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あなたは異世界へと人々を転生させる神に選ばれました。  作者: リリー
ラビット・イン・ワンダーランド

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世界樹、ウサドラシル

「あとどれくらい?ロップ。」

「ええと、そうだな。明日には着くかな。」


「意外と近いですね。私達が目指した目的地の数々よりも平均を下回ります。」


「平均値って外れ値があると全く使えないけどね。まあ、確かにいつもより近いね。」


「リインとバトランは旅人なのか?」


「そんなとこ。バトランと色んなところへ行ったなぁ。これからもたぶんずっと、そうなんじゃないかな。旅をして。たまには帰って。また旅をする。」


「ずっと続くと良いんですけどね。今のところ続きますね。もう止めろと言われるまでは。」


「いいなぁ。我には。いや、なんでもない。今日は疲れただろ。明日には着くのだから今日はこの辺りの建物で休もう。あっ。あれにするか。半分くらい天井がないけど。あるだけマシだな。」


「寝袋くらいならありますよ。」


 バトランはスカートの内ポケットから寝袋を3つ取り出した。


「凄いなぁ。宙に浮かんだり、リュックもないのに寝袋を出したり。ここよりもずっと技術が発達しているんだな。」


 羨望の眼差しでロップは私達に言った。ああ、わかった。私が宙を浮いても何も聞いてこなかった理由が。


 純粋なんだ。最近は自分から正体を明かすことはなかったが、ロップになら言ってもいい気がした。それに。嘘や隠し事はよくない。お互いに。


「ロップ。私は神様なんだ。君と同じくね。」


「え。か、か、か。神様っ!?あっ!そうか!どうりで!!あわわっ!あわわわ!」


 ロップが狼狽する様子。答えは自明だった。


「本当に気付いていなかったのですね。ヒントはたくさんあった筈ですが。」


「バトランは私の使い。それでね。ロップ。もう二つとも気づいているんだ。君が神でないこと。そして、世界樹が存在しないことに。だから、この旅にゴールはない。」


 そう。この旅にはゴールがなければ、意味もない。一つ目の嘘は真っ赤な嘘。勿論、ロップは神ではない。これは興味を引くためだ。もう一つは去ろうとした私達を繋ぎ止めるための嘘。これらの嘘の動機は共感できる。


 孤独だ。


「ご、ごめんなさい!でも!あ、ある!神様でないことは認めるけどっ!世界樹は確かにあるんだっ!我・・・わ、私は!世界樹に願ったんだ!大きな木に願ったんだ!誰かに会いたいって!世界樹は別の世界に繋がっているって知っていたから!そうしたら、リインとバトランがやってきたんだ!」


「ロップ。私達は。君を罰したいんじゃないよ。君は。神でもウサギでもない。精霊。」


「精霊?」


バトランが精霊という言葉に反応する。私が頷くと、そのままバトランは続けた。


「聞いたことがあります。精霊。自然や物に宿る存在。ロップ様が精霊だとしたら、一体、何の精霊なのですか?」


「この世界にある大きな目印は一つ。その世界樹なんじゃないかな。終焉を迎えたくない。そんな世界の意志がロップという存在を創り出した。憶測だけど。ロップはここに何百年いたの?何千、何万年いたの?少なくとも、君が実体を持つくらいにはここにいるはずだよ。」


 ロップはふぅ、と溜息をついて、それから諦めた表情をした。


「変だと思ってたんだ。自分のことを。過去の記憶が無いんだ。私の最初の記憶は、ここにいるってことだけ。そして、大きな木。知っているのはそれだけ。きっと・・・。ずうっと昔から私は存在していたのかな。精霊かあ。神様が言うんだったらそうなんだろうなあ。世界樹への旅も終わりだね。」


「え?終わらないよ?」

「え。でも、私は嘘を。」


「私は友達に嘘をついて欲しくなかっただけだよ。自分を神と偽るのは重罪だけど、誰も騙されていない。だから大丈夫。ロップが私達に見せたい木が本当にあるなら。それは見たいでしょ。連れてってよ。」


「友達・・・。リイン!バトラン!まかせろっ!明日には必ず世界樹を見せてやるからっ!」

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