17、料理人
「……っ!ここは……?」
「目が覚めたかしら?」
船長室のソファーで寝かされているこの女性、アルバが今回の作戦で誘拐したフォスタだ。
「あなた達は?」
「Sランクパーティー渡り鳥のソフィーよ」
「てことは、私は解放されたんですか?」
嬉しそうにこちらに問いかけてくる。
「解放……うん、一応ね」
「一応ってなんですか?私もう戻りたくないんですけど」
フォスタはソフィーの腕を掴み、揺さぶって問いかける。
「転移してきて、貴族の料理人になれて浮かれてたのに、あんな事になるなんて……」
フォスタは異世界からの転移者らしい。
相当酷い扱いを受けてきたのか、ゲオルギーを強く拒絶している。
「そもそも、あなたはデュバル王の命で助けられたの」
「デュバル……聞いたことはあります」
「助けられたんだから王の元で働く事になると思うのだけど──」
「はい」
「──それが幸せなのかは保証できないわ」
ソフィーの言葉を聞いて、フォスタは顔面蒼白になる。
「変わらないじゃないですか」
「そこで私達から提案、ロスウェルで料理人をしない?」
「それはデュバル王の命令に背くことになるんじゃ」
俺は思わず口を挟む。
「ルザード君、背いて逃げたじゃん」
すぐにラヴァさんから鋭いツッコミを受ける。
「それって自由ってことですか?」
「そうなるわね、ロスウェル政府に言ったら資金援助も受けられると思うわ」
「それでお願いします!」
即決か、まぁ長い間虐げられていたら自由を求めるよな。
「それじゃあ、私たちと首都に戻って準備をしましょう」
「本当にありがとうございます!」
フォスタは深く頭を下げた。
切りを良くするためこの話は短くなっています。