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2 馬車での道筋

メルトはアルシア山の麓に向かって馬車に揺られている、馬車にはメルト以外2人しか乗っていない。

道筋を進むたびに深い深い森林に分け入っていく。


何度も馬車を乗り換え、道端で野宿した。

そうすると死んだ両親のことが思い出されてきた。


メルトが5歳の時、彼の両親は魔物が住む塔に挑んで敗走した、父の傷は魔法でも治せないもので、母は自分の命と引き換えに、塔のボスを撃破しようとしたが、相手には手傷を負わせられずに命を落とした。


「無駄死に」「犬死に」誰かが言った言葉が何度も頭をよぎる。


そうして地面の冷えに凍えていると知らないうちに眠りに落ちていた。


今日も駅馬車を待っていると、しばらくして馬車は現れてメルトはそれに乗り込んだ。

御者は若い男で、メルトのことを怪訝な目で見ていた。


「お前、こんな山奥まで一人で来て何の用事があるんだ?」

男が話しかけてくる。


「鍛冶屋に弟子入りするためです」

「鍛冶屋・・・そりゃあブンドルのことだな」

「ブンドル?そういう名前なんですか?」

「なんだお前そんなことも知らずにここまで来たのか?訳ありだな」


メルトは自分がここまで来ている理由をかいつまんで話した。


「ふーん・・・両親がねぇ、だけど鍛冶屋のジョブでは敵が取れないので悶々としているってわけか」

「はい、でも、鍛冶屋でも世間に役立つからと村の人から言われて」


「ふむ、俺なんかはジョブ持ちじゃないからな、ジョブの恩恵を受けられるお前がうらやましいよ、御者やってて爺になるまで馬に鞭入れてるだろうからな」

「でも、あなたがいないと僕はここまで来れなかったです」

「お、わかっているじゃないか、俺のカーチャンなんか無駄な仕事なんてないってしょっちゅう言ってるよ」


そのまま会話は途切れ馬車はカポカポと音を立てて山道を進んだ。


「なぁ、お前よぅ、実はブンドルの所までは駅馬車は続いていないんだ」

「そんな、じゃあ歩くしかないんですか?」

「そこで仕事熱心な俺はお前をブンドルの所まで届てやろうと思っているのさ」

「え?、そんな、良いんですか?」

「なぁに、駅馬車もしょっちゅう鍛冶屋の世話になる、未来の名工に期待してな」


そう言って男は馬に鞭を入れた。


それから一日馬車で進むと男は前を向いたままメルトに話しかける。

「見えてきたぜ、あのデカいのが工房と住処の合わさったブンドルの家さ、さてここらで良いだろうあとは自分の足でブンドルの所まで向かうんだ」


メルトは荷物をまとめて馬車を降り、男に頭をさげた。

「ここまでありがとうございましたこれ、料金です」


メルトは通常の倍料金を差し出した。


「よせやい、ガキから金なんか取れるかよ」

「仕事には正しく礼儀を持って代金を支払うように婆ちゃんに教わりました」

「ふーん、婆ちゃんの言うのにゃ逆らえんな、ありがたくもらっとくよ」

男は料金を受け取り馬車で引き返して行った。


メルトは大きなリュックを背負いそのままブンドルの住処まで歩いて行った。


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