第3話 少年、現実に気付く
「……」
タブーシードストーリーからログアウトした僕は、とりあえずwagonを脱いで現状を確認した……。
・これまで行ったエリアには他のプレイヤーが居なかった。
・移動可能エリアが限定されている仕様みたいだ。
・スタート地点から森の途中まで一本道だった。
・戦闘がコマンド式で攻撃がオートで、ちょっと爽快だった。
・敵の攻撃を避けるのは運次第で、攻撃が当たるとめっちゃ痛い。
こんな所かな、うん。
始めてのVR・MMOなんだからとりあえず説明書を読むべきだった、たぶん設定が初心者仕様になってるんだね!
そう考えて、僕はタブーシードストーリーの説明書を読み出した。
※※※
あらすじによると、やっぱりこのゲームは呪われた種を見つけて封印するのが目的みたいだった。
ゲームの基本システムのページに、少し気になることが書いてあった。
初めの森のイベントが終わったら、NPCの仲間を紹介してくれる仲介所がドナハンの町に開かれるらしい。仲間は3人まで同行可能とも書いてあった。……これってあれかな、プレイヤーとパーティ組めなかった人の為の救済措置なのかな、僕このままだと利用しそうな勢いなんですけど……。
戦闘システムのページでは、嬉しい表記と少し残念な表記を見つけた。
嬉しい表記は、戦闘の痛さの度合いをメニューのオプションで弱めることが出来るみたいなんだ。
よかった、あんな痛いのはもう御免だ。
少し残念な表記は、戦闘のコマンド式は仕様で、変更出来ないみたいなんだ。
でも、これはこれで好都合かもしれない。
もし、仮に全部セルフにしたら、僕は戦闘慣れなんてしていないし、剣なんて上手に振れないからね。
要はレベルさえ上げておけば他のプレイヤーの足手まといにはならないってことだ。
そうそう、他のプレイヤーといえば、会えなかった理由はおそらく、初期の設定がオフラインにしてあるからに違いない。だから、設定をし直せばオンラインになるはずだ、その為に設定のやり直しの方法を調べないといけない。そう思った僕は、目次でソフトの仕様のページを調べて、そのページを開いた。
そしてしばらくそのページを読んだ後、浩二少年は――――――哭いた。
ソフトの仕様の一番最後に書き記してあった、浩二少年にとっては死の宣告にも等しい61文字を読み、この現実の無情さを嘆き悲しみ、血の涙を流す勢いで、
浩二少年は――――――哭いた。
思わず浩二少年の手から滑り落ちた説明書には、こう記されていた。
<なお、このソフトはオフライン専用ソフトのため、オンラインに接続しての協力プレイは出来ませんの で、あしからずご了承ください。>
浩二少年は、自分が手に入れたソフトが何であるのかを今、始めて理解した。
――――その前に、そもそも浩二少年の家にはインターネット回線が引かれていないため、設定をし直せばオンラインに行けるかもしれないという少年の希望は元々断たれていたという事に、浩二少年はまだ気付かない方が幸せかもしれない。南無三。
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※哭く 意味:大声を上げて泣く