている。


どう考えても昨日 意識を失った場所とは違う。


「よぉ、目覚めたか?」


昨日のことは夢だったんじゃないか?とか考え始めた時にソイツは現れた。

ピンクの髪で、黒い着物に鮮やかな桜が彩られている着物を着た男。いや、人外か。


「あぁ...」


「そうか、じゃあこれ契約書。

名前を書いてくれ」


そう言って差し出してきたのは一枚の和紙。

そこには、昨日聞いたコイツの名前も描いてある。が、それ以上は何も書いていない。


「これ、血で書いたのか?」


「当たり前だろ...早く書けよ」


言われた通り指先の皮を噛みきり、血で和紙に名前を綴る。

その作業が終わるのを確認すると、人外は立ち上がって...


「これで、お前の身体は俺が貰うことになった」


「は、はぁ?」


「安心しろ、お前が死んだら俺の身体になるってことだ。死ぬまでは力貸してやらぁ!」


威勢良く窓から飛び出そうとしている人外を引き留める。


「待て!契約とかノリでしてもいいのか?

というか、まだ何も聞いていないんだが...」


「ノリで良い!細かいことは今度説明するから黙ってろよ?

俺もお前の近くを離れられねぇしな、後 俺のことは桜鬼って呼べ、間違っても名前で呼ぶなよ?」


一方的に会話を終わらせると人外...もとい、桜鬼は窓から出ていった。何か重要なことが起きているはずなのだが...考えても埒があきそうにないので、寝ることにする。


我ながら、こういう流されて生きる感じは嫌いじゃなかったりするので困る。


何処かも知らない場所で二度寝していると、襖をノックする音が聞こえてきて、目を覚ました。


「はい」


「良かった...起きてたのね。

昨日は驚いたのよ?夜中に凄い音がしたと思って神社の方を見に行ったら、祠は壊れてるし、縷々君は傷だらけで倒れてるし」


やっぱ夢じゃなかったんだな。

人外と戦ったことや契約なるものを、簡単な気持ちでしたことを悔いるが、腹が減ったので嫌いなものを食べたた思えば良いや。と楽観視して現実から目を逸らす。


「縷々君?大丈夫?」


「え、あ、はい」


予想通りと言うか、なんというか、此処は奈緒さんの家だったらしく、水やリンゴ、お粥なんかまで持ってきてくれて看病をしてくれていた...

その事実に思わず目頭が熱くなる。


「あ、祠壊したの俺です!本当ごめんなさい...

後、デカイ音たてたのも俺だと思います...」


「別に良いのよ?祠なんて石の塊なんだし。

それより、その傷どうしたの?」


言われて本当のことを言おうか躊躇ってしまった。俺は人外が見えるし、存在を知っているから良いが、奈緒さんがそうか?と聞かれれば正直わからない。


そもそも、彩花さん以外とそんな話したことないし...


「言えないならそれで良いけど。

あんまり心配かけないでね?困ったことがあったら相談すること...わかった?」


「わかりました」


「うん、偉い偉い」


二日連続で頭を撫でられた。

今後は神凪を名乗ろうかと本気で思いました。


Ⅹ Ⅹ Ⅹ


「汚いな...まぁ、おっさん掃除も出来なかったから当然だよな」


あれから二日。なんとか動ける様になった俺は自宅へ帰ってきていた。もう、本当に...

お風呂入れないなら一緒に入る?とか一瞬 そういうお店なのかと錯覚してしまった。

いや、行ったことないけど。


「なんか変な本は一杯あるみたいだけどな」


「あぁ、本は好きだったんだよ、おっさん」


「探せば高く売れそうな本もあるんじゃねーの?」


「おっさんいわく、全部 価値は低いらしい。

欲しい人からすれば幾らでも出すってモノばかりらしいが...って、桜鬼?」


最後に会ったのは契約書に名前を書いた時だから、二日振りの再会である。

別に、嬉しくもなんともないが、急に話しかけてくるのは驚くのでやめてもらいたいものだ。


「よっ、久しぶりのシャバを満喫してきたからよ、契約についてザッと説明するぞー」


「そんな軽くして良いのかよ...」


桜鬼は見た目だけなら高貴なシャンとした奴なのだが、如何せん軽くて困る。

だからこそ、俺もやり易くはあるのだが...


「まずは、基本中の基本だ。

常世と浮き世。陰と陽はわかるか?」


首を横に振る。


「あぁ...お前 妖力のわりに大したことねーんだな?つまりな、常世と陰は人外の世界と力。

浮き世と陽は人間の世界と力だ。


今の俺はお前に祠をぶち壊されたから、常世の姿と陰の力だけ取り戻したわけだ」


「なんとなくだがわかった気がする...」


「人間で言う、見える人ってのは人外が見えるんじゃなくて常世が見えてるわけだな。

人外が浮き世に居れば人間でも見える。ただし、浮き世に居れる人外は相当強く高貴なんだ。


俺みたいに」


「人間に干渉出来るわけだからな」


「そう、強いんだ。俺みたいに」


桜鬼との短い付き合いの中でひとつだけわかったことがある。コイツ面白い。

さっきから壊れかけというより、壊れたラジオばりに話し続けている。


「でだ...俺は中途半端に復活しちまったから浮き世での姿と力が無いわけ。

それで、俺の常世の姿と力を貸す変わりに、お前の...つまり、縷々が死んだ後に身体を貰うのが契約ってわけだ」


「だから、俺はあの人外を一瞬で倒せたのか?」


「アイツは雑魚だったからって言うのもある。

精々 臭いニオイ出して幻覚見せたり、失神させたりする程度しか出来なかったろ?」


「だから、門が壊れて見えたのか...

納得出来た。ラフレシアみたいなやつだな...」


彩花さんは人外に対する知識をかなり持っているが、俺に教えることはしない。

だから、少し勉強になった。


「最後に契約の細かい点だけど...

まず、俺は縷々の側に居る間 お前の妖力を借りて浮き世へ行くことは可能になる。

お前が死んだら身体を貰うことは出来るが、俺がお前を殺すことは出来ない。


後は、俺がお前に力を貸している状態を妖怪変化と言い、その時はマホロバと名乗って貰う。


個人の妖力によって差はでるが、基本は一人 一体としか契約は出来ない。


最後に一番大事なことだが...俺の名前もしくは、契約書を誰かに奪われると、俺はお前の敵になるぞ。くれぐれも下手な真似はするなよ」


だから、名前を教えた時も念を押したりしたのか...それに、桜鬼の話を聞く限り、妖怪変化は狙われ勝ちになるらしい。


まぁ、別に今さら人外に狙われたって、なにも変わらないが...


「あぁ、忘れてた。人外と契約した時点で人間じゃなくなるが...その辺はお前 人間じゃないし良いだろ?んじゃ、俺は行くわ!」


「おい、待て!それ一番大事なことだろ!?」


俺は悲痛な叫びは誰の耳にも届かず、ただ、物置の中に響き渡った。

説明パート。

少し長くなりました...暇潰し程度によんでください!


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