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9 訳ありの仲間

冒険者ギルドでは鍛冶屋を仲間に入れようとする者達はおらず、本来の鍛冶屋をすることを勧められただけだった。


「ふん、そんなにパーティーを組みたいのかい兄ちゃんよ?だったら北門付近にあるあばら家に住んでいる連中ならパーティーを組めるかもしれねぇぜ、まぁ、パーティーとして機能するかは別だがな」


別の冒険者がメルトに声をかけて来た。


「機能するかどうかは別・・・?どう言うことだ?」

「ふん、行ってみりゃわかるよ」


その言葉がギルド内にひびくと、その場にいる者ほとんどがニヤニヤとあざ笑うような表情をしていた。


(・・・なにか訳ありなんだろうな、だけども今の俺にはその人たちとパーティーを組む他ない・・・)


「とりあえずどうなるかわからないので、冒険者登録と登録証を」


受付嬢にそう伝えると、彼女もなんとも気の毒そうな顔をして登録用紙を渡してきた。

メルトはそれに記入すると受付嬢に渡して、冒険者カードを受け取った。


そのままギルドを出て北門に向かうが、入って来た南門よりもわびしい空気で、進むにつれてどんどん貧しさを感じる光景になって来た。


しばらく進むとまさしく「あばらや」然とした長屋が見えたので、試しに一番手前の家の扉をノックした。


「あーなんだい?」

そう言った声を出してボロを着た中年男性が出てきた。


「あの、ここらに訳ありの冒険者パーティーがいると聞いてきたんですが、どこに住んでいるかわかりますか?」

「ふん、またからかわれた奴が来たか、いるぜ、訳ありの連中が、ここから五軒行った家に住んでるよ、じゃあな」


そう言って中年男はドアを閉めた。


メルトは男に言われたように五件目のあばら家の扉をノックした。


「はい」

中から聞こえた声は意外にも女性のものだった。


「何かようなの?」

扉を開けて出てきた女性はメルトのことをジロジロと見て言った。


「冒険者パーティーがいるからそこに加入しろってギルドで言われた人でしょ?からかわれたんだよ」

「どうして?訳ありとは聞いていましたが」


「ほら、これを見て」

女性が左腕を上げたが、そこにあるべきものはなく、根元から腕が無くなっていた。


「見ての通り私は左腕が無くてね、それとそこに座っているミーシャは片足が無い、隣のセルフィンは目がほとんど見えないんだ、これでわかったろう?私たちは冒険者であって冒険者じゃぁ無いんだ」


メルトは少し考えるようなそぶりをした後で言った。


「問題ない、俺とパーティーを組んでくれ」

「だから、私たちはあんた達が言うように訳ありなんだよ」

「そこは問題ない、もしアンタらの欠損箇所をどうにかできたら俺をこのパーティーのリーダーにして、共に白亜の塔に挑んでくれ」

「白亜の塔・・・声に自信があるように聴こえるね、ジョブは?」

「鍛冶屋だ」


女性は少し驚いた顔をして返事をした。


「鍛冶技術で腕を何とかしようって言うの?弓手や魔導士よりも説得力があるね、良いよ、試してちょうだい」


メルトはあばら家に入り辺りを見渡したあとで、地面にリュックをおろした。

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