戦闘、翡翠のドラゴン
私達の明確な攻撃の意志を感じ取ったようだ。ドラゴンが猛然と襲いかかってきた。
地響きのような足音。次第に音が大きくなる。更に翼で加速。砂を舞上げながら、鋭い牙の生えたドラゴンの大口がオーダーさんに迫ってくる!
「石の騎士!行け!」
オーダーさんは叫びと同時に、腰の剣を投げた。伝説の剣みたいに砂の地面に突き刺さる。その剣に纏わり付くように、周囲の石や砂が人型に集まっていき、それが騎士となった。最後に投げた剣を抜いて完成。
早い。あっという間に騎士が生成された。騎士が正面から剣でドラゴンの牙を受け止める!
しかし、ドラゴンの力は圧倒的で、少しずつ騎士が押されて、ズリズリと後退していく。石の騎士に亀裂が入り、その亀裂は広がっていき、ついには力に耐えきれなくなって石の騎士は粉々に砕け散った。
「「オーダーさん!」」
「平気だ!別にこれで倒そうなんて思っちゃいない!騎士は自動で私を守るために行動する!私もこうありたいものだ!この騎士の用途は防御だけではなく、時間稼ぎでもある!石の騎士!」
また、騎士が生成されて、剣を拾い、牙を受け止める。
なるほど。オーダーさんとの戦いのとき、視界の悪い砂埃の中で私の剣を受け止めたのは、騎士を彼女が操っていたのではなく、自動で反応したからか。この騎士が攻撃用じゃないとしたら、私とオーダーさんの実力差は相当なものだ。
騎士がまた破壊される。牙と剣の力比べに飽きたのか、私の方向へドラゴンが向かってくる。方向転換という訳ね。
私への攻撃を遅らせるために、また一体の石の騎士が生成された。受け止めてくれている。再び力比べに持ち込んだ。ドラゴンだって方針変更するというのに、これを正面から受け止めようとするのはオーダーさんだけではないか?
これ以上はオーダーさんへ負担をかけられない。この世界に魔力は無限にありそうだけど、魔法を使用する者の体力は有限だ。
急ぐ必要がある。だから、私も避けない。バトランを見る。こくり、と彼女が頷く。
「リイン!今から強化魔法をあなたに!同時にドラゴンを拘束します!そのために強化魔法と拘束魔法の二重発動をします!3秒ください!」
「おお!なんか凄そう!流石、バトラン!わかった!お願い!」
「はい。任せてください。では、行きますよ。3秒。」
「バトラン!?そんな高度なことが出来るのか!?二重発動!?私には出来ない。そもそも、魔法を同時に使用することが出来る人間なんて・・・。」
オーダーさんが驚いている。わかった。普通、石の騎士と爆発する魔法は同時に使用出来ないんだ。それが出来るなら彼女はしている筈だ。
残り2秒。魔法の二重発動。それは彼女の反応からして、きっと、とても難しいことなのだろう。それをバトランは出来ると言った。
私は魔法を使えない。だから、詳しいことや感覚が分からないが、バトランは比類がないくらいに魔法の才能があるんじゃないか?
1秒。おっと。感心している場合じゃなかった。石の騎士がもう壊れそうだ。私は剣を構える。極上の一撃を与える機会を伺う。
0。騎士が壊れた。しかし、間に合った。バトランは右手の人差し指から鞭のような形状の青い光を出した。
同時に、彼女は左手の手のひらから放出された赤い光をドラゴンに向けて浴びせた。
魔法によって、私はギチギチに拘束され、ドラゴンは強化魔法によって力がみなぎっている様子だ。
凄い!凄いよ、バトラン!同時に魔法を・・・。
ん?逆じゃね?
「うおいっ!?」
「あ。ミスりました。逆でした。コントロールが難しい。流石に練習が必要みたいですね。」
「バトラァンっ!!!」




