15 パーティー名は疾風
メルト達は冒険者ギルドに向かう街路を歩いていた。
「なぁ、君たちのパーティー名はどういうんだ?」
「あれ?言ってなかったかしら?疾風よ、今はあなたがリーダーだし名前を変えてもいいわよ」
「いや、そのままで行こう、通っている名前の方がいい」
メルトはリリーンから初めてパーティー名を聞きだしていた、ギルドや他の様々な登録が無い限りパーティー名を知る機会が無かったからだ。
やがてギルドの意匠が見えてきてメルトを先頭にドアを押して中に入った。
クエストの掲示板にまっすぐ進むとメルト達は義手などを慣らす意味で、程よい程度のクエストを探していた。
しばらくすると何やら話し声が聞こえてきた。
「おい、ありゃぁ欠損パーティーの連中じゃねぇか?普通に歩いているし左手も自在に動いてるぞ」
「どうなっているんだ?何かのアイテムを使ったんじゃねぇのかぁ?」
「そんなものがあれば大金だぞ、アイツらに払える金なんてねぇ」
それを聞いたメルトは会話している男連中の方に向かった。
「おい、欠損パーティーじゃねぇよ疾風だ、ひどい名前で呼びやがるんじゃねぇ」
「なんだぁお前、あのパーティーの新参か?」
「ああ、アンタらに加入することを勧められてね、仲間に加わったんだ」
男連中は訳が分からないと言った表情でメルトを見つめている。
「あっ!オメェは鍛冶屋の!」
「そうだ、今はパーティー疾風のリーダーをしている」
「リーダー・・・いやそれよりも連中の手足はどうなっているんだ?何の不自由もなく動かしているぞ」
「鍛冶屋だからな、それくらいのことは出来る」
メルトはそう言って踵を返すと、後ろから声がかかった。
「鍛冶屋だからってどういう意味だ!?」
「おい!詳しく教えろ!」
それを無視して仲間の所に戻ったメルトは三人に声をかけた。
「お前たち、欠損パーティーなんてひどい名前で呼ばれていたんだな、屈辱だったろうぜ」
「大したことないわよ、それに今はそうじゃ無いしね」
リリーンは義手を叩いて微笑みかけてきた。
「それで、何か手ごろなクエストはあったのか?」
「ミドルトード討伐クエストが手ごろだともうの」
「強いのか弱いのかわからない、何せ鍛冶スキルでの戦闘を1回しかしたことが無いからな」
「そうなの、それじゃわからないわね、弱い部類に入るわ、冒険者を続けられなくなる前は余裕で倒していた相手よ、まだ手脚が戦闘に耐えうると実感が無いから様子見でね」
メルトとリリーンは会話を交わし、リリーンがクエスト用紙を剥がして受付に持って行った。
「あ、疾風のリリーンさん、クエスト受けられるのですか?他の方々も・・・」
それを聞いたリリーンは義手を回して受付嬢への返答とした。
「ぎ、義手が動いてる!?どうなっているんですかそれ!?動く義手なんて聞いたことも無い」
「それは秘密よ、だから心配しないで」
リリーンは用紙を持って外に出たので、メルトたちもそれに続いた。
「じゃあ久々のクエストといきましょう」
セルフィンがそう言うと、ミーシャは声を合わせた。
「久々に魔法が放てるぞぉーふふふ」
「俺はなんだか緊張するな、戦闘経験は無いに等しいし・・・」
「そう言えば魔物を倒した経験は一回だって言うけど、どんな魔物をどうやって倒したの?」
メルトのつぶやきにリリーンが合の手を入れる。
「えーとなんだっけな・・・フォレストウルフ7-8匹を倒したな」
「えっ?一人で?あの魔物はリンク攻撃をしてくるから厄介な敵よ!?」
「ああ、一人でだ、クエイクって言う範囲攻撃で、金槌で地面をたたくと地割れが起きて魔物を飲み込むとまた地面が閉じるんだ」
「すっごいスキル持ってるのね・・・」
ミーシャは驚いた顔をした。




