表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
10章 秋になりました。
78/839

076 さあ楽しませよう。二日目

みんなは優しいから、居なくなった人の事を心配してる。

優しいなあ。

割り切って何とも思ってない僕とはやっぱり違う。


きょうもありがと〜

(旧暦です、ご注意)

 今日は市場イベントの2日目の8月2日、火の日。暗がりでぼんやりしている顔が沈んで見える。やらかすとは思っていたとはいえ、これはどうしようもないというか、どうにもならない。なんて僕は割り切っちゃってるけど、みんなは違うんだよね。心が割り切っちゃうと頭で考えちゃうから当たり前としか思えない。


 やらかした人達は、アノ国でケモミミ達の命が軽かったことをまさか忘れたのかな。理不尽が悔しかったことはなかったのかな。他の国だって罪に対しての刑罰は重い。相手次第でずっと重くなる。僕をここに運んできた2人をきゅっとしたのは見てなかったのかなあ。


 20人の精霊石を買い叩いたとしても相当な金額なんだから街の有力者だろうし、多くても平気って事は普通の人じゃ無い。アッサリ僕らのことを言うだろうけど、ここから来たとか林を指したって怒らせるだけ。称号がいっぱいの楽しい商隊と間抜けな詐欺師を一緒には見ないだろう。

 もうじき街ってところで朝ご飯なんだけどウツウツしてる。みんなは全部わかって悲しんでいる。分かったら当然と思うだけの僕とは大違い。気が抜けている人達をアレコレと世話をして、バン!と大きな音を出す。


「これが僕らのいくさなんだから、気持ちを入れて戦うよ!」

 みんなは、ハッとして表情が変わる。大きい声で鼓舞こぶしてくれる人もいる。もう大丈夫だろう。僕達は楽しませる為に来たんだから、ね。


 それにしてもと思う。あの国で理不尽りふじんなことや悲しいことは日常だった。永遠のお別れがあっても悲しみは、その日だけに感じてたし、翌日は元気に見えていた。

 僕はここに来て気持ちが追いつかなかったりしているけど、みんなも変わってきているのかもしれない。強くなって、心に余裕が出来たんだったら良いな。安心して騒いで、おいしいものをいっぱい食べて、キレイになって、笑えるようになったかな。怖い夢は見なくなったのかな。


 今日の街は昨日より遠いんだけど、昨日の帰りのき〜ちゃんの爆走で大丈夫だったから、速度を上げて同じくらいの時間に着いた。ごそっと抜けた食材棟は全員体制で、お城のお世話を畑にお願いしてた。店舗が確保できたということで、今日はシリアルの屋台もあるの。メンのもね。試食してもらわないといけないものだから、人数が減ったせいで昨日は出せなかった。

 これは売りたいというより、調理を楽にして食事を楽しんで欲しい僕の願いみたいなもの。いつも同じモノばっかり食べてないで食事を楽しんでね、だったり。食べたいときに食べたい量をだったり、朝寝坊をどうぞだったりするの。お店で食べる特別ごはんも良いけど、おうちで特別ごはんも作れるよ。安くて美味しいは大事な事。今日の笑顔になるし、明日の元気にもなる。


 いくさと言ったのは本当。美味しいものを食べてもらって、楽しんでもらって、買わせて、欲しがらせて、うらやましがらせるの。

 ぼんやり毎年同じことやってる街の収穫祭がかすんじゃったよね。もっと頑張ろうって思ったんじゃない。今年は笑わせた、僕達の勝ち。そういう勝負。


 最初は、3箇所かしょ同時開催で2〜3日開催って考えていたの、そう言えば。行くまでに時間掛かるから何度も行くのは無理だからね。

 おかしいなって。何のためにやるんだっけって考えてね。お買い物隊の人達に特殊なモノばかりで売りにくいって、良いものなのに残念って言われたなあって。商売はインパクトが大事。なら良い印象を強烈にって思ったの。だから全力にした。


 安いことは大事だし、新しいものも売りたいんだから、おろしでは難しい。もやっとする個人的な手数料が高そうだしね。店を買って、ウチの人を常駐させるのは簡単だけど、そんなに熱心でもない。お店やりたいって言ってた人達は、最初の遠足の時に帰っちゃってる。店やってたって人はもういいって言ってるし、お買い物隊はお買い物が好きなだけだから、とどまって店はやりたくないって言うの。他所よその町って気を遣うからかな。


 じゃあ店を丸ごといただきだあって。行商のときに店を全部ウチのものにしても良いよってところを探してもらっていてね。ウチは楽しいよだったり、怖いもんなしだあになるよってね。どっかの紐付きじゃない大きな店舗っていうのは無いから、小さい商店街を丸ごとになる。そういう人達にどうだ!って見せるのもイベントの狙いだったりするかな。単に楽しい成果発表会ってみんなは思ってるだろうけどね。

 大きなイベントが盛り上がって、みんなの自信になると良いな。モヤモヤ吹き飛べ〜なんて思う。なかなか笑えなくて、負け続けて背を向けてばっかりだった僕らだけど、これからはずっと勝つ! 常笑無背じょうしょうむはいの最高の町にするんだからね。


 このいちイベントが人気なのは、現実的な理由もあるの。一番価格に影響する移動のコストは掛かっていないと言っても良いし、事前調査で売れるものや売り切れる量は分かってるから、ロスを織り込まなくても良いこともあって安いの。僕らにとっては普通に利益を乗せた価格なんだけど、その他の費用がほとんどない分、この街のどこよりも安くって、いわゆるお祭り価格と比べたらタダみたいなもの。そのうえショーは楽しいし、美味しいし、ステキとくれば人気にならない方がおかしい。えっ1日だけなのって。行ってないよ、残念って。


 次はどうしようか。どこも狭すぎて、ゲームは置けないし、やってみたかった乗り物遊具が置けないことが分かって計画だけで止まってるの。外に広場を作るか、なんて考えたりしてる。通路が狭すぎて、渋滞ばかりなのは、やだなって。

 今度を考えられるのは楽しいなって思ったよ。


 天気の情報が妖精さんからもらえるんだけど、明日あす明後日あさっては雨だそう、この時期に良くある、かなりの大雨で大風おおかぜ。三日後は晴れなんだけど、普通は大雨の後の広場はぐちゃぐちゃだから、中止って思うだろうね。5つの街の見て欲しい商店街の人達には5日目、金の日は必ず開催するって連絡してある。イベントはできなくても、雨でも商品を並べることは出来るから、それだけでもと思って来るかな。地元の人に分かる天気の予兆なんかがあって大雨を見込んで、もう着いてるかもしれない・・とかないか。

 いや、ゆ〜姉や畑の人達は、天気が分かっているような感じだった。天気が変わるサインがあるのかもしれない。


 2日目のイベントも大成功だった。お昼すぎに予想外の腹ペコ集団が来ちゃって、ちょっと早めに店が終わって切り替えていく。鉱山の人達らしい。そう言えば、ここは鉱山の街だったな。石が売れ残ったことや値引きしたってことは無いから、ここでも普通に売れたはず。

 こんなに大きい街になれるのに、ウチがダメなのは分かってる。石の次が無いから。燃える石とか燃える水だと掘っただけで売り物になるけど、鉄鉱石や銅鉱石だと嵩張るだけ。品質が低くても製錬(せいれん)しないと。


 実のところ、掘るだけでも良いの。ゴハン食べられれば、それでいいよっていうんならね。

 でもさ、頑張って山盛りに掘ってもお金にするとこれだけ!?って程度だし、隣の人がラクラク仕事してるのにって思うだろうし、周りの評価だってね。

 お買い物隊が「石運ぶのツマンネエ」って言ってたでしょ。


 3日後に行く街をステージで言って、お客さんが行くって答えてたけど無理だろう。今すぐ向かわないと大雨大風(だって知らないから)で、辿たどり着けないと思うな。

 昨日より早い時間に帰れた。明日あす明後日あさっては雨で中止が分かっているし、大成功だったからごちそうにするとお知らせして解散した。大雨大風に備えて準備をしないといけないから、さっと散っていく。採石場の始末の確認や措置。畑の片付けはしてあるけど再度確認を手分けしてやっている。大雨大風の恐ろしさは、みんなが知ってること。刈り取りの道具は、ちょっと悩んだんだけど壊して消しておいた。

 お城は、えさ箱の確認や嵐対策。車は、丘の下に広い車庫が作ってあるので、今回の車もしまう。ガラガラだなあって思う。

 それにしても嵐の前の日って、何かワクワクするんだけど、僕だけかなあ。


 今日の試食は、何もすることが無い帰りの車で、ウキウキしていてタレを10種類作ったの。今日はナベ。昆布で出汁を引いて、出来たばっかりのお酒を少し。沸騰はダメ、熱いくらいの温度なの。お肉を引っかけてユラユラってして、色が変わったら、タレにつけてどうぞ。お肉のダシが出たら、野菜を入れてね。って説明をしながら。


「薄いお肉ねえ」「食べた感じがしないんじゃなあい」「まずひとつ」

「「「ん〜、おいっしいわあ!」」」


 お肉食べてるぞって感じがするでしょ。試食でタレは4種類で出す事になったよ。食事や衛生に注意して育てた美味しいお肉のお試しも兼ねてるの。あと、お姉さん達が気になってるのが、この新しいお酒。料理分しか無かったんだけど、夏前に仕込んだのがようやく出来たの。まあ量は大樽分しかないんだけど。今日の料理に合うこともあってお披露目することにしたの。あ、あとね。絞った残りので、甘いのも作ったの。僕用。みんなも飲んで良いよ。


「市場イベントお疲れ様。明日から大雨だし、2日間の大成功のお祝い。

 町で育てた肉に町で作った新しいお酒を楽しんでね。

 エールよりずっと強いお酒なので、飲み過ぎに注意してね」


 かんぱ〜い! いただきまあす。

 お肉を薄く出来るのは道具ならでは、美味しいお肉は甘いって感じるよ。ゆらゆら〜ってしてね。東の方だと。「しゃぶ」だったけ。感想を聞かせてね。子供達も飲んで良いっていうお酒に興味津々(きょうみしんしん)してる。オトナぶるの大好きだしね。

 でも弱いだけのお酒なんだから、飲み過ぎ注意は同じだよ。


 一緒にごはんしたかったので、試食は食べてない。まずは無菌室で育てて、チーズから出る水を飲ませた豚さん。ん〜格別に美味しい。タレ無しでも美味しい。半生で良いから余計にお肉って感じがするぅ。

 次は、飼料に穀物や果実を加えて、食べ物に変化を付けて食欲にも気を付けた牛で、肉質を変える研究中の牛なの。固いのが好きって言う人はいるけど、脂を肉の中に貯めた牛肉は、かなり違うって思う。草だけで育てたカチカチお肉があんまり好きじゃ無い僕の好みに調整中のもの。

 うん。やり方は間違ってないな。美味しいよ。


 タレを変えながら、お肉を味わってみると味わいがかなり変わるね。東の調味料に果汁と酢を入れたものは、さっぱりしているし、胡麻ごまを主役にしたものは肉に馴染なじんで良い感じ。貝から作ったソースのもなかなか良い。穀物を発酵させて作ったものはピリッとして、辛いの好きな人には良いと思う。

 肉のうまみが出て、野菜の投入が始まる。ナベで肉を探して食べるのが多いので、最初に肉だけって良いかなって思ったの。ここの野菜は美味しいし、ナベの野菜は特別なものだから、野菜ダメ〜は居なくなったかな。ツヤツヤお肌の元になるし、成長に必要なものだから美味しく食べて欲しいって思う。


 成長には遺伝もあるけど、身体がいっぱい成長する時期に必要な栄養が無いと強く大きくなれない。ケモミミ達がちょっと小さいのは、そのせいかなって思ってるの。

 だからね。いっぱい食べて大きくなってね。美味しいのガンバルからね。

今日も大成功だった。

ノリノリのお客さんが楽しくて、ここに店を作りたかったんだけど・・・

全勝(2勝)したけど、全敗(2敗)でもある。次もがんばろうね。次こそだよ。

嵐が来ま〜す。何しようかなぁ。


次もお待ちしてまあす。ええっと木曜日?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ