千夜一夜
途方もない砂漠の道は続く。冒険者や開拓者はこんな気持ちだったのだろうか。
「ねえ、バトラン。人ならとっくに耐えられないくらいには歩いたよ。神じゃなかったらと考えると。バトランは大丈夫なの。」
「ここで朗報ですが、リイン。ちょっとは人より強かったりはしますが、ここでは、あなたは普通に死にますから注意して下さいね。死ににくいだけ。私は大丈夫です。適度に水と塩分を摂取しておりますので。」
「え?まじ・・・?」
「まじです。はい、水。」
「先に言ってよっ!!!初耳なんだけど!」
私はバトランから貰った水をごくごくと飲んだ。美味しい。どうやら身体中が水分を求めていたことに気がついた。
「ぷはっ。はあ。通りで怠いと思った。どっから出したの水。めちゃめちゃ必要じゃん。」
「カナイ様にお願いしてスカートの裏地にポケットを作ってもらいました。必要最低限の生活用品はそこから出せます。」
「なにそれ、ズルい!私にはなんかないの?」
「ええと。あ、ありましたよ。ちょっと待ってくださいね。あれ、これだったかな。」
そう言って、ごそごそとバトランがスカートの中を弄る。なんかやだな、それ。
「おっ。あった。はい。水です。」
「水かいっ!」
「あ、あれ。みて下さい。」
「ん?あ、あれは台風?」
「旋風ですね。台風よりかはマシです。一つ分かったことがあります。」
「なに?なんかわかった?」
「ここは暖かい気候で砂漠地帯ということです。」
・・・。
風が吹いてきた。視界は砂で見えにくくなった。口に入らないように閉じて進む。
「・・・ボケたのですが。」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。砂を歩く。
びゅう、と向かい風が吹き、私達に大量の砂粒をぶつけてくる。
「ああもうっ!砂が鬱陶しいっ!髪がパッサパサ!ねえ。こんなに歩いて流石に何もないのはヤバくない?倒すべき敵がいたり、目的地に辿り着いたりしてさ。」
「あ。遠くにバザールみたいなところなら見えてきましたよ。たぶん、大きな街でしょうか。」
白を基調とした綺麗な石の建物の数々。周りには鮮やかな色の布が掲げられているのだろうか、微かに赤や紫の色が遠目から見える。
「なんだ、市場か・・・。えっ!?ちょ、それだよ!やった!バトラン!やったよ!」
「はしゃぎすぎですよ。・・・やった!」
さて、いかがでしたでしょうか。ここに辿り着くまで、ダイジェストでお送りしましたが、砂漠を歩き始めてから、この世界での時間としては1,001日が経っています。
世界は広いです。だから、ここは人間にはオススメはしません。過酷な環境です。もし、あなたが神である場合は、人間より耐性のある神の使いであるメイドを帯同させることを推奨します。
カナイ様へ。久しぶりに報告します。ここでの学びは、人間の転生先の場所については、かなり配慮してあげよう、かな。




