表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたは異世界へと人々を転生させる神に選ばれました。  作者: リリー
ハーヴンの港

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/42

人智と全知

 結局、バトランと私はガラスの美術館に行くことを決めたので、『アルコンシェル』を出る。


 岬にある灯台の近くに美術館はあるらしい。歩きだとちょっと遠い。カフェの店員さん曰く、灯台は、ここよりもずっと高いところにあり、坂の勾配がきついとのこと。


 はあ。登るしかない。でも大丈夫。私にはバトランがいる。オーダー師匠もお墨付きの優秀な魔法使いがいる。


「ねえ、バトラン。美術館までひとっ飛びだね。飛べるもんね。」


「え?歩きですよ?」






「え?」


「ええとですね。例えば、うちわで風を起こすか、人を持ち上げる。例えば、マッチで火を起こすか人を持ち上げる。どっちが大変ですか?」


「どちらの問いでも、人を持ち上げる・・・って言わせたそうだね。大量の魔力を消費するってこと?」


「ええ、そうです。魔法において、物体を動かすというのは、一番大変なんです。うちわやマッチでは物体は動かない。魔法っていうのは、きっかけを作ったり、補助をするものなんです。リインを持ったまま飛行するなんて。」


「でも、オーダーさんは石の騎士を動かしてたし。」


「だから化け物なんですよ。彼女は。あ、褒めてますよ。現に、このハーヴンの港まで歩いてきたじゃないですか。」


「そうだ。疲れていたから、気にも止めなかったけれど。そういえば、ここまで徒歩じゃん!」


「そういうわけで。使えるのですが。安売り出来ないんですよ。何かあったときのために。」


「でも。でも、でも。使ってたじゃん!飛行魔法!ドラゴンを追いかけるのに!」


「あれは緊急事態だったので。あの時、リインはオーダーさんについていくことが出来ましたか?」


「ぐっ。・・・分かりました。歩きます。」


 今回も徒歩が確定した!


 私達には徒歩が似合う。砂や土を踏み締めるのが似合う。坂は降るよりも登る方が似合う。足跡の数だけ一歩一歩と進んでいく。


 その一歩が多ければ多いほど、何かが起こる可能性は生まれるし、それだけ経験や学びが増える。そう考えると、歩いて良かったと思える・・・か?


 ・・・んなわけあるかっ!ムカつく。


「はあ。はあ。これが。ガラスの美術館か。」


 はい。もちろん、登ってやりましたとも。灯台の必要性が高まるくらいには日も沈んできました。疲弊する私とは対照的に、バトランが涼しい顔をしていた理由は、長い付き合いだから聞かなくても分かった。


「お疲れ様でした。いやあ、大変でしたね。」


 バトランの労いの言葉。後ろを見る。バトランの足跡がない。ということは、ちょっとだけ浮いていたんだ。さっき、バトランは言っていた。私を持って飛ぶのは魔力を大量に消費すると。


 でも、自分がちょっと浮くだけなら。そんなにではないらしい。バレてるからな。


 何はともあれ辿りついた。達成感も相まってなのかは分からないが、ガラスの美術館は想像よりも何倍も大きかった。


 宮殿みたいだ。透き通ったガラスの外壁が美しい。荘厳で煌びやか。装飾や窓ガラスも一味違う。これなら観光地として人気があってもおかしくないというのに。客入りは悪いらしい。


 その理由はこれだろう。この空間全体から不思議な感じが伝わってくる。神秘的というよりは神秘そのもの。


 神秘は美しくあるけれど、異質な恐怖でもある。人は人の理解を超えたものに恐怖するのだから。


 ここは現世とは乖離した別世界のような場所だなと私は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ