第2話「幼なじみの再会 ~懐かしい笑顔に、揺れる心~」
週末の午後、椿花は地元の商店街を歩いていた。
「ん? あれって……つばきちゃん?」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには懐かしい顔があった。
「君!? うそ、本当に椎名君なの?」
「間違いなく俺だよ! つばきちゃん、ずいぶん大人っぽくなったね」
幼なじみの陽斗と再会した椿花は、興奮気味に話し始める。
「君こそ! すごくかっこよくなってる。モデルさんみたい」
陽斗は照れ笑いを浮かべる。
「そんなことないよ。それより、久しぶりだし、お茶でも行かない?」
「うん、行こう行こう!」
二人は近くのカフェに入った。
「それで、つばきちゃんは今、何してるの?」
「私はね、会社員やってるよ。君は?」
「俺は美容師になったんだ。この辺りに新しく店を出すことになってね」
「へえ! すごいじゃん。私、美容院苦手なんだよね……」
椿花が申し訳なさそうに笑う。
「えっ、どうして?」
「だって、美容師さんと何を話していいかわからなくて……」
陽斗は思わず吹き出した。
「つばきちゃんって、相変わらずだね。昔から人見知りだったもんね」
「うん……だから、私、全然モテないんだと思う」
陽斗は驚いた顔で椿花を見つめる。
「え? つばきちゃんがモテない? 冗談でしょ?」
「冗談じゃないよ? 本当に全然モテないの」
椿花は真剣な顔で答える。陽斗は困惑しながらも、懐かしい思い出が蘇ってくる。
「そういえば、小学校の時もそうだったよね。クラスの男子たちがつばきちゃんにゾッコンだったのに、全然気づいてなかった」
「えっ!? そんなことあったの?」
「ああ、あったあった。俺なんか、つばきちゃんにお弁当作ってもらおうと必死だったんだぞ」
椿花は目を丸くする。
「私のお弁当って、いつもおにぎりとウインナーだけだったよね?」
「そう、でもそれが最高に美味しかったんだ」
陽斗の目が優しく輝く。椿花は首を傾げる。
「不思議だなあ。私のどこがいいんだろう……」
陽斗は思わずため息をつく。
「つばきちゃん、君は本当に……」
「本当に、何?」
「いや、なんでもない。そうだ、美容院苦手なら、今度俺が髪切ってあげようか?」
「え? いいの?」
「ああ、もちろん。昔みたいにおしゃべりしながらね」
椿花は嬉しそうに頷く。
「うん、ありがとう! 君となら安心かも」
陽斗は椿花の無邪気な笑顔に、懐かしさと新しい感情を覚えていた。