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僕が天使に出会った話  作者: ダイフク
3/10

3.博打に精霊魔法はズルなのか?


マースと共に歩きながら、僕は精霊にこっそり挨拶しながら、契約を結んだ。

この辺りの精霊は使用者がいないらしくて、面白がって簡単に契約してくれた。

今から行く博打なるものの手伝いもしてくれると、随分と楽しそうだ。

僕には精霊魔法以外にも、空間把握が使えるので、サイコロの目を読むことなど、容易い。

しかし、精霊が楽しそうなので、困った時には彼らに任せてみよう。


「なぁ、ごめんな。こんな目に合わせちまって。」

「いや、構わない。」

「俺、姉ちゃんに止めようって言ったんだ。占いのババアに騙されてるだけだって。でも、姉ちゃん、他に方法が無いって・・・。」

「そうか。」

「兄ちゃん、もう戻れないかもしれないのに・・・。ごめんなさい。」

「いや、構わない。ところでマース、博打で勝てば、借金を返せるほどの金額を稼ぐことができるのか?」

「ええーっ、そんなに勝てるわけないよ。お試しだけだろ?」

「勝ってはいけないのか?」

「それは、良いけど。」

「そうか。ではキリエが喜ぶほど勝って稼ぐことにしよう。」


マースは何を言っているのかと言わんばかりに顔を顰めているが、まぁ、良いだろう。


マースに案内されて来た場所は、また驚く程に汚かった。その板の間に直接座り、博打をすると言う。

ここまで来てしまったので、今更引くこともできず、仕方なく腰を下ろした。


マースが渡してくれた札?と言うものを自分の前に置く。その間に周りの様子を見ていたので、一応作法は理解した。


「さぁ、はったはった!」

「長」

「半」


「そこのご新規さんはなんにかけるんだ?」

「ご新規さん、ふむ、僕のことか?では長に全部。」

「に、兄ちゃん、全部かけて、外れたら終わりだよ。もう買えないから。」

「そうだな。」

「そうだなって・・・」


「兄さん、良いかけっぷりだ。長で良いんだな?」

「構わない。」


「じゃあ、開けるぜ。・・・・・・四六の長。」


「あ、当たった。兄ちゃん当たったよ!」

「そうだな。」

「兄さん、運が良いね。次も行くかい?」

「もちろんだ。」


「さぁさぁ、はったはった。」


僕はまた全ての札を出して、半にかけた。


「兄ちゃん、全部って・・・!」

「構わない。」


「兄さん、本当に思い切りがいいな。本当に初めてかい?」

「そうだ。」

「まぁ、いいや。その運、どこまで通用するかな?」


その後も僕は全てかけ、全て勝った。途中、サイコロを転がす人が変わって、カップを開ける直前にサイコロを転がすようになったが、精霊が更に転がしてくれるので、結果は僕の勝ちのまま変わることがない。


短時間で僕の前の札は置ききれないほどの山となった。

問題はサイコロを振っている側の顔色が悪くなった事、ぐらいだろうか?

あぁ、そういえば、マースの顔色も悪くなっている。

どこか具合が悪いのだろうか?帰った方が良いようだ。


「マース、この札を金に変えてくれ。」


「待ちな兄さん。舐めたまねしてくれるじゃないか!」

「? 舐めたまね?すまない。言っている意味が分からない。知らない言葉だ。」

「勝ち逃げされちゃ困るって言ってんだよ!」

「駄目なのか?それは知らずに申し訳ない。しかし、連れが具合が悪くもう帰らせて欲しい。それにこのまま続けても僕が勝つだけだと思うので、良い頃合ではないだろうか?」

「勝つだけって、お前、イカサマをしたのか!?」


また、聞いたことのない言葉が出てきた。イカサマ?なんの事だろう?


「兄ちゃんはそんな事しないぞ!」


困った。騒ぎになってしまいそうだ。ここは、僕の精神魔法の出番だろうか。

僕は相手の目をじっと見て、ゆっくり話しかけた。


「怒らず、僕達を帰して欲しい。頼む。」

「・・・・・・あぁ、そうだな、おい、札を金に変えてやれ。」

「ありがとう。」


突然物分りの良くなった男にマースが驚いているが、差し出された貨幣の多さにどうでも良くなったらしい。


僕達は大金を持ってキリエの元に帰った。

今日、僕が稼いだ金額は彼らの借金のほぼ半分にもなり、意外にもここで稼ぐことが簡単な事がわかった。

キリエは喜んでくれるだろうか?



僕達の稼いだ金を見て、キリエは驚きはしたが、喜んではくれなかった。

魔法でバババッと金を出すのは良くて、博打は駄目なのは何故だろう?どちらも魔法なのだが。


この世界は分からない事ばかりだ。


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