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16 ミドルトード

メルボクの城壁を抜けて西へ向かうとなだらかな丘陵が広がっていた。


「この先にミドルトードが出てくるエリアがあるわ、ただし今回はそれぞれの腕慣らしに1-2匹程度倒すだけにするわよ」

「なぜだ?たくさん倒せばそれだけ身体が馴染むだろう?」

「それはここがほぼ初心者のエリアだからよ、私たちのような中の下位のパーティーがたくさん倒してしまえば初心者の入る隙が無くなってしまうの、要するに邪魔者よ、とにかくそう言う暗黙知があるの」


リリーンはメルトに説明しているが、こう言った暗黙知もこれから覚えていかなければいけない、冒険者は一人では続けられないのだ。


「じゃあ行きましょう」


リリーンはそう言うとミドルトードに向かっていった。

彼女は中段に構えると飛び込んできたミドルトードに鋭い斬撃を入れると魔物は両断されて塵となり、魔石が転がった。


リリーンは戻ってきてメルトに話しかけた。

「すごい・・・斬った手ごたえがほとんどなかった・・・左手の取り回しも精密だわ」

「ふむ・・・属性付与だけではなくてこれはインゴットの配合が良かったみたいだな」


メルトは顎に手をあててしきりにうなづいている。


「じゃあ次は私ね!」

ミーシャが元気よく手を上げて近づいて来るミドルトードにロッドを向けた。


「ファイヤ!」

ミーシャの声に合わせ火炎が滑り出し、魔物を覆うと魔石が地面に落ちた。


「すっごい!火炎が明らかに大きくなっているよ!ひゃー!」

ミーシャは義足を軸足にして踊っている、どうやら義足も完全に馴染んだ様子だ。


「私は補助師なので、この場合スキルを試すことが出来ませんが、二人の様子を見る限り、相応に戦闘力が上昇していますし、自分の場合でも期待できますね」


セルフィンは笑顔で魔石を拾いに行った。


「メルト、あなたも試したら?」

リリーンがメルトにスキル使用を促す。


「うん、クエイクは魔物を飲み込んでしまうから魔石が取れないし、別のスキルを試すよ」

メルトはそう言うと腰からハンマーを抜いてそれをワイヤー状態に変化させた。


「ワイヤーウイップ!!」

メルトが叫ぶと、ワイヤーは矢のように早く手元から伸びて、遠距離にいたミドルトードに突き刺さり魔物は塵となり、魔石が落ちた。


「ふぅ、師匠の所で練習はしていたけれど本番でも使えそうだな・・・」

「使えそうだな、じゃないわよ、ワイヤーの速度が目で追いきれなかったし、あんな遠距離にヒットするなんて、考えられないわ!!」


メルトの声にリリーンが合の手を入れる。


「すごいねぇ、弓手みたいだったよ、すごい使えるじゃん」

魔石を拾ってきたミーシャが万歳をしている。


「これなら以前受けていたいたクエストか、それ以上のものをこなせそうね」

「うん、見た限り装備も義手も想定以上に機能していた、確認できて良かったよ」


リリーンの言葉にメルトが返している。


「メルトさんありがとうございます、実際の所以前の装備を売り払ったお金が底をつきかけていたんです、クエストが再開できるとわかったので一安心です」

「やめてよセルフィン~ウチの財政事情を~恥ずかしいじゃない、でもそうね、あなたのおかげよメルト、ありがとう」


セルフィンとリリーンの声にメルトが答える。


「なんてことないよ、これで俺も冒険者としてやっていけると理解できた、感謝する」


「じゃあギルドに戻って討伐報告をしましょう」

リリーンはそう言って城門の方向へ歩き出し、メルトはゆっくりとその後を追った。




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