4 修行の開始
ブンドルの朝は早かった。
炉に火を入れて高温になるまでは鉱石の選別や様々なものを細かく修理していく作業を行っていた。
彼は一つ一つ丁寧にメルトに教えていき、自分の作業を進めていった。
しばらくすると鉱石の選別はメルトの役目になったが、質の悪いものが混ざっていると、ブンドルはそれを投げつけてメルトに選別をやり直させた。
数か月、数年と経過すると分別は完璧に出来るようになり、そのかたわらで剣を打つことが許られるようになってきていた。
だが、剣を打つことは難しく、極端に品質の悪いものが生産されたり、逆に思いもよらない高品質の剣が出来ることがあった。
「お前の上達は早い、だがまだ品質の安定が課題だ、品質を意図的に打ち分けないといけない」
ブントはメルトの後ろから声をかけている。
そして長い時間が流れたある日ブンドルがメルトに問いかけた。
「お前、鍛冶屋のレベルは今いくつになった?」
「あ、師匠、レベルですか?・・・わかりません、いつからかレベルのことは忘れていました」
「ではレベルを確認して見ろ」
そう言われてメルトはレベルを確認することにした。
「ステータスオープン!」
メルトはそう叫ぶと怪訝な顔をした。
「どうした?ワシのカンではもう相当な数値に達しているはずだぞ」
ブンドルの言葉にメルトが答える。
「レベル99になっています」
「99だと!?はははは!!まさかそこまでとはな!!上限に達しているぞ!」
「まさか・・・もっと何十年もかかるものではないのですか・・・?」
「お前はギフト持ちだ、レベルの上達も恐ろしく早いのだろう、それにな、お前は早朝から夜までひたすら鉄を打っていた、ワシから見ても尋常ではない集中力だった」
メルトは困惑してステータス画面を見つめている
「ふん、問題はここまでだな、メルト、ワシにステータス画面共有をしてくれ」
「はい、ステータス共有!」
「うーん・・・本当に99になっておるな、まさか本当にレベル99になる者がおるとはな」
ブンドルはあごひげをしごいている。
「では次はスキル画面を展開して見ろ」
「はい」
メルトは画面をスキルに切り替えた。
「一番下に半透明で-鉱石選別-とあるだろう、それを触ってみろ」
「え?スキルを取得するのですか?スキルは使わないと言われてきましたが」
「・・・スキルを使わずにレベル99になると全てのスキルが取得できるようになると言われておる、だからお前にはスキルの使用を禁じて来たが、まさか本当にそうなるとはな・・・あれから10年か恐ろしく早かったのう」
「そんなことが・・・」
メルトは驚いた顔をした。
「では・・・-鉱石選別-!」
メルトが鉱石選別を触るとスキル画面が眩く光り、苗木から巨木に成長するように様々な項目と枝が伸び一気にスキルツリーが展開し、しばらくすると画面の光は消えた。
「あ・・・おお・・・何と言うことだ、これだけのスキルツリーは見たことが無いぞ・・・250!?スキルを250も取得しておるのか!?」
ブントは驚愕の表情を浮かべてスキル画面に見入っている。
「250と言う数字はそれほどに多いものなのですか?」
「メルトよ・・・通常は50ほど最大で80だと言われておるのだ」
「それって・・・」
メルトは口をあけたままブントの方を見やった。
「うんうん、やはりな、鍛冶屋でも戦闘スキルらしきものが取得されておる、これならお前は両親の敵を討つことが出来るのかもしれんぞ」
「本当ですか!?」
「古い・・・言い伝えでな、鍛冶屋スキルで選択肢の組み合わせにより、戦闘職と同等、いやそれ以上の強さになったという者が現れたと言うものがあってなぁ・・・」
メルトははたと気付いたような表情になりブンドルに言った。
「師匠はこのことを見越してスキルを使わないでの修行を課したのですか?」
「ふむ、まぁ、本当にそうなるとは思ってはおらなんだがな、はははは」
ブンドルは腕組みをして笑顔で答えた。




