貞操逆転世界では振られたらしい先輩に告白する話
またまた貞操逆転です。
短いけど何やっても蛇足にしかならないのでこれで完成。
貞操逆転を流行らせたい
「後輩くんありがとー! 君が背中を押してくれたお陰で、幼馴染くんと付き合える事になったよー。あ~幸せ過ぎて死んじゃいそ~」
「良かったですね先輩。どうかお幸せに」
「うん! このお礼は絶対するから! 何が良いか考えといてね!」
「分かりました」
「それじゃあ、私はもう行くね。またね後輩くん!」
「はい……さようなら、先輩」
先輩が出ていった後、戸締りをして先生に見つからない様屋上に移動する。
下を見ると幸せそうに彼氏と帰る先輩の姿が目に映る。
「あ~あ、ちゃんと勇気を出さないから、こうなっちゃうんだよ」
それから暫く待って……夜になってから僕は、屋上から飛び降りた。
ーーーー
「……筈なんだけどなぁ」
その後、自室のベッドで目を覚ました僕は昨日の事を思い返していた。
「……結局、勇気が出なくて普通に帰って来たと。しかもそれを忘れてると……何がしたいんだ、僕は」
まあ、考えても仕方が無い事なので取り敢えず今日は学校に行き普通に授業を受けてお昼を食べる。
そして放課後、三階に在る美術部の部室に入ると落ち込んだ先輩がソファの上に寝転がっていた。
(噓だろ? まさか振られたとかじゃないよな。まだ一日だぞ?)
「あのー、先輩? 一体何が?」
「……振られた」
(えっ? マジで?)
「えっ? マジで? ……やべっ、声に出ちゃった」
「別に良いよ。わたしが悪いんだ、幼馴染っていう関係に甘えてたわたしが……はぁ、まさか彼女が居るなんて」
「え? 浮気?」
「違うよ。いつも見栄張って彼氏みたいに話してたけど、実は……告白したの昨日なんだ。そしたら、もう彼女居るから無理って、そもそもお前の事は女として見れないって……幼馴染の事を異性として見てるのは女だけって、本当だったんだね。あはは」
「そう……なんですね」
何かが可笑しい。そう思ってスマホで調べてみると、どうやらこの世界は男女の貞操観念が逆転した世界らしい。
つまり元の世界で例えるなら、ずっと好きだった幼馴染の女子に告白したら今更男として見れないと断られた状況。
そして、それを慰める後輩の女子……ワンチャンいけるのでは?
「えっと、元気出してください先輩。ほら、僕に出来る事なら何でもしますから」
「……じゃあ、やらせてよ」
「良いですよ」
「噓々、じょうだ……なんて?」
「良いですよ」
「い、いやいや、自分が何言ってるか分かってる?」
「分かってますよ。此処でしますか? じゃあ脱ぎますね」
「待って待って! まだ(理解が)追いついてないから! ていうか、もっと自分を大事にしな!?」
「してますよ。だって僕、先輩の事好きですから」
「……え?」
「先輩に見てもらえるなら、遊びでも構いません。何でもします。だから……」
「ま、待って! その……ゴメン! 今日はもう帰るね! また明日!」
そう言って、先輩はダッシュで部室を出ていった。
「……急ぎすぎたか。でもまあ、手応えはあったし……明日に期待かな」
その後、戸締りをしてのんびりと帰路に就いた。
ーーーー
「い、一体何だったの?」
あの後、家に帰ったわたしは自室のベッドの上で今日の出来事を振り返っていた。
放課後、幼馴染に告白したら普通に振られて後輩くんに慰めてもらおうと部室で絶望していたら、その後輩に突然告白された。
し、しかも、「先輩の為なら何でもします」とか、「遊びでも構いません」とか。
「で、でも、後輩くんは唯の後輩で、そんな目で見た事なんて……無い事も、無いけど……でも、うぅ~」
わたしは幼馴染くんの事が好き。なのに、今は後輩くんの事が気になり始めてる。
理由はもちろん、何でもすると言われたから。あれから妄想が捗って仕方がない。
「んっ! はぁ……はぁ……最低だ、わたしって」
ーーーー
「……眠い」
盛大に夜更かしした翌日、遅刻ギリギリで学校に行き授業を受けて部室に向かう。
いつも通りわたしが先に着いたので一人で絵も描かず後輩くんを待っていると、扉が開けられ彼が入ってくる。
「こんにちは、先輩」
「こ、こんにちは、後輩くん」
「今日は何を描きますか?」
「え、あ……じゃ、じゃあ、あそこにある石膏像を」
「分かりました」
そう言うと、彼はいつも通り絵を描き始めた。
やっぱり昨日のアレは夢だったのだろうか、そう思い始めた時。
「先輩、ここはどうすれば?」
「えっと、そこはあーしてこーして」
「……先輩、何か遠くないですか?」
「え? いや、そんな事は」
「いつもはもっと、肌と肌が触れ合うくらい密着してくるのに」
「うっ、それは」
「僕の事、嫌いになっちゃったんですか?」
「それは無い! というか、むしろその逆っていうか、そのー……」
わたしがそう言い淀んでいると、突然後輩くんに抱きしめられる。
「ひゃっ!? こ、後輩くん!?」
「先輩……良いんですよ、我慢しなくて」
「で、でも」
「先輩だって、こんなに興奮してるじゃないですか」
「んっ……それはぁ……」
「お願いです、先輩。どうか……僕の始めて、貰ってくれませんか?」
「あ、あぁぁ……」
結局の所、わたしも他の女と同じだったという事だろう。
恋人としかしてはいけない行為、本来なら先輩であるわたしが止めないといけなかったのに……一時の性欲に流され自分から彼を襲ってしまった。
彼は怒るどころか「先輩に見てもらえて嬉しいです」と言ってくれたがこのままでは良くない、ちゃんと責任は取らないと。
「あ、あのさ、後輩くんはわたしの事、その、好き……なんだよね?」
「そうですね。春に勧誘された時からずっと好きです」
「ヴェ!? そ、そうなんだー、へー……」
「そうですよ」
「……あ、あのさ、わたし達、付き合わない? ほら、ここまでしちゃった以上、やっぱり、こういう事はちゃんとしないといけないって、わたしは思うんだよね」
「……無理はしなくても良いですよ、先輩」
「……え?」
「僕は先輩に、幸せになってほしいんです。言ったじゃないですか、遊びの関係でも良いって……責任とか気にしないで、先輩は先輩の好きな人と幸せになってください」
そう言って、寂しそうに笑う彼を見てわたしは理解した。
後輩くんは本気でわたしの事が好きなんだと、わたしが幸せになるなら自分が不幸になっても構わないんだと。
その瞬間、わたしの体は勝手に後輩くんを抱きしめていた。
「……好き」
「先輩?」
「わたしは、後輩くんの事が好き。これからも、ずっと一緒に……隣に居てほしい」
「はい。これからも、よろしくお願いします、先輩」
「うん。絶対、幸せにしてみせるから」
―完―
先輩
可愛くて優しくて距離が近い勘違い男子量産系女子。本人は幼馴染一筋の為多くの男子が犠牲になった。
しかし貞操逆転世界では立場も逆転。距離が近すぎて男子からは嫌われており本人は気付いていないが嫌な顔しない主人公を好ましく思っている。
全て主人公の計算だと気付いていないので普通に幸せを謳歌している。
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