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あなたは異世界へと人々を転生させる神に選ばれました。  作者: リリー
休日の過ごし方

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リインのラーメン

 ここは白くて椅子とテーブルくらいしかない空間。私達がここに来た者を異世界へと転生させる仕事場。あの空間。


「リイン。ラーメンを食べましょう。」


 今日は久々の休暇。バトランが言った。ようやく手に入れた休日。神に休息は必要か、だって?


 必要だろ。うーん、どうしようかな。疲れたしな。でも、バトランから誘ってくれたのだから行こうかな。前も今度行きましょうと言っていた気がするし。あ。


「あー。そういえば。そんなこと言ってたねえ。オススメはあるの?あ、結構前に雑誌に載ってたとこ?ほら、『月刊 神々の遊び』の。神麺ランキングだっけ。」


「あの店は潰れました。」


「えっ!?あの店、ランキング一位じゃなかった!?」


「別の国に進出して大失敗したらしいです。」


「ええっ。じゃあどうするの?」


「休暇は休むべきです。よくよく考えると、わざわざ別の世界に行って日帰りでラーメンを食べに行くなんて、面倒ですし、疲れます。連休も中々取れない。外出申請書は神達から皮肉として、一日外出券なんて呼ばれています。しかも、あの店ももうない。だから。」


「だから?」


「作るしかない。です。」


 バトランはテーブルの上にドサドサと食材と金属製の鍋や調理器具を置いていった。


「まじ?」


「まじです。ジパ、というどこかの世界の国、ですかね。そこがラーメンで有名らしいので。そこの材料と調理器具を色々と頼んでおきました。」


「へー。まじだなあ。頑張ってね。美味しいの期待してるよ。」


「これだから神様は。一緒に作るんですよ。今から。」


「えええっ。だる。バトランはラーメンの作り方知ってるの?」


「知りません。この麺をスープで茹でれば良いんじゃないですか?で、最後に塩とかをまぶす。」


 不安だ。実はバトラン、ラーメンを食べたことがないんじゃないのか?


「おいおいおい。まじか。仕方ない。まずはこのタオルを頭に巻くんだ。で、腕を組む。」


「こうですか。おお。それっぽい。よくわかりませんが、それっぽい気がします。」


 こうして、神とメイドのラーメン作りが始まった。バトランに任せるとヤバイ料理になりそうだから仕方なくだ。


 名誉のために行っておくと、バトランが知っている料理の味はとても美味しい。たまには作ってあげてもいいか。


「はあ。ラーメンって結構、大変なんだよなぁ。」


「どの辺が大変なのですか?」


「工程が多いんだよ。骨砕いたり、その骨や野菜とかを煮込んだり。スープ作成。麺茹で。チャーシューとかの具材。全部が手が込んでる。一から作るとなるとね。」


「へえ。よく知ってますね。煮こむだけじゃないんですね。ところでリイン。これは何ですか。」


 バトランが食材を並べたテーブルに置いてあったネギと袋詰めされた何かを持っている。袋麺だ。テーブルをよく見るとチャーシューの塊肉もある。これはもう。


「えいっ。」


 私は自分とバトランが巻いていたタオルを取った。


「・・・あ。前言撤回。やーめた。本格派は中止。ラーメンは簡単です。お湯!大量のお湯さえあれば!」


「お湯ならもう出来てます。」

「じゃあすぐ出来るよ。」


 沸騰したお湯が入った鍋に二つの袋麺を入れて茹でる。茹であがった麺を予め温めた丼に入れて、お湯を注ぎ、入っていたゴマと粉末スープを振りかけて混ぜる。


「塩のやつか。センスいいね。この粉、意味わからんくらい美味いんだよ。中毒性がある。どちらかというと、ハーブ味だけど。」


「ハーブ?中毒性?大丈夫なんですか、それ。私の知っているラーメンの色とも全然違いますし。」


「これは大丈夫なやつ。さ。チャーシューとネギを切って、盛り付け。たまごも落としちゃうか。」


「わ。どんどんラーメンに。」


「完成!」


「これは簡単でしたね。簡易版ってやつですか?でも、とても良い匂い。」


「正直、素人が作るならこっちの方が美味い。さ、食べよ。はい。箸で食べるのが本場。」


《リインのラーメン》

 袋麺には『一番』と書いてある。開けて余らせるのも良くないからチャーシューは10枚ずつにした。ネギもケチらずどさっと大量に。あと、卵もスープの熱でいい感じに。スープには追加で刻んだニンニクとバターをたっぷり。味が薄くならないようにちょっとお湯を減らしてね。


 テーブルに移動して、渡したお箸で器用にバトランは麺を食べた。熱々のスープをごくごくと飲んだ。はふはふとチャーシューを食べた。目を輝かせながら、全てを食べ終えたバトランは溜息をした後、静かに泣いた。頬を涙が伝う。


「泣いた!?てか何か喋れよっ!」


「もう終わってしまいました。幸福に塗れて、その後虚無が私を襲いました。ご馳走様でした。リイン。毎日これでいいです。いや、これがいいです。」


「・・・まだあるから。私が食べ終わったらもう一回作ろうか?」


「はいっ!是非っ!」


 あの日以降、バトランはあのスカートにある何でも入るポケットに『一番』の袋麺を大量にストックしているらしい。自分で作ればいいのに、あの味は私にしか出せないと思っている。ま、たまには作ろうかな。

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