067 海に行こう。
いよいよ海に行くよ。
すっごい楽しみで、心のリストがズラズラ〜ってある。
消化しきれるかなあ、ワクワクするぅ。
ゴ〜ゴ〜!
また今日もツンツンで起こしてもらった。起こされないといつまでも寝られる気がする。美味しそうな魚たちに囲まれた夢は嬉しかった。今日は海に行く日なので、雨戸は開けない。外に出ると朝日が眩しい。今日も良い天気。わくわくな7月26日は、月の日。
月は夜のこと。癒やしをくれるの。等しく区別無く、みんなの聖女って感じ。疲れを取ってくれる。眠りに身を委ねてね、頑張ってねって応援してくれる。あと太ったり痩せて日数を教えてくれるよ。満月を巫女って言うのは見た目から、ウチだと勇者かなあ。
今日焼いたマフィン(甘くない方)にタマゴ焼きとハム・チーズ・野菜を乗せる。前のと同じだけど野菜が新鮮だから、すごく美味しいよ。朝ご飯の準備とお弁当も用意しとくね。
海行きに改造した船は、とっくに用意してあって、いつの間にかドアにそれぞれの名札が入っていた。話題に上らないから部屋の方は気がつかなかったよ。部屋を上に建て増ししただけなんだけど大きく見える。商材や食材は昨日のうちに積んである。朝採り野菜とタマゴを詰んで準備完了。
お見送りのおじさんに「収穫のお手伝いのポスター」を貼るのと、お買い物調査隊をすぐ5つ出すことと買い物(予約)リストに場所取り交渉とか色々をバサッとお願いする。これにゆ〜姉のリストが加わるからね。
じゃあ、いってきま〜す!
海までの距離とか言ってない。聞いてびっくりしちゃうのを心配してる。聞いてもピンとこないって、ぽかんとするかもだけど。
ゆるゆるって進む。お見送りの人がいるからね。ぴゅ〜って行くのはつまんないって、いつも思ってた。河から見ると、畑の工場や温室が大きいし、蔵も大きく見える。町の予定地という原っぱが広々。
じゃあそろそろ。たぶんデッキ(上のことね)にいる人たちに中に入ってもらう。で、河の探査を航路前面遠くまで広げる。遠く遠く。中に全員が入ったことを確認して、スピードを上げていく。この船は水の部分浅いけど、大きい石がごろんとすると、危ないかなって大きめは全部砕いて、浅いところはガリッと抜いていく。急な蛇行もスピードが落ちるからスポーンと抜いていく。お魚さん達ビックリしてるよねぇとか残りの思考でほのぼのしたりする。慣れてきたところで、さらにスピードを上げる。景色が飛んでいく感じ、面白いなって思う。
そう言えば、おじさんにバサって渡したけど、布だからヘニャッだし紙なら1枚で済む。布だと字を大きくしないといけないからねぇ。やっぱり紙って思う。工場の稼働は大丈夫なの。材料待ちってこと。収穫が待ち遠しい。
夏休み前の収穫のは・・。アレは紙にしたけど、書く用じゃ無いの。最初に作りたかったもの。
そろそろ村がある辺りなので、スピードを落としていく。きっと通過の衝撃があると思う。河の近くに人がいる。村の辺りが浅い。ゴリゴリ削っちゃうけど、ゴメンネ。村の感じを見ると、川魚中心の生活かな。山に熊いるなぁ、動物いっぱい。ウチの町の動物さんは、お城に住んでるよとか楽しくなる。
村が過ぎたらスピードを上げる。また村で下げるを繰り返す。海が探知圏内に入ってからは、村が町になって、間が近くてスピードをなかなか上げられなくなってきた。
「ピンポンポンポ〜ン。もうじき着きまあす。デッキに上がっても大丈夫でえす」
アナウンスをしてみた。わらわらって上に行く気配がする。人魚さん達の動きが無いなあ、ヒマすぎて寝ちゃったのかな。窓を上げると違う匂いが混じってる。これが海の匂いかな。
この辺りにも大きな岩が所々ある。わざわざ残していたんだろうけど、ゴメンネ。危ないからねって壊していく。もう海ってところは大きな街。すぐ海って所なんだけど、大きな岩とか沈んでいる船とかいっぱいある。魚礁にしてるんだろうけど、潮が引いたとき危ないので、粉々にしておくよ。
岩になんか飾りが付いてて変な趣味だなあって思った。
この街は、僕達の言葉が通じる。めぼしい所は、あの国の属国だし属国なら細かい資料もある。途中の町や村のことは、どうなのか分からないけど、ここは資料で良く知ってる。通貨は聖貨。いっぱい持って来てるし、洗浄・殺菌してあるよ。お金って、ばっちいからねぇ。港は帆船ばかり、だよね普通。だから帆船に見えるようにしてる。
着岸のための小舟が来るんだけど、お断りしてスススッ、ピタって泊める。不思議〜て見てるよ。
お買い物隊にいってらっしゃいして、お休みの人魚さんを起こしにいくっと思ったら同じ部屋にまとまって、床にごろんしていた。あれ? 揺れなかったでしょ。ハテナって思った。
お買い物隊は、お仕事だからね。僕達はこっちって、ご案内する。ここの資料には地図は当然だし、おいしいものは網羅してる。そのための属国化だしね。
「じゃあ、甘いの」
ぞろぞろと老舗の甘味の店へ、歩いている人とかビックリしてるね。服は新作で着ている人達はキレイだし可愛い。それにね称号は見れば分かる。1人だって、おおっなのに10人もいる。時間は朝といっても良い時間。トラブルを考えて早めに出たからねぇ。
大きいテーブルでみんな一緒。高い椅子を持って来てもらって、スーちゃん楽しそう。食べてニンマリして、お茶を飲んでいると、スーちゃんが「ここどこ?」って聞く。
距離だよね? 聖都までの5倍と半分くらいだよって答えると
「「「「ええっ」」」」
驚くことかなあ。東の国って、ここまでの3倍もあるよ。一月半も掛かるんだから、速くなったし半分で行けるかなあって思ってる。収穫祭は遅めにするからそれまでに帰って来てねって言ってあるの。
「窓から見てた。周りが溶けちゃってるみたいだった」
河だし周りが近いから見てても面白くないので閉めてって言ったのに。まあヒマヒマだもんねぇ。
「見てたら目が回りそうなので、すぐ閉めたねぇ」
目が回る? ああだから人魚さん達お休みしてるのかな。
「でで、どのくらい出た?」
これって速さのことだよね。
「15勇車ちょっとは出たかな。山の中で1回だけね」
速いとすぐ村に近づいちゃうから、ほんのちょっとなの。ピンとこないよねえ。
「船だと海ってすぐだったね」
てへって言う。速いっていう実感湧かないよね。じゃあ何しよっかって言ってみる。午後は決まってるの。人魚さん探しをする。スーちゃんには、僕達に聞こえない声が聞こえるみたいなので海をウロウロするって感じ。
見つかったら、今おねんねの人魚さんに丸投げする。お姉さん達いるから捕獲もできるけどダメ〜でしょ。明日は漁をするから、その下見もね。資料には聖都まで運べない生魚のことは書いてないし。生魚というか生きたまま捕まえたいの。2泊(予備1泊)の予定なので獲るのは明後日ね。お買い物リストには、稚貝や海藻を生きてるままってお願いしてあるけど、養殖はしてないだろうから獲ってもらう。お金払うよ、お仕事にしてってこと。
僕がウズウズしているのを見て、お姉さんが「お昼買って船に集合ねぇ」って言ってくれた。みんなのお金を払うと、ぐ〜ちゃんとき〜ちゃんをぎゅっと掴んで、こっちこっち。
匂いがずっと僕を呼んでて行かなきゃって。あれもこれもって買う。僕に一口。2人がモグモグしてる間に作ってるのをじっと見る。作り方は大体分かるから材料とか調味料をチェックして、後で頭の中で作って見るつもり。知らない魚や道具があったら教えてをする。王達だしね。みんな親切。
あとね、宝飾。き〜ちゃんに真珠やサンゴにキレイな貝を見てもらってね。作ってってお願いする。これって言ったのをね。在庫全部買うの。こっからここまでって。
ぐ〜ちゃんにくるっと回ってもらって、こういうダンスでステキに見えるものって、服とかバッグとかって言うと「分かった〜」って言ってくれる。「貝じゃ無理だよね〜」「重そう」「でも貝のも良さそう」と言ってると、き〜ちゃんがハテナしてるので、ぐ〜ちゃんに説明をお願いすると、ふむって考えてあれとこれもって。ぐ〜ちゃんに持ってもらってた、お金をゴンって置いて、荷物は(いつの間にかある)荷車に積んでおいてねって、次へ。
布のお店で、リボンを買って端材をもらって、針と糸を借りてチクチクして、はいって2人に渡す。
「お花のね。髪飾り。こういうのも良いかなあって。僕とおそろい」
しゃがんでもらって、きゅって着けて大きめの布の花飾り、可愛いよって言う。服に付けたりしてもね。ちょっと豪華になるかなあって。そしたら、ありがとって、ぎゅってしてくれる。
お店の人がお花をじっと見てる。実物無いとちょっと分からない。さっと作っちゃってるし、工夫しないとヘニャってするよ。がんばってね。
メニューいっぱい手に入れた。でも味は今ひとつだったから、食材だけ買って船に戻る。安くて美味しいは大事な事なのに、どこもサボってるって思った。夕ご飯は高い店かな。あそこかあそこかなあ。
僕達の後ろから触ってない荷車がゴロゴロって付いてきてるけど、誰も気がつかない。・・と思った。2人がいると見ちゃうよ。すっごく可愛いもの。
獲れたてっていう大きな魚をいくつかと欲しかった海藻や海老や貝を買って船に戻る。きっとお姉さん達は買ってこないし、お買い物隊は僕の無茶なものを探してフラフラで戻ってくるから、美味しいの作らなきゃって思ってるの。
買ってきた食材を見て思った。湖にいた小さい貝は、塩風味が必要な汽水にいる種類だし、ちょっとだけ大きい美味しい貝は海にいる種類だよ、同じ貝がいるなあって。まあ実はどうでも良い。メニューを考えるまでの暇つぶしみたいなもの。
お手伝いしてくれる2人に手伝ってもらって、美味しいの作っちゃうよ。
食べ物はちょっとお、だったけど。
楽しいものはあった。帰ってから色々作って見よう。楽しみ。
じゃあ仲良しクッキンしようねぇ。
うわあ、おなかすいてきたあ。はやくはやくぅ。




