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9話:飛竜討伐チャレンジ

「ユウマ、これを渡しておく」


 カドナは俺に二つの小瓶を手渡してきた。

 片方には赤く光る液体、もう片方には青く光る液体が入っている。


「赤い聖炎瓶は生命力を、青い聖炎瓶は精神力を回復する。必要になったら使って」


 おおっ、これは回復アイテムか!

 ありがたい!

 今の今まで回復アイテムの存在をすっかり忘れていたが、これで継戦能力がグッと上がるぞ!


「聖炎瓶の中身は篝火で補充できるから、減ってきたら補充するといい」


 カドナは篝火を指差しながら説明する。

 火から補充できるって……理屈はまったく分からない……が、まぁいいか。


 これにより、レベルアップした生命力、回復アイテムの聖炎瓶、そして憶測ではあるが復活リスポーンポイントの篝火。

 飛竜に挑戦する準備は整った。


 さらにレベルアップをするために、これからエナ稼ぎとして敵を倒して回りたいところだけど……。

 その前に飛竜の強さを確かめておくのは悪くない。

 もしかしたらワンチャン勝てる可能性だって……さすがにそれはないか。

 俺は立ち上がり、外に出る準備を整える。


「ユウマ、私は霊体の身……なので、貴方を助けることはできない。共に戦えればよかったのだけど……」

「ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ」

「手助けはできない……けど、助言なら送れる」


 助言か――。

 うーん、どうしよう。


 ゲーム的思考だけど、初見のボス戦は情報なしで挑みたい派なんだよなぁ。


「ありがたい申し出だけど、遠慮しておくよ」

「どうして?」

「お楽しみは取っておきたいタイプなんだ」


 カドナは微かに眉間にシワを寄せ、怪訝そうに俺を見つめる。

 意味が分からない、とでも言いたげだ。

 ……そんな目で見られてもなー、しょうがないじゃん、そういう性分なんだから。


「そう。でも無理はしないで。助言が欲しくなったら、いつでも聞いて」

「おう」


 俺が頷くと、カドナの姿はふっと薄れ、霊体のように実体を失った。

 普段は実体ではないのだろうか。


 カドナの姿も消えてしまったことで、再び一人になる。

 さて、そろそろ行くとするか……竜狩りに!


 俺は螺旋階段を下り、塔の外へと出た。

 外はどうなってるかな……?

 周囲を見渡すと、流人や兵士たちが再び徘徊している。

 あれ? さっき飛竜に蹂躙されたはずでは……?

 ……ああ、なるほど!


 篝火で休息を取ると、どういう訳か敵が復活リポップするみたいだ!

 つまり、この現象を利用してレベルアップや武器掘りが可能ってことじゃないか?


 嬉しい発見にテンションが上がっていると、聞き覚えのある羽音が近づいてきた。

 さっきの飛竜だ。

 ……やってきたな!


「グギャォォォォオオ!!!」


 やっぱうるさい!!!


 飛竜の咆哮に流人や兵士たちが逃げ惑う。

 だが、今度の俺は逃げない!

 俺は、飛竜に立ち向かう。


『飛竜アカムギルト』


 戦いの幕が上がるかのように、ウィンドウが目の前に浮かび上がった。

 俺の中のチャレンジ精神がドキドキワクワクしている。

 飛竜アカムギルトよ……その実力、見せてもらおうじゃないか!


 逃げ惑う流人や兵士が消え失せ、辺りには俺と飛竜だけが残る。

 俺は《ロングソード》と《カイトシールド》を装備し、構えた。


「グゴオオォォォン!!!」

 

 咆哮をあげる飛竜が降り立ち、鋭い右爪を振り下ろしてくる。

 まずは防御だ!

 これが通用するなら、ガン盾戦法で押し切れる!


――ガキィィンッ!!!


 金属を叩く衝撃音が響く。

 ……防御はできた!

 だが、勢いを完全には殺せてない!

 盾ごと思いっきり吹き飛ばされ、俺の姿勢が大きく崩れる。


「ぐっ……!」


 盾越しでも分かる強烈な一撃。

 今の攻撃だけで、俺の生命力がゴッソリ削られたのを感じる。

 直撃だったら確実に死んでいた。

 これは、受けちゃダメな攻撃だ。


 となると、回避……!

 回避するしかない!!


 姿勢を立て直し、次の動きをイメージする。

 だが――。

 飛竜はまったく隙を見せず、すぐさまもう片方の爪を突き立ててきた。


「お、おい、嘘だろ!?  まだ体勢戻せてないって!」


――ゴギュ……ッ!


 俺の身体を貫く生々しい音が響き渡る。

 視界が暗転し、意識が落ちていく。


 ……マジかよ飛竜さん、強すぎるって……。

 これ、レベル帯合ってなさ過ぎるんじゃないか……?


――YOU DIED



====================



【TIPS】

聖炎瓶

種類:消費アイテム


聖炎の巫女の骨から作られた小瓶。

それぞれに篝火の聖炎を入れておき、携帯することができる。

赤い聖炎瓶は生命力を、青い聖炎瓶には精神力を回復させる作用がある。

使用した分は篝火から補充ができる。


聖炎瓶は、古くより王を巡る旅と共にあり、多くの流人を救ってきた。

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