月刊、神々の遊び
無限に広がる白い空間に同じ椅子が二つ。今、私が片方の椅子に座っている。座り心地はとってもふわふわである。それと同じものが、大きな白いテーブルを挟んで、あっちの真向かいにある。まだ誰も座っていない。
私達は長旅を終えて一先ずここに戻ってきた。休暇というわけではないので、私とバトランはいつもの転生業務に勤しんだ。
最近は気味が悪いくらいに真面目に取り組んでいますね、とバトランは私の仕事ぶりを評価した。そして、今度こそ休暇を手に入れた。
「・・・暇だ。」
ぼやいてみた。念願のはずのお休みは、ぽっかりと空いた穴のように感じる。何もすることがない。色々と考えさせられることは多いけれど、また、行きたい。
どこに?未だ見たことのない世界、国、町、村へ。私が知らない誰かに会いたい。何もしないことはいいことだと思う。でも、惰眠を貪るくらいなら、私は冒険がしたい。
「リイン。リイン。起きてください。椅子で寝るなんて。」
「んー?バトラン?やることがなくてね。ふあ。」
いつの間にか微睡から眠りについていたようだ。バトランが私の肩を揺らす。
「バトランも暇してた?」
「ええ。それはもう。何にもないですからね。ここ。あ、それで。朗報なのか分かりませんが。今月の『月刊、神々の遊び』読みましたか?」
月刊、神々の遊び。神により書かれた神に向けた雑誌である。
「勿論、読んでいない。」
「誇らしげに言わないでください。特集が組まれています。」
バトランが雑誌を開いて指を指す。
「えっと。神麺ランキング?一位のラーメンは。麺処、ゼウス。洗練されたスープとほろほろ肉厚チャーシュー。美味しそう!」
「その隣ですよ。視力の低下ですか。それは今度、外出申請を出して行きましょう。」
「冗談だって。いいね、ラーメン。で、こっちね。砂漠の地!女神がみた秘境の異世界!!砂漠の国の王の正体に迫る!あれ?私の写真が。中々、目的地に辿り着かなくて駄々をこねるリイン様・・・(写真提供者:バトラン)。おいっ!」
「写真はどうでも良いのですが。かなりの反響があったらしくて、今後も是非と。カナイ様が。神々の遊びの編集長もやっているみたいで。」
「多趣味だな。是非というのは。まさか。」
「ええ。私達が。他の神様も。知らない世界を旅して下さいとのことです。是非、とは仰ってましたが。まさかリイン様。高位の神様のせっかくのご提案を無下にするなんてことは無いですよね。」
バトランの口角が少しだけ高い。私には分かる。嬉しそうだ。
「そう。カナイ様は、私達にまた大変な旅に行けというんだ。ふーん・・・当然じゃん!行こう!バトランは荷造りとメイド服の準備を!」
特集のページにはこう書かれていた。
砂漠の国の王様に会うことは出来なかった。国民は皆が一度も見たことのない王様を愛し、敬っていた。そんなガラン王は最近、王位を譲った。新たな王、シーヴ王はガラン王のように、国民のために尽くすと民衆の前で宣言したらしい。




