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20 栗毛の子馬停

栗毛の子馬停まで歩き、ドアを開けると店は混みあっていた。


「へぇ、確かに繁盛しているな」


「いらっしゃい、あらリリーンじゃないの、腕はどうしたの?なんともないの?」

「フフフ、この通り、でもどうやったかは秘密なのよね」

「あら、まぁなんともないならそれでいいけどねぇ」


店のおばさんとリリーンが親しげに話しているが、義手のことはあいまいにして伝えている。


「さてさて私はいつものを頼むよ」

「私もそう」

「私もそうします」


三人とも慣れた様子で注文を伝えている。


「メルトは何が良いの?」

「良くわからないから君たちと同じものを頼むよ。


「じゃあ子馬スペシャル追加ね」


リリーンは店のおばさんに手を振っている。


「本当はエールを飲みたいところだけれど、そこまで贅沢は出来ないね」

ミーシャが少し不満げな表情を浮かべた。


「エール・・・村の人が良く飲んでいたな、軽い酒のことだろう?村で作っていたから知っている」

「え!?村でエールを醸造していたの?!」

「え、ああ、そうだよ麦から作るんだけどウチの村のは味が好いって評判だったんだ」

「じゃ、じゃあタダで飲み放題ってこと??」

「ああ、地産地消だからね」


ミーシャは目をつぶって「うらやましい」と言う言葉を連呼していた。


「じゃあ、あなたも良く飲んでいたの?」

リリーンが言葉を投げかけてくる。


「いや、7歳の頃に師匠の所に弟子入りして、村に戻ったのは10年後、それもほんの少しいてすぐにここに来たからね、エールは飲んだことないよ」

「もったいないわね~」


「では大きく稼げた際にはメルトさんもエールを飲んでみたらどうですか?」

セルフィンが笑顔で提案してくる。


「・・・と言うか、君たちエールが好きなの・・・?」


メルトの言葉に全員がそうだそうだと嬉しそうに話し合っている、やれ高いけどどこのエールはおいしいだのクエスト上がりの一杯は最高だのともりあがっている。


(女性ってそんなに飲むものなのか・・・?)


メルトは幼少期のことを思い出していたが、父親はあまりエールを口にしなかったが母親はほとんど毎日飲んでいたし、近所のおばさん達は女子会と称して外のベンチに集まって、昼間からエールを飲んでいたのが思い出されてきた。


(あれ・・・?これは女性の方が良く飲むってことなのか・・・?)


それとなく周囲を見回してみると、女性パーティーがエールをごくごくと飲んでいたし、街の住人らしき女性の集団も同じようにたくさん飲んでいるのが見られた。


「なるほど・・・俺はガキの頃から10年間師匠と2人だけで生活していたから、一般的な常識や教養があまりないんだ・・・」


メルトが思わず口に出した言葉にリリーンが答える。


「そうよ、なんとなく見ていてわかるもの、7歳から止まっているから女性と男性の区別が少なくて私たちに変な気を使わないし、必要以上に興味を持つことも無いのがみ見て取れるわ」


「なにかかみ合わないと言うか変な感覚があったのはそのためか・・・」

「メルトさんのそれは女性にとっては悪くないことですよ」

「そーそー、若いのもおっさんも女性パーティーって言うだけで絡んでくるし、必要以上に距離を詰めてくるのよね」

セルフィンとミーシャは苦い顔をして話してきた。


「だ、そうよ、良かったじゃない」

「そうか、なら良かった・・・」


メルトはリリーンにそう言われてなんとなく安堵している自分に気付いた。

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